藤田英輔

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

藤田英輔

「師匠は針 弟子は糸」 古今亭志ん輔 講談社

「遊ぶ時期に遊んでおかなきゃ水藻も苔も生えないんですよ」。
きれいな水槽に当たる光は反射せずにただ通るだけ。透明な落語になる。行儀は良いけど詰まらない。

そんな考えから「如何にも芸人らしい」生活を送ることで「生涯を漠然と生きる」ことの怖さにフタをしてきた。

師匠(古今亭志ん朝)が63才で亡くなる(2001年10月)。当時48才の弟子の自分との年の差が15。「15年という期限付きで生きてみよう」。そう決心する。1年にひとつの落語を完成させたとして、15年でたった15席。しかし、完成はあり得ないと本人は云う。「死んだ気になって」とは、こういうことかと思いながら実践した。

そして道半ばの現在(2011年)改めて気づいたことが「他人は他人。自分は自分」。もうひとつ「落語を普通にやる」。
「端っから判りきったこと、そのままじゃん」と正直な処、思った。しかし、考えてみると、「改めて気付く」ということは『過去を含めて肯定すると考えられるので、早く気付くに越したことはないが遅すぎることはない』が本当の処だと解釈したい。そして、自分自身「改めて気付く」ということが大事なことだと改めて気付いた。

志ん輔さんは落語家。
・1953年9月 東京生まれ(大塚英夫)
・1972年3月 志ん朝に入門(朝助)
・1977年3月 二ツ目昇進(朝太)
・1985年 9月 真打昇進(志ん輔)

現在の高座を一落語ファンとして楽しみにしている。できればLiveでね。(テイク・ファイブ. スターダスト♫ つい聴いちゃった)

 

私の一冊

藤田英輔

「犬と歩けば」 安岡章太郎 文春文庫

安岡章太郎(1920.4.18~2013.1.26: 高知市生まれの作家・評論家)は、この本のあとがきで『コンタ(紀州犬♂1966.8.?~1981.1.17)とは15年の付き合いであるが、人間との付き合いよりもよほど長い気がする。しかし、一瞬のうちに過ぎてしまったようにも思う。私の壮年期は、コンタと共にあり、コンタと共に去った。コンタは実に善い犬であった。しかし、どう言い表してよいか表現の術を知らない。つまり、コンタの中に私を超えた優れた資質があったということであろう。コンタを見ていると、何となく慰められたり、励まされたり、そして、生きていることはありがたいことだと思った』と記している。

この本の解説の中野孝次(1925.1.1~2004.7.16: 作家・評論家)は『我々が犬を愛するのは、何千年来、人間に飼われ、馴染んだ生き物でありながら、自然そのものであるからであろう』と。そして「ひとすぢに われを見つむる犬の眼を おろそかにして 生くべきならず(平岩米吉:1898.2.4~1986.6.27 :東京生まれの動物学者・歌人)」を引用し最後に添えている。

さあ、そろそろ良い時間だ。雨は降っていない。

「よう、ポール(ウィペット♂2009.11.12~)。一丁やるか」とジョンになって声をかける。(ポールは耳をたて、頭を上げた)

アップテンポの楽しい時間が始まる。

ずっとこの本は側に置くだろう。

藤田英輔

 

私の一冊

藤田英輔

「ほんもの探し旅」 小林泰彦 ヤマケイ文庫

1975年頃、若者向け月刊誌に掲載、連載されたものを集めて文庫化(2014年発行)した本。約40年前です。

現在の日本に本物を造(作)り、使う文化があるか?(有ります!工業製品はどれも本物でしょうが)

現在も昔も本物は認知されます。永く使用でき、財産や生命を守ってくれるもの、そんな物は完成まで労力や時がかかります。

だからそれに似合う対価が発生します。

価値が高いか安いかは、各々の価値感が決めることです。

修繕できるもの、直せば以前より使い勝手が良くなるもの。そんな物を造(作)り、そして使うことが、細くても良いから永く続いてほしい。

藤田英輔

 

私の一冊

藤田英輔

「かまきりすいこまれた」 細田傳造 思潮社

今回はアルコール類を嗜みながら読んでみました。(ビール類は立ち座りが忙しくなるので×。氷や湯などの準備が面倒なものも今回は避けます。いつものワインにしました。桂月も可だと思います)

【結果】素面〜爽快期よりも、微酔〜酩酊初期がベストです。
酩酊後期や泥酔期、いわんや昏睡期に至っては話になりません。

 

微酔〜酩酊初期の中でも「〜」の時間に、『メリーズとパンパース』『三年寝太郎』『しんせつ』が、すーっと心に(目・頭だけでなく)入ってきました。

この感覚は人それぞれだと思われますので、是非お試しあれ…!(楽しかった)

藤田英輔

 

私の一冊

藤田英輔

「詩集 人生の扉は一つじゃない」 大崎博澄 たんぽぽ教育研究所

困ったり、辛かったり、イヤになったり、どうしよう…、と思う時に開いてみてください。

「救求書」です。

藤田英輔

 

私の一冊

藤田英輔

「園芸家12ヶ月」 カレル・チャペック 中央公論社

高知新聞2019年5月30日から、いとうせいこうさんの「日日是植物(にちにちこれしょくぶつ)」というタイトルで、ご自身の園芸観についての連載が始まりました。

その中にカレル・チャペック著「園芸家12ヶ月」の紹介があり、ハタと「確か家にあったような…」と捜してみると…ありました。再読しました。

チャペックさんはヒトラー専制の時代に苛烈にファシズム(独裁的な権力、弾圧と制御による思想・体制のこと)を批判し、当時のゲジュタポ(独の秘密警察)に捕われる前に、その鼻を明かすように亡くなっていました。同時にひたすらストイックに植物について著し、煮えたぎる情熱と静かな湖面のような「熱湯とそよ風の精神」を持った混乱するチェコに生きたジャーナリストであり、作家であり、趣味の多才な人でした。1929年に著されたようです。只の「園芸について」だけの本ではありません。

挿画は実兄のヨゼフ・チャペック氏(1889~1945)です。

高知新聞のいとうせいこうさんの連載の挿画は里美和彦さん(1957~高知市在)です。里見さんは同じく高知新聞の水曜日に「定年のデザイン」というタイトルで文とスケッチを連載されています。文章は大変読みやすく、興味深く、情景の浮かぶ素晴らしい連載です。新聞が待ち遠しく、楽しみが増えました。(また、木曜日には「おじさん図鑑・おばさん事典」が連載されており、これまたおもしろいです)

今回は高知新聞の紹介になりましたね。植物を愛する気持ちはどこの国民も同じです。

牧野植物園(五台山・佐川町)へも行きたくなりました。

藤田英輔

 

私の一冊

藤田英輔

「くじけないで」 柴田トヨ 飛鳥新書

少し弱気になった時。

自分の年齢を思う時。

一寸立ち止まって想い返したい時。

開いています。

特に「こおろぎ」に共感します。

ねえ、「ほんとうは…」何だったの?何を想ったの?

藤田英輔

 

私の一冊

藤田英輔

「おじさん図鑑」 なかむらるみ文, 絵 小学館

おじさん!の仕草や言葉には、長年社会を歩いてきた人生が詰まっています。
おじさん!は小さいことは気にしない。
いつだって自分が中心!

そのタフさと見切りの早さは、長年の経験が生み出した術。
おじさん!を見習い、たまには本能に赴くまま過ごしてみてはいかが?
おじさん!力に学ぼう!!

そうすれば気持ちは楽ですヨ。 E談(編集部注:Eとはこの本を紹介してくれた「Eisuke」のEと思われます)

 

筆者あとがき(31才時):自分が完全なおばさん!になった時、この本がどう見えるか楽しみです。世のおばさん!達、どう見えていますか?

藤田英輔

 

私の一冊

藤田英輔

「伊賀の影丸」 横山光輝 秋田書店

【忍者忍術シリーズ第3弾】

驚くことばかりだね。
数十本の手裏剣を一度に投げる、とか、木から樹へ飛び移る動作が次第に速くなり終には見えなくなる、とか、修行を積めばできるようになるんですかね。

実は…、秘術です。書かれています。

 

『伊賀の影丸』。

言わずと知れた江戸幕府の隠密で、木の葉の術を得意とする伊賀流の忍者(昭和36年週刊少年サンデー連載)です。

忍者の視覚的なイメージを確立した漫画であり、それぞれ固有の特殊能力を持つ忍者たちが闘うというヒーロー物のスタンダードです。超人なのです。修行のたまものです。

敵対する甲賀流には、不死身(数時間後には完全に再生する。200才らしい)や、切られても刺されても傷つかない、非常に硬い身体を持つ忍者や、1時間以上も潜水できる忍者や、さらにどんな高さから落ちても大丈夫なゴムまりみたいな忍者や、そして、土の中を自由に移動できる忍者など、大変に興味をそそられるキャラクターの忍者が多く、手に汗を握りっぱなしです。

今でも興奮します。

藤田英輔

私の一冊

藤田英輔

「少年忍者部隊 月光」 吉田竜夫と竜の子プロダクション 朝日ソノラマ (昭和43年7月初版発行)

【忍者忍術シリーズ第2弾】

忍術と科学技術を駆使し、過酷な状況に挑む少年たちで組織され、「拳銃は最後の武器だ!」のセリフで知られた忍者部隊の戦いの物語である。

ページ欄外にある忍法◯◯◯等の解説を読むと、理論上納得できることばかりで科学的なのである。武器(敵を倒す、自分を守る)にしても、それぞれが理にかなったものであり、使うことにも長けている。

しかし、常時それらを持ち歩くとなると相当な重量と嵩になりそう。手裏剣類は敵に対し投げた後にはもちろん!回収したのであろう。

甲賀流・伊賀流の忍法を使い、科学の全てを学んだ少年たち!憧れないはずはないですね。少年たちよ、覚悟を持って読んでみてね。明日の夜明け時分には、棒を背中にさし、何かを投げたり飛び越えたり走り抜けたりしています。修業の道へと入ります。

部隊のメンバーは月光を筆頭に10人まで解るんですが…。

(1963年(昭和38年)週刊少年キング連載)

藤田英輔

 

*【忍者忍術シリーズ第1弾】はこちら

第1弾内にある「問い①」の答え→釘抜きに使う(打ち込んだ釘にどうやって引っかけるか?→尖った部分で掘り起こして穴にかけて抜く)