私の一冊

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

古川佳代子

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「線は、僕を描く」 砥上裕將 講談社

生きていく気力を失うほどの痛手を負ったとき、人はどうやって生きのびていくのでしょう?

どのくらいの時間をかければ、再び生きていく気持ちを取り戻せるのでしょうか?

大学生の青山霜介の場合は“水墨画”との出会いが“それ”でした。全く水墨画の知識はなく、興味関心もなかった霜介でしたが、アルバイト先で出会った水墨画が、恢復へと導いてくれたのでした。

水墨画とは筆先からうまれる「線」の芸術です。そして線が描くのは題材である草木の命です。草木の「生」に寄り添い、有りようを探り、描きながら、霜介は再び生きる力を取り戻していきます。

霜介を取り巻く登場人物も魅力的ですが、なかでも師匠である湖山先生の言葉は含蓄にあふれています。「できるのが目的じゃないよ。やってみることが目的なんだ」「挑戦と失敗と繰り返して楽しさを生んでいくのが、絵を描くことだ」などなど。これらの言葉は主人公にかけられた言葉ですが、読み手の私にも響く言葉の数々に出会えた本でした。

 

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私の一冊

鳥山百合子

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「たんたのたんけん」 中川李枝子作, 山脇百合子絵 学習研究社

今にもページが破れ落ちそうなこの本は、「たんたのたんけん」。

「くりのきまちで  いちばんいさましいおとこのこ たんの・たんた」君が、誕生日に「足もとへとびこんできた」地図を手に、探検に出かけるお話です。

たんたは探検の準備をするために、買い物をします。まずは帽子屋さんで帽子を、次にお菓子屋さんでキャンディを、最後におもちゃ屋さんで銀色の望遠鏡を。ヒョウの子「バリバリ・バリヒ」と共に、ライオン岩に飛び乗り、ジャングルを抜け、いよいよ着いたところは…?この先はぜひ本で!こどもが喜ぶこと請け合いです。

私が子どもの頃、惹かれてやまなかったのは、たんたがお菓子屋さんで買ったキャンディの存在です。それは「ザラメのついた、三かくのあかいストロベリィ・キャンディ」で、「口にはいるのがやっとの、大きないちごのあめ」であり、「今すぐなめても、おひるまである」という何とも魅力的なあめなのです。

本を読むたび、そのいちごの味が口の中に広がっていきました。そんな訳ないじゃないかと思うかもしれませんが、子どもの頃は本当にその味がしたんです。きっと、子どもってそういう力があるのです。

挿絵にあるのですが、たんたが行ったお菓子屋さんにはガラスのショーケースがあって、その中にいちごのあめが売られています。このお菓子屋さんに行きたい!と心の底から思っていました。それからもう何十年も経ちましたが、未だこういったお菓子屋さんには出会えておらず。でもまだ諦めた訳じゃありません。いつかどこかで、たんたと同じ本物のストロベリィ・キャンディを味わってみたいです。

 

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私の一冊

山門由佳

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「バカのものさし」 養老孟司 扶桑社文庫

 たまたまつけたテレビに養老先生と老猫との暮らしが映った。 養老先生はおだやかな語り口で鋭いことをズバッとわかりやすく伝えるその姿に一気にファンになってしまった。 それからというもの、著書を土佐町図書館で借りたり、ネットで言葉を拾い集めたり、古本屋を漁ってみたりと。 夫に話すときにも二言目には「養老先生が〜、養老先生が〜(こう言ってた)」とまるで信者である。

この著書は全国の小学生〜高校生が養老先生に疑問に思ったことや悩みを相談し、それにこたえていくようなかたちで綴られている。子どもたちにもちゃんと読めるように漢字にはふりがなが振られ、先生も難しい脳の仕組みや社会の問題について噛み砕いて説明してくださっているのでとてもわかりやすい。

養老先生の持論の中で〈田舎暮らしをしたらいい〉というのがある。(せめて子供が義務教育の間は特に) 田舎暮らしのなかで、思うようにならない自然を相手にする農作業をすることによって【努力・辛抱・根性】がつく。 からだをつかって、薪を割り、火が燃え上がるまでの手順を知ることの大切さ。 なんでもボタンひとつで風呂もお米も炊けて機械がやってくれる世界の脆さを熱く語っていらっしゃる。 うんうん!とすごくうなずける内容で、ふと自分の生活を振り返ってみれば。 田舎に越してきたものの、掃除機で掃除して、ガスで料理して、電気で風呂を沸かしてる…。「はて?これは本当に田舎暮らし?」 反省とちいさな違和感が育ち始めている。。。

 

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私の一冊

鳥山百合子

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「干す」 西村豊 光村推古書院

日本各地に残る「干す」風景の写真集です。

大根、柿、小豆、くるみなど、食べ物を干す風景はもちろん、びっくりしたのは富士山山頂の山小屋の布団を「干す」風景。「干す」をテーマにしているから当然なのですが、そうきたか!と意表をつかれました。日本一高い場所で干されている布団たちの気持ちよさそうなこと。一回でいいから、ここに寝っ転がって空を眺めてみたいです。

他にも長野県大鹿村で作っている「山塩」を干す風景も。長野県は海がない県なのに塩が取れるのでしょうか?山の地下水が塩水で、それを煮詰めて作るのだそうです。真っ白な塩から立ち昇る湯気の向こうには、山塩を作るお父さんの姿が。ここにその人がいて、この風景があると思うだけで大鹿村へ行ってみたくなります。

私も何か干してみたくなりました。とりあえず布団と、塩漬けしたままになっている梅干しを干してみようかと思います。次の休みが、良い天気でありますように!

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私の一冊

川村房子

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「わたしは繊細さん」 武田由紀 飛鳥新社

表紙に「まんがでわかる!」(漫画,竹嶌波)と書かれているとおり、漫画なのでとても読みやすい。

この本を読んではじめてHSP(敏感すぎる人の意で、作者は繊細さんと名づけている)といわれる人がいる、5人に1人はいて、専門カウンセラーがいることも知りました。

上司の機嫌が悪いと自分に関係なくても緊張してしまう。電話の音や、すれ違う人の柔軟剤の匂いまで気にかかる。まじめすぎたり、気にしすぎたりするというのではなく、繊細さんといわれる人がいるのです。

繊細さんにとって大切なことは、自分らしく自分のままで元気に生きる。本音と感性を大切にする。自分にあう環境を選ぶ、と書かれています。

気を付けなければいけないことにも気付けなかったりするがさつな私ですが、それでも心にとめておきたいと思います。

 

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私の一冊

山門由佳

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「包  日本の伝統パッケージ、その原点とデザイン」 岡秀行 コンセント

毎日毎日、プラスチックの包装を捨てるのが煩わしい。 あれもこれもどれも、プラスチックに包まれている。

言うなれば、わたしの焼いた煎餅もプラスチックに包まれている。 プラスチックでなければものの見事にすぐ湿気てしまう運命にある煎餅と、プラスチックの切っても切れない関係に悩ましさがある。

プラスチックの優れた点、恩恵にあやかりながらもやっぱり昔の自然素材を使ったこの包み方には憧れが抑えきれない。 木、竹、笹、藁、土、紙。 彼ら【包む】メンバーの見事な仕事ぶり。 仕上がったその姿も堂々たるもの。

いいなぁ〜いいなぁ〜
煎餅もなんとかならんもんなのか。

ひとまず、笹でおにぎりを包むことからはじめてみようか。

笹探しスタート!

 

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私の一冊

西野内小代

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「マスカレード・ナイト」 東野圭吾 集英社

土佐町から映画館は遠い!それならば、いち早く原作を読みましょう、と思い立ち「マスカレード・ナイト」を入手。

ネタバレになるのは避けたいのでストーリーなどを仄めかすことは致しません。

小気味良くストーリーが展開、際立つ人物像、私にとっては キムタク と 長澤まさみ が本の中から飛び出して、私一人を観客に演じているかのよう!

しばし日常を忘れて、東京の一流ホテルに滞在しました。

 

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私の一冊

川村房子

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 「魔笛」 野沢尚 講談社

我が家の本棚にあった一冊。迫真のサスペンスと書かれているので、私が買って忘れたとは思えない。

渋谷のスクランブル交差点で爆弾テロ。犯人は新興宗教の信者であった照屋礼子。元は公安警察が送り込んだ警察庁警備局の警察官。それを追うのは刑事鳴尾良輔。夫殺しの取調べをした犯人の妻藤子と獄中結婚をしたという複雑な事情をかかえている。

一方、内密に事を収めたい公安も黙ってはいない。次の爆弾テロの予告。鳴尾が犯人への糸口をつかんだことで、手錠で繋がったまま爆死したいと望んでいるのじゃないか、複雑な思いを抱いているのじゃないかと心をいためる藤子。

礼子は、身代金をのせた車を東京中、走らせ警察の目を集中させておいて、全く違う場所に爆弾を仕掛けた。来るともこないともわからない、きっと来る鳴尾の到着を待っていた。情念とも怨念ともわからない。いろいろな思いや行動がからまりあいながら解決へ。

読みすすめるうちにオウム真理教がダブってみえてきたりする。

 

 

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私の一冊

西野内小代

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「植物はすごい  生き残りをかけたしくみと工夫 」 田中修 中央公論新社

土佐町においての生活で欠かすことのできない大問題、草木の成長にどう対処していくか!決して先回りすることはできないばかりか、追いつくことすら困難…。弱々しい草に思いがけずとんでもない棘があり、悪戦苦闘です。とどのつまりは、どのように折り合いをつけていくかという境地に達する。自然の逞しさ、ずる賢さに太刀打ち不可です。畏敬の念を込めてこの本を読むことに。

郵便葉書の「葉」という漢字はハガキノキという植物(正式名称はタラヨウ)が語源で、葉っぱに文字がハッキリと浮かび上がるのだそうです。郵政局のシンボルツリーです。

とんでもなくビックリしたのは、あの美しい「シャクナゲ」にも毒があるという事実です。我が家の庭にも2本あり、毎年とても華やかな女王様のような花をたくさん咲かせてくれます。あれにも毒があるの?そういえば病気になったり、虫の餌食になったりしない…。

植物の知恵に敬服です。

自然の知恵を学べる一冊です。

 

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私の一冊

澤田みどり

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「世界一美味しい手抜きごはん」 はらぺこグリズリー KADOKAWA

秋です。食欲の秋です。私は一年中、食欲ありありです。私の必殺お助け本を紹介します。

朝ご飯は、夫婦二人で毎日、まあまあ同じメニューを食べてます。お昼ご飯は、従業員(長男)を含めて三人です。ちゃちゃっと出来て、材料費お安めを目指しております。そんな時お役に立つのが「世界一美味しい手抜きごはん」。はらぺこグリズリーさん著、KADOKAWAさんから出てます。初著書の「世界一美味しい煮卵の作り方」からお世話になっております。

一番作るのが、鶏肉料理と豚肉料理です。悲しい事に、我が家では赤うし料理は滅多に出てきません。この本の良いところは、家にある材料で、短時間で作れるレシピが多い事です。

まあ、とにかく表紙にも書いてあります。『最速!やる気のいらない100レシピ』。

やる気が出ないけど、とにかく作らなくては…という時、お役立てください。

 

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