分類ユリ科ユリ属の多年草
分布本州、四国、九州の日当たりの良い場所に生育する
概要タカサゴユリ(外来種)とテッポウユリ(在来種)の交雑種 花期は8~9月
撮影土佐町樫山/2022年8月
夏から秋にかけて道路の法面などでよく見かける白いユリは、ほぼ全てこのシンテッポウユリと考えて差し支えないようです。
生命力が強く、やせた土地でもたくましく育ちます。道端や人家の庭などにも当たり前に咲いたりして、勢力拡大をどんどん続けています。
一昔前まではタカサゴユリと呼ばれていたのですが、牧野植物園が外来植物調査の取り組みを始めた2016年頃から土佐町でもシンテッポウユリと呼ばれるようになりました。
シンテッポウユリはタカサゴユリとテッポウユリの交配によって、1951年に日本で作られた園芸品種です。テッポウユリの大輪で純白になる花の美しさとタカサゴユリの花期の遅さと成長の早さという特性を備えており、いずれにもよく似た草姿です。
タカサゴユリとテッポウユリ
タカサゴユリ(高砂百合)は台湾が原産地で日本には大正時代に観賞用として移入され、各地で野生化した帰化植物です。テッポウユリ(鉄砲百合)は南西諸島や九州南部が原産の日本固有種です。
テッポウユリは他2種より葉の幅が広く、花も早く咲くので見分けられますが、線形の細い葉で夏から初秋に開花するタカサゴユリとシンテッポウユリは厄介なほどよく似ています。
もともとは花の外面に赤紫色の線が入っていればタカサゴユリ、純白色ならシンテッポウユリという単純な見分け方をしていたのですが、1970年代ごろからシンテッポウユリの野生化個体が増えてきて、両者が自然交雑を繰り返すことによって外見での判別が難しくなってきたようです。
自然交雑によって生じる個体は全て雑種のシンテッポウユリになる訳ですから、タカサゴユリはいずれ消えてしまう運命ということになり、前述の「ほぼ全てこのシンテッポウユリ…」へとつながります。
皆さん、どうぞ、タカサゴユリとシンテッポウユリは同じという誤解のないように…
<注意>シンテッポウユリの根はアクが強くて食用には向きません。ふだん食用とされるユリ根の多くはコオニユリ、オニユリ、ヤマユリ、カノコユリだそうです。