「海神(わだつみ)の島」 池上永一 中央公論新社
舞台は沖縄、祖母に育てられた3姉妹が、祖母の最後の言葉「祖母の父親が残した秘宝を探し出した孫のみに相続権あり」という具体的には不明な秘宝を巡って話は進む。
少し滑稽味のある内容ではある。
弁護士の話から、年間5億円の地代収入がある土地の相続であることが判明するや否や、3姉妹の争奪戦のゴングが高らかに鳴り響く。
この3姉妹が、まるで現代社会を反映したかのような個性豊かなキャラクター(銀座の有名クラブのママ・水中考古学の学者・地下アイドル)に描かれていて、極端過ぎる嫌いもあるが、テンポのいい場面展開についつい夜更かしをしても読み進みたくなる。
そして、年間5億円の相続の行方は、想像もしていなかった着地となる。沖縄、米軍基地、尖閣諸島など政治的な話題も含まれており、盛りだくさんの内容です。