2018年1月

土佐町ストーリーズ

干し柿

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

去年の秋の終わりに渋柿をたくさんもらった。
スーパーや近くの産直で買い物をしていると、知っている人に会うことは小さい町ではよくあること。
その日もたまたま普段は行かないような時間に産直に行き、出て来たところに、とさちょうものがたりではおなじみの百合子さんに会った。
百合子さんはいつも屈託のない笑顔で話しかけてくれる。
「柿いらない?」と笑顔で言われれば「いります。」と言いたくなる。

その柿も百合子さんが知り合いのおじいさんからもらったもので、たくさんあるという。(そのことについての記事はこちら
柿といっても渋柿。
今まで何回か干し柿を作ったことはあるけれど、カビてしまったり、なかなか上手にできたことがなかったので、もらってもうまく干し柿にできるのか、うまくいかなかったら・・・。
もらっていいものかどうか数分悩んだ末、「今年は寒いから上手にできると思う」という言葉を信じて試してみることにした。

 

大きな袋に入った渋柿はたくさんありすぎてなかなか手が出ず、数日袋の中で干されるのを待っていたけれど、家々の軒下に並んだ柿を見るたび、「今日こそは、今日こそは」と思いながら数日たち、やっと干すための皮剥きを終え、ビニールの紐に吊るされた。
お世辞にも上手にくくりつけて干せたとは言えない出来だったけど、誰かに見られるようなところに干してないのでよしとしよう。
一列に並んだ柿は、なんだか誇らしかった。
家の中のコタツに座って見える場所に、秋から冬の風物詩と言えるものが我が家にもある。
今まで他人の家にしかないものと思っていたものが我が家にもあるというのは、不思議となんだか嬉しかった。

自分の家に渋柿が干されたことで、他人の家の干し柿が気になる。
どんな種類の紐で吊るしているのか。どんな風に吊るしているのか。日を追うごとにどんな色をしてくるのか。など。

友人の家に遊びに行くと、これも同じく百合子さんからもらったという渋柿がシュロ(?)縄で干され、夕日色と言ってもいいようなきれいな半透明の色になっていた。それを見て我が家の干し柿との違いにびっくりもしたけれど、同じ人にもらった柿なのに干す場所で全然違ったものになるんだな〜と感心した。

我が家の柿はずっと干されたまま、お正月が来た。
おせち料理に入れたいなと思いながらも、両家の実家に帰ることになっていたので美味しい料理を期待して2日間でそれぞれの家に帰った。
旦那さんの実家に帰った時、料理の中に干し柿入りなますを見つけ、「お!作りたかったものがここにあるな〜。やっぱり作れということやな〜。」と思い、お正月明けてしばらくして干し柿入りなますを作ることにした。

干し柿入りなます
材料:
干し柿・大根・すりごま・砂糖・酢・塩
作り方:
干し柿はヘタを取って縦に開き、種子を取って細切りにする。
大根は太めの千切りにして塩をし、水が出たら絞る。
干し柿・大根・砂糖・酢・すりごまを混ぜ合わせる。
人参や雑魚などを入れても良い。

 

生柿は体を冷やすけれど、干し柿は胃腸を丈夫にして体を温める。
整腸作用もあるので便秘にもよく、二日酔いにも効果あり。
大根は消化不良や胃酸過多の時に。胃もたれや胸焼けをおこしにくく、二日酔いにも効きます。
生の大根は体を冷やすので、大根と干し柿を合わせることで体を冷やしすぎず、二日酔いにもきく、酒飲みにぴったり食材の組み合わせ!
ということになりますね。

ちなみに温めた大根は体を温めるので、ゾクゾク寒気のする風邪の時などは消化のよい大根おろし鍋などがおすすめです。
我が家の干し柿は、見た目は悪いけれど、ちょっと固めで程よい甘さの美味しい干し柿になった。
こんなに美味しくできたのは初めてのこと。
今年の寒さとあの場所で百合子さんに出会ったことに感謝しながら、今度はまだまだたくさんある干し柿をどうするか考えよう。

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

鳥山百合子

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「まいにち食べたい“ごはんのような”クッキーとビスケットの本」 なかしましほ 主婦と生活社

この本の「オートミールクッキー」、とても美味しくて数え切れないほど作りました。
オートミールとくるみに加えてレーズンの代わりにチョコチップを入れたり、カシューナッツやひまわりの種を加えたり。ザクザクした美味しいクッキーができます。
子どもたちのおやつに多めに作って、余ったらビンに入れるのですが置いてあるだけで何だかうれしい。
今日はクッキーでも作ろうかなと思った時に開くのは、きまってこの本です。

鳥山百合子

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
笹のいえ

落ち葉

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

笹のいえ周辺は雑木が多く、秋から冬にかけて、たくさんの葉が落ちる。

以前なにかの本で「落ち葉は良質の堆肥になる」と読んでから、道に落ちている葉っぱが気になって仕方がない。

これまでは他の作業に追われてなかなか手を出せなかったが、ちょうど友人がお手伝いにやってきたタイミングもあって、本格的に落ち葉集めをした。

側溝に溜まっている落ち葉をスコップで道に上げ、熊手で葉を道の中央に集める。このとき、なるべく石や枝などを取り除く。

雪かき用のスコップで落ち葉をすくい、軽トラの荷台に積んでいく。あおりから溢れそうになったら、上から踏んでさらに載せる。

山からの小石や砂、すくいきれなかった小さな葉は、竹箒で谷側に落としていく。

作業しながら後ろを振り返ると、スッキリと広くなった道が現れ、気持ち良い。適度な運動量で体も温まり、寒い季節にぴったりな作業だ。

500mほどの道で、荷台約5杯分の落ち葉が集まった。

田んぼに撒いたり、畑の通路に敷き詰めたりした。

育った作物にどんな変化があるか、楽しみにしてる。

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

森啓

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「怪人二十面相」 江戸川乱歩 ポプラ社

中学生の時に良く読んだ本です。怪人20面相と明智小五郎、少年探偵団の対決を描いた全46巻のシリーズです。変装した怪人20面相が様々な場所に現れ事件を起こします。それを見事な推理で解決していく明智探偵。当時の私達と同年代の少年探偵団、小林少年の活躍。何度も読み返した思い出があります。著者は、マンガ『名探偵コナン』の主人公、江戸川コナンの名字に使われたあの江戸川乱歩です。
この本、実は35年ほど前に読んだ本そのものなのです。石原コミュニティセンター(旧石原小学校)で見つけました。ブックポケットには貸出カードがあり、自分の名前もあります。中学3年生になる時、町内の中学校が統合し、旧石原中学校の校舎は取り壊され、同じ敷地に旧石原小学校が建築されました。本はそのまま図書室に置いてくれたのでしょう。とてもなつかしく、思わず手に取りました。中学生当時は多くの生徒が読んでいた記憶があります。読んだことがある人も多いのではないでしょうか?

森 啓

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
土佐町ストーリーズ

編んでる?

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「最近編んでる?」「まぁ、編んでるよ」

 

ふと耳に入ってきた言葉。

この時期編むといったらマフラーかな?セーターかな?

 

これは、集落支援員さんの会話。

下瀬戸・黒丸と南川には、土佐町の中心部から車で1時間かかるのだが、それぞれ集落支援員さんがいる。

集落支援員さんは、地域に入って活動し、地域の現状や課題を把握して、どう対応していくかを役場と一緒に考えてくれる頼もしい存在。

 

そんな集落支援員さんは何を編むのか。

 

「背蓑(せみの)」だ。

 

農作業の時に、日よけや雨よけのために背中に背負う「蓑」。

 

下瀬戸・黒丸、南川地区では以前は背蓑の作り手がたくさんいたけれど、今ではたった一人しか作っていない。

そこで「背みのづくり保存会」というのを作って、その技術を教えてもらっているのだそう。

 

背蓑の原料は「菅(すげ)」という植物。

「良質な菅は寒い高地で霜が降りたやつなんやけど、最近あんまり取れんでね。低地のでも作れるけど、そういうのは何年かしたら萎れる」

とのこと。

 

「最近編んでる?」「編んでる編んでるー」

編んでいるのは、まさかの背蓑。

なんだかちょっぴり かっこいい。

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

 

みなさまいかがお過ごしでしょうか?

長い夏もようやく終わり、肌寒い季節となってきました。

2016年の「秋篇」から始まった土佐町の動画「キネマ土佐町」の最終篇、「」がこの度完成しました。

つきましては上映会を、1月30日(火)午後6:30より、土佐町中村集会所で開催いたします。

みなさまお誘い合わせの上、ぜひご参加くださいませ。

 

参加費:無料 (どなたでも参加できます。小さいお子様連れ歓迎です)

場所:中村集会所 〒781-3401 高知県土佐郡土佐町土居353

お問い合わせ:0887-82-0480 (担当:和田) info@tosacho.com

 

上映後は飲み会やります!(参加費実費)

 

キネマ土佐町「秋」「冬」「春」はこちらからご覧ください。

キネマ土佐町 秋

キネマ土佐町 冬

[動画] キネマ土佐町・春

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

矢野信子

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

 

「十二単衣を着た悪魔」 内館牧子 幻冬舎

「源氏物語」は、中学校の古典の授業で初めて触れた方が多いと思います。登場人物が多く、人間関係も複雑で、長い物語です。「あさきゆめみし」の方がむしろ馴染みやすいのかもしれません。かく言う私も、実は現代語訳を全部読んだことはありません。
これは、あの「弘徽殿(こきでん)の女御」目線の物語です。彼女にはどうしても光源氏の母(桐壺の更衣)を虐めた女御という悪いイメージが強いのですが、こんな風に描かれると違った人物に見えてきて、魅力的な人間にも思えてきます。もう一度「源氏物語」を読んでみようかなという気になりました。

 矢野信子

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

 

『とさちょうものがたり ZINE』を送付するために土佐町役場近くにある森郵便局へ行った。
いくつものダンボールを何度かに分けて郵便局内へ運び入れていると、郵便局の人が出てきて運ぶのを手伝ってくれた。

そのいくつかのダンボールはまだふたが開いていた。
送り状と中に入れた手紙を確認をしながら、あたふたとガムテープでふたを閉じようとしていると、中にいたお客さんが「手伝おうか?」とそばに来てダンボールの口をおさえていてくれて本当に助かった。

 

今日は東京、兵庫、山口へ送った。

冊数が多い時はダンボールに入れて送る。近くのホームセンターで購入し、土佐町のスタンプを押している。
(土佐町スタンプについてはこちら
今まで何度も郵便局から送っているから、郵便局の人たちも箱に何が入っているのか知っていて、「たくさんの人に届くといいね。」と言う。

発送作業をいろんな人に助けてもらって「今日はいい日やなあ…。」と思いながら送料を支払い、さあ帰ろうと車に乗ると「トントン」と窓ガラスを叩く音が。
顔をあげると郵便局の窓口の人が立っていた。
「『あの本、どんな本なんやろう?読みたい』って(郵便局の人が)言ってるんやけどまだ残ってるかな?」そして「郵便局にも置いたら?同じ土佐町にあるんやから!」と言う。

もう全部送ってしまって手持ちの分が1冊もなかったから、土佐町役場に取りに行き、郵便局へ届けた。
読みたいと言った人が「わあ!」とすごく喜んで受け取ってくれて、とてもうれしかった。
郵便局の窓際にちょうどいいスペースがあって「ここに置いていいですか?」と聞いたら「もちろん〜。まるでそこに置くことが決まってたみたいにスペースが空いてたね〜。」と笑って言ってくれた。

 

今日私は郵便局で、何回「ありがとう。」と言っただろう。
小さな町だからこそ、こんなやりとりをしながら本を送ることができる。

きっと今日の郵便局での出来事で感じたうれしさも、この本にのって届くんやないかな、とそんなことを思った。

 


 

『とさちょうものがたり ZINE』はこんな風に土佐町の郵便局から色々な土地へ、色々な人の元へ送られています。

手にとってくれた人たちが楽しみ、そして同じ日本の中にある高知県の土佐町という町を少しでも感じてくれたらとてもとても、うれしく思います。

 

[創刊号] とさちょうものがたり ZINE 01

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
土佐町ストーリーズ

エンコウ渕(峰石原・東石原)

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

峰石原の谷の渕の一つに、昔エンコウが棲んでいたと言われる渕がある。

土地の老婆おりえと言うものの年若い頃生んだ子どもは、生まれるとすぐに立って走りまわり、頭のいただきに皿のようなものがあったので、エンコウ渕のエンコウにみいられたものであろうと評判になって、家族の者が恐れて頭の皿に釘を打ちこんで殺したということじゃ。

また、東石原の惣川(そうかわ)のフクチビというところの渕にもエンコウが、棲んでいて、そこの近くの農家のおさとと言う娘が、そのエンコウにみいられてみごもったので、近所の猟師が鉄砲を持って渕をねらったと。

するとそれだけでエンコウはねらわれたところに弾に打たれた孔(あな)のようなものができて死んでいたと言われ、その後この猟師の一家には不幸がつづき、御祈祷でみてもらうとエンコウをねろうたたたりだと言い伝えられているそうじゃ。

 

町史(桂井和雄 「土佐の伝説」第二巻より)

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

川村五博

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「葉隠 1」 奈良本 辰也 (翻訳),‎ 駒 敏郎 (翻訳) 中央公論新社

勤め人とは何か。

社長でも経営者でもないものの、

どう生きどう死ぬか。

おとぎ話のような、失敗談のような、

古(いにしえ)のもののふの生き様は、時に勤め人の心得であったり、教訓であったりする。

何が正しくて、何が誤りなどない。

ただそこに道があるだけ。

私の夜、寝る前に読む本。

川村五博

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
3 / 512345