「風をつむぐ少年」 ポール・フライシュマン著, 片岡しのぶ訳 あすなろ書房
誰しも生きていく中で、加害者になることもあれば、被害者になることもあるでしょう。 傷つけられた被害者や家族、友人たちの加害者に対する怒りや嫌悪は当然のことです。けれども加害者もまた、自分の引き起こした罪に傷つき、思慮の足りなかったこと、迂闊だったことに打ちのめされることも多いのです。
16歳の少年ブレントは転校早々開かれたパーティで恥をさらし、酔った勢いで自殺を企てます。その結果、ブレントは軽傷で済んだものの18歳の少女の命を奪ってしまいます。「人を殺してしまった」贖罪のためには何をすればよいのか?そもそも許されることなのか?大切な娘の命を奪われた母親は思いもかけない償いの方法をブレントに提案します。
罪を償うことのむずかしさ、赦されたいという願いの先にある希望が切なく伝わってくる物語です。