山門由佳

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

山門由佳

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「ルナティック雑技団」 岡田あーみん 集英社

漫画をすっかり読まなくなって久しい今日このごろ。小〜中学生の頃はよく読み、よく買っていました。たくさん持っていた漫画も大きくなって全部売り払い、それは服や靴や遊びに使うための資金に替わりました。 でも、唯一手放せなかった漫画、、、それはこの『ルナティック雑技団』です。

この漫画の風変わりで高すぎるテンションと濃すぎる登場人物…こんな漫画はそうそうなく、この世界観を理解してくれる友もそうそう居なく(笑) この『ルナティック雑技団』が好きな方は一報下さい…! 嬉しいです、握手しましょう!!!

カリスマ性が凄い孤高の貴公子、14歳の天湖森夜くんを巡って巻き起こる事件の数々と彼を取り合いする女達(特に彼の母親、ゆり子がこれまた強烈キャラ)の学園物語。 こんなサラッとした説明では終わらないような漫画なんですけどね。 説明のしようがない感じです。

 

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私の一冊

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「小学生のことわざ辞典」 学習研究社

目は口ほどに物を言う  住めば都 備えあれば憂いなし  知らぬが仏  安物買いの銭失い… シンプルな言葉と少ない文字数で深〜い意味のある言葉を生み出した昔の人はなんて凄いんだろうとしみじみ思います。

ことわざや慣用句を好きになったのは、まちがいなくこの本のおかげで、小学生のころに買ってもらったこの本は今では宝物です。イラストとその色使い、人物の表情がなんとも昭和で、このイラストに惹きつけられて小学生のときボーッと眺めてました。そのおかげかなんとなくことわざや慣用句が頭に残っていて、ついつい今でも会話のはしばしにことわざや慣用句を使いがちな私です。

ひとことで納得できる強い言葉たちです。 魔法の呪文のような。 息子には「猿も木から落ちる やで!」 娘には「内弁慶の外地蔵やなぁ〜」 夫には「早起きは三文の得って言うやろー」 母には「老いては子に従えって言うやん?」 などと魔法の呪文を唱えて、日常生活にフル活用している私の人生は【一難去ってまた一難】、、、いえいえ【渡る世間に鬼はなし】でございます。

 

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「一緒に生きる 親子の風景」 東直子, 塩川いづみ 福音館書店

育児本のタイトルはやけにインパクトがあって、“〜歳までに◯◯できる子に”など焦りを感じさせながら悩み多き母の弱みにつけ込んだ題名が多いような気がしています。でも、大抵そういった本を読んだあとは余計に空回りする自分に気づいたのはいつからでしょうか。

【育児】という答えがありそうでないジャンル。 気合を入れて、絶対にうまくいかせないといけないような気にさせる強迫観念のマジカルワールド。

子育てを終えた著者の温かい目線、思い出のエピソード、育児に対しての考えを読んで心に明かりがぽっと灯されました。育児は毎日がワイルド&ハード。 弱りやすい母親に本当に必要なのは 『心配しすぎなくてもいいんだよ』 というやさしいメッセージ。この本にはそんなやさしさが詰まっています。たくさんのお母さんに読んでもらいたいです。

もうじき私も幼児期の子育てを終えます。

−うれしくて、さみしい。よろこばしくて、かなしい。

−長い人生からすると、とても短い期間なのに、育児の最中は、永遠に続くしんどい時間のように感じることもあった。必ず終わってしまう時間なんだよ、もっと楽しみなさいよ、とあのときの若い自分に耳打ちしたい。

−子どものときの時間は、最もおもしろくて、楽しくて、貴重で、大変で、不安で、辛くもあった いろいろあって、いろいろ終わって、そして、二度と戻らない時間なのである。

どれもこれも胸を打つ文章に、たくさん励まされた本でした。 出逢えてよかった一冊です。

 

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「97歳 料理家 タミ先生の台所 おさらい帖」 桧山タミ 文藝春秋

タミさん。わが娘と同じ名前ってだけですでに親近感を覚えます。 福岡で生まれ、現在大分の山奥で暮らされています。 60年という長きにわたって、日本をはじめ世界の家庭料理をたくさんの方々に教えていらっしゃいました。

こちらの著書にはタミ先生愛用の道具、鍋や器にエプロンまで、台所にまつわる品々が紹介されています。

まずはタミ先生の代名詞ともいえる銅鍋の紹介からはじまり、おひつ(冬場は藁いずみという籠におさめて保温する)、梅干しやお水や塩をいれるそれぞれの壺、サラシや竹皮を日常使いする暮らしは 《料理をつくること。 実はそれは地球環境と台所は深く繋がっている》というまさかの事実にもはっとさせられました。

スーパーに行けば、簡単に早く出来上がる便利な商品やプラスチック製の安価な商品が溢れています。自然素材でつくられた昔ながらの道具をひとつでも取り入れたら、きっとその使い心地になにか気づきがあるかもしれません。

わたしはこの本を読んで、火鉢をはじめてみました。 −『わたしは宝石よりよい鍋が好き。鍋なら家族みんなが温まるから』

 

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「高知 アヴァンギャルド」 東京ニュース通信社

書店に入ってすぐの一番目につく棚にバーン!とずらずら並べられたこちらの雑誌?いやガイドブックに手をとらないでいるほうが難しいほどに冴えたデザインに目を奪われました。そしてページをめくると、なみなみと溢れる高知のディープな面白さ… そう!わたしはこのラテンで濃厚な感じに惹かれて引っ越したんだったってことを思い出しました。

高知県はすばらしい大自然と共に生きる人々の温かさ、細かいことは気にしない器の大きな県民性に魅力を感じています。そんな高知県人の方々がつくりあげた場所やお店に商品、カルチャーがたくさん紹介されています。

なかには訪れたことのある場所や店、食べたことのある品、話したことのある人が載っていました。まちがいなくその方々、品々、場所場所はどれもナイスで素晴らしいので、きっとこのガイドブックの情報に間違いはございません…。

さっそくこのガイドブックを手に南国市にある『白木谷国際現代美術館』を訪ねました。載っていた写真の作品は想像をはるかに上回るスケールで、そこからたちこめる熱量に圧倒されました。 館外にある作品群は、山や川の自然と共生&共鳴しながらもびんびん伝わってくる生命力の塊のような作品でした。

鑑賞し終わったあと、作者でいらっしゃる武内光仁さん御本人が作品とは裏腹に穏やかにたたずみ、そのそばでやさしく微笑まれている奥様はガイドブックの写真どおりでありました。そして淹れてくださった珈琲をいただくひとときに、まさに《高知》をひとしお感じました。高知県は自然と、情熱と、やさしさでできています。

 

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「セツローさんの随筆」 小野節郎 信陽堂

 高知県香美市のお山に暮らす布作家・早川ユミさんのお舅さんにあたる小野節郎さんの著書です。

早川ユミさんの文章を読んでいるとたびたび出てくる『セツローさん』のお名前。いったいどんな方なのかしらと前々から気になっておりましたら、なんとありました。土佐町図書館に『セツローさん』の著書が。

岡山に生まれ愛媛で長くレントゲン技師をなさっていたそう。子どもの頃の懐かしい思い出話や、家族や親戚のよもやま話をのんびりとした語り口でありありと情景が浮かびます。読みすすめながら私もおもわず『セツローさん』の隣にいて一緒に時を過ごしてるような気分になっていました。

載っている挿画や木彫り、手びねりでつくられた土人形はどれも『セツローさん』がつくられたもので愛らしくそばに置いておきたいなぁとおもう作品ばかりでした。お会いしたこともないのに、親近感を感じる不思議な『セツローさん』。お会いしてみたかったです。

−幼かった日、私は幾度か垣間見たことがある。 寒い夕暮れ、漬け終わった糠の上を、母がひたひたと、手のひらで、優しく、愛おしむように叩きながら、「おいしく漬かっておくれ」「いいダイコだから、きっと、おいしく漬かっておくれね」 と、漬物に話しかける姿を。

 

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「絵本 はだしのゲン」 中沢啓治  汐文社

8月、広島平和記念資料館へいきました。近頃、元来の乗り物好きが高じて戦争や戦艦、戦闘機に興味をもちはじめた息子に戦争の凄惨さ、非道さを伝えたいと思い‥ 今の日本の多くの人が戦争を未経験であり、わたしももちろん未経験。阪神大震災を体験したから、地震の恐ろしさは伝えられるけど、戦争は経験したことないゆえにどうやって伝えればよいのか改めて「伝える」側になってその難しさを思い知りました。

ただただ【戦争はダメ!】だけでは、小さな子には伝わらない。何が起きて、何がどうダメなのか。自分自身がよく知らないとそのことを伝えられないこと痛感して、私も学ぶために広島を訪れました。

この絵本は平和記念資料館の売店で手に入れたもの。 すべての展示を見終えたあとに選んだもの。本屋さんで買うよりもっと、重い思いが詰まっています。

元気いっぱいの小学二年生のゲンの日常が戦争によって壊れていき、原爆によって家族が目の前で苦しみながら死に別れる様子、地獄のような光景を迫力のある絵と文章で綴られています。

地震は自然現象だけれど、戦争を起こすのは人間同士。今後も平和を守りつづけるには「戦争を知る」こと。まずはそこから始まると思いました。平和記念資料館、原爆ドーム、平和記念公園を歩いて、呉市の大和ミュージアムでも戦艦大和やたくさんの写真や映像を見て、われわれはもちろん息子も【なにか】を感じ得たようでした。

一ゲンのお父さんは時代や世論に流されず戦争を反対し続けたひと。 どれだけ拷問を受けようとも、考えを変えなかったひと。 「いいか、ゲン。 せんそうは、いえも 人も、すべてをやきつくし、あとにのこるのは、くるしみだけなんじゃ。日本は、せんそうを やめて、せかいの国と はなしあって、みんなが あんしんして くらせる国に しなくては いけんのじゃ」

 

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「絵巻で見る・読む 徒然草」  海北友雪筆 絵巻 島内裕子 監修  朝日新聞出版

わたしのまわりの現代人はなにか調べたいときyoutubeの動画をみるひとが多いようです。 わたしは動画を見るのがめんどくさいので、だいたい画像検索することが多いです。 そして昔の人もまた絵巻を好んでいろんな話や物語を楽しんでいたそうで‥ 文章よりも絵がわかりやすいのは時代が変わって画像や動画になった今も変わらないようです。

変わらない といえば。いまから約1000年も前の鎌倉時代にかかれた随筆に描かれてあることが現代にも通じることばかりなのは、時代がいくら移ろい変わっていっても,そうそう人間の本質は変わらないということなのでしょうね。

名言、金言好きのわたしにとって徒然草は刺さります。古典が染みる年頃になってきましたが、いかんせん難解な文章は遠慮したいのでまずは絵巻de徒然草でちょうどいい塩梅です。

 

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「ままごと」 日本玩具博物館 文溪堂

5歳の娘は毎日ままごとをしています。 かつて少女だった頃の私もこよなく愛したままごと遊びだったのに、悲しいかな今はままごとの相手役になるのは心から楽しめず非常に疲れるようになってしまいました。トホホ

ままごと遊びの起源は紀元前数千年の大昔からあると知りまずはおったまげました。 きっとままごと遊びはすでに人間のDNAに刻まれてるレベルでしょう。日本だけではなく世界各国のままごと遊びの道具もたくさん紹介されており、100年前の日本のままごと道具には“おくどさん”(土のかまど)もあったりして、時代や国によってちがう面白さをほうほうと眺められる一冊です。

一「ままごと」を漢字で書くと「飯事」。この漢字が示すとおり、本来、ご飯を作るまねごとをさしています。けれども、わたしたちがままごとというとき、人形遊びやお客さんごっこなどをふくめた遊びをイメージします。実際、調理や食事のまねから出発して、家庭生活をまねた様々な遊びへと広げる中で、わたしたちは暮らしについて学び、だれかのために何かをする喜びを体験するのです。、、、はっ!そんなに奥深い遊びであったとは。死んだ目をしながら楽しめないなんてままごとの文句言ってられません。今宵も娘とLet’sままごとであります◎

 

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「コッコさんのともだち」 片山健  福音館書店

いつも保育園でひとりぼっちのコッコさん。 恥ずかしがり屋さんで、うまく自分が出せないコッコさん。ある日、そんなコッコさんと似た者同士のアミちゃんに出会います。もじもじする2人が、自分たちの着ている服がおんなじ色なことに気づいて、お互いの服に触れあってそおっと手をつなぐところからはじまる2人の友情。

友情が生まれるときの初々しい喜び、どんどん仲が深まる楽しさ。でも、どれだけ仲良しでも仲違いする時もある。友達と遊ぶ楽しさをアミちゃんに教えてもらったコッコさん、2人だけの世界からみんなとも一緒に遊べる世界へ。 そんなちいさなストーリーが甘酸っぱくて、じんわり心温まる大好きな絵本です。

ちなみにコッコさんに似て?内弁慶な娘もこの物語には共感しているのでしょう、何度も何度も読み聞かせを頼まれます。

 

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