「建築探偵 東奔西走」 藤森照信文, 増田彰久写真 朝日文庫
日本国内の美しい、あるいはなんじゃこれ?と言いたくなるユニークな建物を紹介してくれる本書。物言わぬ建物に代わって雄弁に語る藤森氏の歯切れのよい文章と、建物がいちばん美しく見えるよう細心の注意を払って丁寧に撮られた増田氏の写真。そのどれもが素晴らしく、すぐにでも出かけて行きたくなります。こんな建築物が身近にあるって楽しいだろうなと思っていたら、記憶の底からよみがえってくる建物がありました。
通称“灘のお化け屋敷”。宇津野トンネルを海側に抜けてすぐ左手。うっそうと樹の生い茂った坂道を登ったところに立つくすんだピンクの朽ちかけた二階建て。スペードやハートの形をしている、なにやらあやしい雰囲気の洋館に住んでいたのは一体どこの誰だったのでしょう?
今頃になってとっても気になります…。