「小さな家のローラ」 ローラ・インガルス・ワイルダー作 安野光雅絵,監訳 朝日出版社
子どもの頃楽しみに見ていたテレビ「大草原の小さな家」。
他社から出版されている「大草原の小さな家」をいくつか読んできましたが、挿絵の美しさに思わず手に取りました。
この本には毎ページと言っていいほど安野光雅さんの美しい挿絵がたくさん入っています。
どうしてこんなに挿絵が入っているのかなと思いながら読み進めていましたが、あとがきを読んで合点がいきました。
(その理由はぜひ「あとがき」をお読みください。)
「文学は、挿絵とは無関係に成り立っています」と安野さんは書いています。
文章を読むことは、描かれている情景や作者の心のあり方を感じとるのが面白さでもあり魅力です。
挿絵は想像を助けてくれるものでもありながら、時には読者が絵の印象に引っ張られてしまうこともあるように思います。しかしこの本の安野さんの挿絵は、文章と呼吸を合わせてゆっくりと伴走するかのようにそこにありました。
作者ワイルダーが生きた時代に吹いていただろう風が感じられるような気がします。
この本の訳者も安野さんです。安野さんの「窓」からワイルダーの世界を味わえる一冊です。
鳥山百合子