藤田純子

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

藤田純子

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「すんだことはすんだこと」 ワンダ・ガアグ再話・絵 福音館書店

舞台は昔むかしのボヘミアの農家。赤ちゃんが一人いる夫婦のおはなし。

男と女、どっちが大変なんだ!っておはなし。

この本に出てくるおやじさんは「自分の仕事がずっと大変だ!」といつも思っていた。

「ちっとも楽じゃありませんよ!」と奥さん。

「ちっとも楽じゃないってか!おまえさんのやることといったら、ほんのちょっと家のまわりをのたりくたりぶらつくだけじゃないか」とおやじさん。

それじゃあ、お互いの仕事をとりかえっこしてみようじゃないの、となりました。

さてさて、その結末は…。

「すんだことはすんだこと」って、どっちのセリフでしょう。

藤田純子

 

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私の一冊

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「チャルカといっしょに東欧の手づくり」 CHARKHA  雄鶏社

手仕事が大好きで、自分で使うものや実用的な物、何でもなるべく自分でつくってきた。

何もせずにボーッとすることがもったいない!手仕事をするゆとりがなくなるとストレスがたまる!

そんな風にせかせかと過ごしてきた気がする。

少し歳をとってこの頃は何もせず、ボーッとしていたい時がある。そんなときはお気に入りのこの本を眺めて癒される。

色々とやった気になる。ただ、うれしくなる。

藤田純子

 

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「心の色 ことばの光」 清水妙 新日本出版社

 

「万葉集」の天武天皇と、妃のひとり藤原夫人の雪のうたのやりとり。

【天皇】わが里に大雪降れり大原の 古りにし里にふらまくは後(のち)
→私のところには大雪が降ったぞ。だかあなたのいる大原は古ぼけた時代遅れの田舎だから、雪のもうちょっと後になって降るだろうな

【藤原夫人】わが岡のおかみに言ひて降らしめし 雪のくだけしそこに散りけむ (*おかみ…岡や水辺に住む龍神)
→何をおっしゃいます。私の岡の龍神に命令して降らせた雪のそのちいさなかけらがそちらに散っていたのでしょう。

天皇のからかいの歌に対し、余裕の笑みを浮かべて答えた藤原夫人。2人の住まいは歩いて15分ほどの近さであったことも可笑しい。

仲の良いふたりがしゃれた言葉あそびをしている。

「徒然草」「枕草子」「方丈記」など古典に出てくる人々は、真面目で堅苦しいイメージを持ちやすいですが、彼らはユーモア、ロマンティスト、男気、色気、ポジティブ、せっかち、涙もろい、恋多いなど親しみのもてる素の性質が歌に入り、この本を通してとても魅力的な人々に出会えた。そんなうれしさを味わった。

ことばの言い回しが難しいので、学生の頃から全く興味を持てなかった古典。故の知識のなさにちいさなコンプレックスを持っていたけれど、現代語の説明があるこの本に、まさに「学び直し」させていただき、ためになった!得した気分です。

藤田純子

 

 

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「まもりたい、この小さな命」 原田京子写真,高橋うらら文 集英社

生まれたばかりで捨てられた。引越しの時置き去りにされた。災害にあい取り残された。野良犬になって人に恐怖心を持つようになった。飼われていても虐待されたりひどい飼い方をされたり、決して幸せではなかった…。行き先を無くしてしまった犬や猫には色々な理由があります。

そんなペットたちを保護し、きちんと世話をし、傷ついた心に気長く寄り添い新しい飼い主を探す。そういう活動を動物保護団体アークは30年近く続けている。児童文学作家高橋うららさんとアークの動物たちを撮影することをライフワークにしてきた写真家原田京子さんが取材し、まとめた一冊。

物言えぬ一つ一つほ命(魂)のいとおしさが胸に迫ります。

藤田純子

 

 

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「ワンダー」 R・J・パラシオ作 ほるぷ出版

私が以前、美術館で出会った小さな男の子。その子を見て、変わったお面をつけてふざけているのかなとほほ笑みかけたら、お面ではなかった。正直、ギョッとしてしまった経験がある。

多分「ワンダー」の主人公オーガストと同じ、“トリーチャーコリンズ症候群”という染色体の先天性異常で、顔や耳の骨がうまく整形されず顔の形が変形してしまう病気だと思う。

一緒にいた家族はごく自然であった。

 

私の示した反応は、おそらくまちがっていたと思う。

正解もわからず、この本を読む機会を得て一気に読んだ。

オーガストは言っていた。

「自分がふつうの10歳の子じゃないってわかっている。といっても、もちろんふつうのことをするよ。アイスクリームを食べる。自転車に乗る。ボール投げをする。ゲーム機を持ってる。そういう意味でいえば、ぼくはふつう。多分。そして、ふつうの感情がある。心の中はね。だけど、ふつうの子なら公園で会ったふつうの子に悲鳴をあげられて逃げられることはない。ふつうの子なら、どこかへ行くたびにじろじろ見られることもないよね。」

 

重度の障害をもつ人も、ふつうの人。

そんなわかりきったことを再認識させられた自分に少しがっかりした。

クールなオーガストと様々に個性豊かなクラスメート、とりまく大人たちとのストーリー。そしてハッピーエンド。

映画化もされたベストブックです。

藤田純子

 

 

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