石川拓也

図らずもTPP。あっちのTPPではありません。

土佐町在住の写真家、石川拓也がひと月に1枚のポストカードを作るプロジェクト。

2016年11月から始まり、たまに遅れたりもしながら、いちおう、今のところ、毎月1枚発表しています。

各ポストカードは土佐町役場の玄関と道の駅さめうらにて無料で配布しています。

写真:石川拓也 宛名面デザイン:品川美歩

土佐町ポストカードプロジェクト

2023 Aug. 高須

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

 

場所は高須の「弁才天」の前。地元の人は「べらいてん」と読みます。

弁才天を背景に、と思って行ったところ、手前のこの風景に目を奪われました。

青々とした夏の緑、まさに夏!の雲と空。朝から汗だくになるような蒸し暑さの中、空の広さと高さ、その下に広がる緑の鮮やかさに撮影場所を急遽変更。

まだ小さな式地春陽ちゃんは、お母さんから離れた一瞬にもうこの表情。文字通り、一瞬のシャッターチャンスで撮れた一枚です。

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
土佐町ポストカードプロジェクト

2023 July 溜井

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

溜井 | 森澤生・悠・南月

 

梅雨の溜井。朝からどんよりと曇った空は、この日の昼からぽつぽつと雨を降らせました。

土佐町の山は雲が近い!7月中旬の田んぼはきれいな新緑の緑に色づいています。

畦を一列で歩いているのは森澤生ちゃん、悠ちゃん、南月ちゃんの3姉妹。

各々が手にしているのは傘がわりの「りゅうきゅう」の葉っぱ。この葉っぱも森澤さんのご実家に生えていたものを持ってきていただきました。

 

 

 

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
土佐町ポストカードプロジェクト

2023 June 田井

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

田井 | 井上颯人・綾乃・尚哉

 

6月前半の晴れた春の日。田井の田んぼは水が入って、稲が植えられる時期になりました。

田んぼの持ち主の小笠原さんにお許しをいただいて、子供たち3人田んぼで遊ばせてもらいました。稲が植っていないこのタイミングがちょうど良いタイミングだったのかもしれません。

夏の暑さはまだ無いものの、昼の太陽を浴びて水は暖かい。たくさんのオタマジャクシが元気に泳いでいます。

奥にはさめうらダムから流れる水が川に注ぎ込んでいます。

田んぼで嬉しそうに遊んでいる3兄妹。井上颯人くん、綾乃ちゃん、尚哉くんの3人です。

 

 

 

 

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
土佐町ポストカードプロジェクト

2023 Apr.  一の谷

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

一の谷 | 山門民

 

稲叢山の麓に広がる一の谷。以前別の記事でも紹介したことがありますが、ここは谷種子さんがせっせと植えた桜が満開になる場所です。

標高が高いので、他の地域と比べると満開の時期はそうとう遅め。

今年は4月の後半に写真のような光景が見れました。写真で見るよりも、実際の場所はもっと遥かに広大な桜の林。

その桃源郷のような林の中を踊るように遊んでいるのは山門民ちゃんです。

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
土佐町ポストカードプロジェクト

2023 Mar.  地蔵寺

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

地蔵寺 | 澤田武

 

桜が満開の3月後半、場所は地蔵寺のキャンプ場。

ここには写真のように、小さな木製の橋がかけられています。この季節にはピカピカの新しいものになっています。

毎年春に新しいものがかけられて、冬には外されています。

これはどうやら地蔵寺の地元の方々が毎年決まった時期にされているそうで、こういうところに「地域を整備する」「環境を手入れする」という具体例をみることができます。

こういう小さな「手」がたくさん積み重なって、「町」という環境が成り立っているんでしょうね。

「渡れるかな〜やっぱり怖いな〜」と迷っているのは澤田武くん。

この3秒後にはお父さんが抱っこしていました。

 

 

 

 

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

石川拓也

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

 

「べリングキャット デジタルハンター、国家の嘘を暴く」 エリオット・ヒギンズ 筑摩書房

 「国家は平然と嘘をつく。
その虚偽を真っ先に暴いたのは大手メディアではなく、
オンラインに集う無名の調査報道集団だった。
世界中が注目する彼らの活動を初公開する。」

これがこの本の謳い文句。

べリング・キャットとは「猫に鈴をつける」という意味。ネットが趣味で、平凡なサラリーマンだった著者のエリオット・ヒギンズは、ある時「アラブの春」の現地映像を見て疑問に思う。

写っているのは反政府軍のメンバーで、だがしかしその町は政府軍・反政府軍が共に「制圧した」と宣言していた場所だったのだ。

嘘をついているのはどっち?

そこでヒギンズはネットを駆使して真実に迫っていく方法をひとつづつ試していく。反政府軍の映像を丹念に見て、それを地図に書き起こし、双方が制圧を主張する町の地図と丁寧に比較していく。

武器はyoutube, facebookなどのSNS, そしてGoogle map や Google Earth。彼の調査は全てネットの中で進行していく。

結果は、Google 上で確認した地図から反政府軍の映像は間違いなく本物であるということが証明され、政府軍の嘘が明るみに出ることになりました。

これを皮切りに、ヒギンズはネット調査報道という手法を確立していきます。

極めつけは、2014年に起きた「マレーシア航空17便撃墜事件」。

旅客機がウクライナ上空で何者かに撃墜され乗客283人と乗組員15人の全員が死亡した事件です。

撃墜したのは何者か?

ウクライナは「自国ではない。犯人はロシアまたは親ロシア派軍部である」と主張。

ロシアは「犯人はウクライナである。ウクライナ軍戦闘機2機が旅客機の周囲をまとわりつくように飛行していたという証拠がある」と主張。

真っ向から対立するものとなりました。

この争いは国際的に大きなニュースになったものですし、結論をご存知の方も多いと思いますので敢えて書きません。

しかしこの事件の真実を追及する数多くの手の中に、このべリング・キャットがとても重要な役割を果たしていたのです。

本書はその一部始終が明らかにされていきますが、その手法は言うまでもなく非常に現代的・最先端のものであります。

詳細はもちろん読んでいただきたいのですが、時代の変化を如実に感じられる一冊です。

 

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

石川拓也

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

 

「本屋で待つ」 佐藤友則/島田潤一郎 夏葉社

 広島県庄原市の書店「ウィー東城店」。

著者の佐藤さんはこの町の本屋さんの店主さんです。

お父さんから受け継いで店長に就任し、赤字続きだったこのお店を「どうしたら黒字化できるか」というところから奮闘がスタート。

その奮闘の中、佐藤さんは気づいていく。黒字化するということは地域のお客さまにどれだけ求められるかということであって、地域の本屋さんの本質とは「地域の頼みごとが集まる場所」だということ。

その頼みごとを可能な限り解決することこそが書店の役割であり、そういう場所として書店が機能した時には、お店は地域コミュニティのハブのような場所になっていく。

その結果として、引きこもりの若者や心が弱った人などが、「ここで仕事ができないだろうか」と相談に来る場所となり、そしてそこで仕事を始める若者たちは、社会との接点を「ウィー東城店」の仕事の中で取り戻していく。

店長の佐藤さんは、教えたり指導したりというよりかは、彼ら若者が自分のペースで立ち上がるのを「待つ」ことを大事にしている。

だからタイトルは「本屋で待つ」なのです。

巻末にも書かれていたことですが、僕自身もここ10年ほどで感じている仕事の質の変化を感じさせる一冊です。

つまり、より早くより多く仕事し稼いだものが勝つという旧来の資本主義的弱肉強食の世界から、「周りをどれだけ幸せにできるか」という競争に世界はシフトしてきている。見えない速度で、だが着実な変化です。

ここにもひとつその証左が。そしてそれを実践している人たちがいる、それを実感できる物語です。

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
土佐町ポストカードプロジェクト

2023 Mar.  上野

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

上野 | 三瓶素生・偲生・澤田時生・旅生

 

こんなところがまだあったのか、という嬉しい驚きでした。

上野を車で走っていて、西側にチラチラと見え隠れする川。その一箇所に、このような堰堤がありました。

石垣で作られているところを見ると、だいぶ古い時代のものなのかなと想像します。

まだコンクリや重機が存在しなかった時代に、地元の方々がみんなで作ったものなのでしょうか。

この地に生きた先祖にあたる世代の方々が汗をかいて作ったことは間違いないでしょう。少しでも水の流れを緩やかにしたい、人々の暮らしにとって利のあるものにしたいという情熱のようなものをそこに感じます。

現代の私たちの暮らしはそういった前の世代の仕事の上に築かれているという当たり前の事実を実感させてくれます。

ちなみにこの水の透明度、写真的な加工は一切入れていません。

堰堤の上を行ったり来たり、たまに尻もちついてお尻が水浸しになったり。4人は三瓶家の素生ちゃん・偲生ちゃん、澤田家の時生くんと旅生くんです。

 

 

 

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

石川拓也

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「ヤノマミ」 国分拓 新潮文庫

同タイトルのドキュメンタリー作品があるので、そちらを観た人が多いかもしれません。「ヤノマミ」とはブラジルとベネズエラの国境付近に住むヤノマミ族のこと。

彼らの中にNHKのカメラが入り、150日間の同居を通して、ヤノマミの生き方を記録していく。

そうやって編まれた「NHKスペシャル ヤノマミ」は、数多くのドキュメンタリー映像を観てきたように思う僕にとっても、衝撃度という意味ではダントツの一位で、それは観てから10年以上経った現在でも変わりません。そのぐらい、自分の死生観や価値観が根底から揺さぶられるような作品だったのです。

ヤノマミの世界では、人間は精霊として生まれ、母に抱かれることで人間になると信じられています。

母となる女性は自らが産んだ赤ん坊を、自身の子として受け入れ育てるか、もしくは精霊の元へ返すかという選択をするといいます。

精霊の元へ返すというのは即ち、産んだ赤ん坊をその場で殺めて、白蟻に食べさせること。

実際に取材班はヤノマミのひとりの女性の出産に同行し、出産を終えた彼女が産まれたばかりの赤ん坊を「子として育てるか」「精霊の元へ返すか」という決断をする過程を撮影しています。

そしてこの番組の中で、その女性は「精霊の元へ返す」という選択をしたのです。

『母としての「無条件の愛」は、人間として生物として非常に根源的な部分に根ざしていて、それは例外はあれどヒトにとって本能的に備わったものである』という前提を漠然と持っていた僕は、このエピソードを観てひっくり返ったのです。

母の「無条件の愛」ですら、場所や時代や文化が違えば当たり前のものではないのだ。人間を根本から考え直す機会を与えてくれる作品に出会うことはそれほど多くはありませんが、だからこそ「ヤノマミ」は僕の中で忘れられない作品になっています。

*調べたところ、「ヤノマミ」はNHKオンデマンドなどで(有料ですが)現在でも視聴できるようです。

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
土佐町ポストカードプロジェクト

2023 Feb. 立割

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

立割 | 高橋立楓・杏月

 

寒波が去った後、2月の立割。

冬の終わりを感じさせるような暖かな陽射しの元、高橋立楓ちゃん・杏月ちゃんの姉妹と田んぼに繰り出しました。

まだ空気は冷たいけれど、地面からは小さな春の胎動を感じるような季節。

個人的には、まだかまだかと小春日和を待ち望みながら、繰り返し戻りくる「三寒」にがっかりする日々でもあります。

この三寒があるからこそ、もうすぐそこまで来ている春の嬉しさがひとしおでもあるのでしょうね。

分厚いコートを脱げるのももうすぐです。

 

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone