2020年2月18日より、土佐町の絵本を作るため下田昌克さんが土佐町に滞在しています。
ちょうど1年ほど前からスタートした土佐町の絵本作り。
10年20年と長く読み継がれる絵本。子どもも大人も楽しめるような内容でありながら、深く大事なものを伝えるような絵本。土佐町の方々が「これは自分たちの絵本だ」と心から感じられる絵本。そういったものを目標にしています。
2日目の今日、朝から陣ヶ森へ向かいました。天気は快晴。山の木々の枝からこぼれ落ちる雪が静かな音をたてるたび、雪のかけらがキラキラと舞い降りていきます。空を見上げ、目の前に広がる山並みを見つめていた下田さん。
青空に、まるで龍のような雲が現れたのには本当に驚きました。(この龍が絵本に登場するかも…?お楽しみに!)
そして高峯神社へ。
凛と澄んだ大気が、体の奥へ奥へと届いてくるようでした。高峯神社本殿の階段手前に位置する手水舎の水は、厚く凍りついています。
本殿の亀や鳥の彫刻はいつ見ても素晴らしく、この山奥で先人たちが積み上げた仕事の数々はいつも気持ちを新しくしてくれます。
町へ戻る道の途中、峯石原の薬師堂で福寿草まつりが開かれていました。
推定樹齢700年という乳イチョウの元には、「幸せを招く」といわれる福寿草たちが光を浴びながら空を見上げていました。峯石原地区の皆さんが山に咲く福寿草の株を少しずつ移植し、増やしてきたのだそう。
昔、薬師堂には土俵場があって、道の方へ桟敷を出したりとても賑やかだったそうです。
琴の生演奏を聴きながら、手作りのぜんざいや「きぬかつぎ」と呼ばれる茹でて炭で焙った里芋をいただきました。しみじみと本当に美味しかったです。
薬師堂の前に高峯神社に行ってきたというと「それはご利益がある!」と言って見送ってくださいました。ありがとうございます!
午後からは青木幹勇記念館記念館の田岡三代さん、西野内小代さんと絵本の内容について話し合いました。
土佐町ならではのあれこれがどんどん出てきて話が広がり、その話を元に下田さんは色鉛筆で絵を描いていきます。イメージが形になって現れるとさらに話が膨らんでいきます。
そして、夜は長野商店さんへ!
長野静代さんがさば寿司と皿鉢料理、鍋を用意して迎えてくださいました。
昨日と今日の2日間、絵本に描きたいこと…土佐町の先人たちが重ねてきた四季折々の暮らしや土佐町にある風景を話し合ってきました。言葉として現れたひとつひとつは、これからも土佐町に在り続けてほしいという願いでもあるのだと気付きました。
「2日間話してきたことは、過去と今から拾いあげたもので作られてるなあと思う。この町の今までの歴史の中で伝わってきた話、この土地ならではの話、このままなくなっていくかもしれないことを集めて、新しいこれからとして伝わっていくことが一番の目的なんじゃない?」と下田さんが言いました。
それが土佐町という土地の絵本として作る意味であり、先人たちから受け取ったものを今の私たちが後世へ引き継いでいくこと…。そのかたちのひとつになれたらと考えています。
今まで見えるようでまだ霧の中にあった土佐町の絵本が、少しずつ姿を現し始めました。
明日はどんな出来事と出会いが待っているでしょうか?
とても楽しみです!