分類キク科キク属の多年草
分布日本、朝鮮、台湾、中国が原産地。日本では、近畿地方以西から四国・九州の山麓の日当たりのよいところに生える
概要花期は10~12月。花の直径は2.5㎝ほど。園芸ギクの改良のもとになった原種のひとつとされる
撮影土佐町 能地/2021年11月 西石原/2021年12月
野菊と言えば一般的に白い色か薄い紫色を思い浮かべるのではないでしょうか。土佐町では、夏から秋にかけてノコンギクやシロヨメナが山間部から人里まで広く分布します。
晩秋の野山がやや枯れ色へ転じ始める時期に野菊は黄花に取って代わります。霜が降りる頃まで山麓の道ばたや崖地などを鮮やかな黄色の花で彩るのがシマカンギクです。葉の縁が深く5つに裂け、一般に栽培されている園芸菊によく似ています。
シマカンギク(島寒菊)の名前の由来は、寒期に花をつけ、東大小石川植物園に中国の島で分布していたものが植えられていたことによるとのことです。ところがこの名に異を唱えたのが牧野富太郎博士です。「島+寒+菊、これは島で寒い季節に咲く菊の意味であり、実際には島だけでなく山間部に多く咲くのだからこの名はおかしい」と言い、アブラギクと呼ぶように勧めたそうです。江戸時代には花を油に浸して火傷や切り傷の薬にしたという事実があり、シマカンギクの別名となりました。因みに牧野植物図鑑ではアブラギク(油菊)を正式名としています。
私は、土佐町ではシマカンギクが見られる地域が限られているように感じています。必死に探した訳ではありませんが、能地の翠ケ滝付近と西石原から平石方面に向かう道路沿いの2ヶ所でしか確認していません。
実際はどうなのでしょうか。別の場所のシマカンギクも見てみたいものです。