2023年4月

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

古川佳代子

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「おつかれ、今日の私。」 ジェーン・ス― マガジンハウス

 男が敷居をまたげば七人の敵あり、ということわざがあるけれど、勿論女にだって、ひとたび外に出れば七人の敵はいる。

精根こめて仕事しても報われるとは限らないし、家事をどんなに頑張っても褒められることはまずない。だれも自分を慰撫してくれないなら仕方ない、自分で自分に「お疲れ。今日もよく頑張ったね!」と声掛けしてみる。するとちょっと肩の力が抜け、気持ちがすこし浮上する気がする。

それでも、まだ落ち込んで、暗いトンネルをさまよっているようだったら、この本を開いて何篇か拾い読みしてみるのもよいかも。 いつもは皮肉の利いた辛口エッセイが多い筆者が、読んでくれる人の隣に座って、中の良い友だちの背中をさするように書こう、と決めて書いたという文章は、すっと体に馴染むのでした。

 

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私が小学生の頃(昭和三十年代後半)、初冬の休みの日の一つに、天気の良い暖かい日は、家の裏山の原っぱに、妹たちと簡単なお弁当を作り、ゴザを持って登って行き、ねころんだり木に登ったり、つき鉄砲のジュウ玉(青紫の草の実)を採って飛ばしごっこをして遊んだ。

時には、原っぱの奥にあった集水暗渠に入り下って行くのが肝だめしの探検だった。

それは昔の山の水路で、入口から下へ向かって三十メートル位あったろうか、子供ごころには、暗くて狭くて遠くて、とてもひとりでは入る気にならない様な不気味さがあった。

上級生の男子が先頭を切って暗渠に入って行くと、それに続いて私、妹と恐る恐る入って行く。

入口は、石でトンネルの入口の様にドーム形に重ねてあり、底は石ころが敷かれていて、手をついて入って行くとゴツゴツとして両手とひざが痛かった。

息を殺してドキドキしながら、男子に遅れない様に「ヘビが出てこんように」と祈りながら奥へ這って進んで行くと、出口の方が明るく見えてきて、ホッとして足取りが早くなった。

暗渠から出ると、元の原っぱまで戻るには、ヤブの中を傷だらけになりながら登って帰る。

今思えば、子供達だけで、狭くて暗い暗渠の中へ入っているなどと大人達は知らなかっただろうと思う。

親に内緒の遊びは、子供達にとっては小さな冒険だったのだろう。

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私の一冊

鳥山百合子

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「くいしんぼうのあおむしくん」 槇 ひろし作前川 欣三画 福音館書店

「ごめんね、ごめんね」と言いながら何でも食べてしまう、くいしんぼうのあおむしくん。

最初はまさお君の帽子を食べるくらいだったのが、おやつや紙屑、おもちゃやクレヨンもむしゃむしゃ。食べても食べても「おなかがすいたよう!」と騒ぎ続ける。

さらに近所のゴミを食べ(町は綺麗になる)、挙句の果てには木も町も人も食べ尽くす。まさおに「やめろ!」と怒られては「ごめんなさい、お腹がすくと本当にだめなの」とシクシク。

お話であることは分かっていながら、「あおむし君、ちょっといい加減にしなさいよ」と言いたくなってきます。

それでも食べることをやめられず、しまいにはあっちの国からこっちの国まで残らずペロリ。最後には、まさおくんまで食べてしまう。

この本は母がよく読んでくれた一冊で、幼心にちょっと不思議なお話だなと感じていました。が、今は若干ぞくっとする話だなと思っています。

「ごめんなさい」と言いつつ自らの食欲を満たすため、やりたい放題。でも食べても食べても満たされない。だからもっともっとと食べ続ける。周りの人を巻き込んでいることにも気付かず、いや、うっすら気付いていたとしても今更やめられない…。本人もしんどそうなのに…。本人も分からない、そうせざるを得ない何かが心の内にあるのでしょうか。

あおむし君を本当の意味で満足させるものは何でしょう。そもそも、本当の意味の満足ってどういうことなんだろう?

お話の最後は「食べられたまさお君も両親も家も町も全部あおむし君のお腹の中にあって、実はみんなあおむし君のお腹に入っている。だから空は青いんですよ」というオチ。「え?そういうことなの?」とその意外性にも驚かされます。

私にとって、思案のしどころある一冊です。

 

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読んでほしい

鹿の角、届く。

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朝7時、土佐町の猟師である上田義和さんから電話がかかってきた。

「もしもし、鹿の角がほしいって聞いたんやけども」

「え…!?そうですそうです、ほしいです!」

以前も上田さんから鹿の角をいただいたことがあった。これで2度目である。

高橋通世くんから“鹿の角、あるかよ?”って連絡があって。うちにいくつかあったから、届けちゃろうかと思って」

なんと!

 

猟師さんのネットワーク

「高橋通世」さんは、私たち編集部が大変お世話になっている猟師さんである。編集部で制作している「鹿の角ガチャ」の原料である鹿の角の在庫がほぼなくなり、通世さんに「鹿の角があったら分けてほしいです」と冬に連絡したことがあった。

通世さんは、「春になったら鹿の角が生え変わるから、手に入ると思う」と言っていたが、猟師仲間の上田さんにも声をかけてくれていたのだった。(次の日、通世さんも鹿の角を届けてくれた。)

 

「持って来てもらうのも申し訳ないので、取りに行きます」

と言うと、

「いや、出ていく用事があるき、その途中で寄るき。7時10分くらいに家を出るから」

とのこと。

なんと、ありがたい。本当に、ありがたい。

 

角は生まれ変わる

上田さんに会ったのは久しぶりだったが、変わらぬ笑顔でうれしかった。袋からはみ出ている鹿の角は針金で二本ずつ組み合わさっていて、ずしりと重い。

この鹿の角が、角を切って紐を通す穴を開けてくれる渡貫洋介さんや、仕上げの作業をしてくれる大豊町のファーストの皆さんの手を通り、鹿の角ガチャに生まれ変わる。

上田さんが乗り込んだ軽トラックを見送りながら、たくさんの人の助けや思いがあって、今の仕事の現場が成り立っていることをあらためて感じた。

 

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私の一冊

古川佳代子

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「がっこうのてんこちゃん」 ほそかわてんてん 福音館書店

新一年生の女の子が、小学校の上級生らしいお姉さんに「ねえ、学校にいつまで行かんといかんが?もう飽きたき保育園に戻りたい」。それに対して「もう保育園には戻れんが。ず~っと小学校に行かんといかんがで。小学校が終わっても中学校、高校に行くき12年は学校があるがで!」とお姉さん。

それを聞いた時の女の子のなんとも情けない、悲しそうな表情だったことでしょう。ニヤけそうな口元を引き締めながらも、心から同情したことでした。

この本の著者のてんてんさんも先の女の子同様、学校が大嫌いだったてんてんさんが「こんな学校だったらいいな」、と思う学校の話を書こうと思いできたのがこの物語です。

「みんな同じ」を目指すのではなく「ひとりひとり違う」からはじめてみたら、誰もが自分らしく楽に生きられて、相手のことも自分同様に尊重できるようになるのではないかしらね?

 

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牧野富太郎博士Tシャツ、全国へ

 


2023年2月に発行した「とさちょうものがたりZINE 11」にも掲載しました「まきのまきのレターTシャツ」。

元々は「まきのまきのレター」と題された絵本。牧野富太郎博士の生涯をモチーフにしたこの絵本、NHK朝ドラの「らんまん」制作発表の数年前に完成していました。

このプロジェクトの一端として、とさちょうものがたりは「まきのまきのレター」Tシャツの製作を行っています。

その数、約1000枚。

いつもの土佐町の障がい者支援施設どんぐり、大豊町のファーストのメンバーさんに加え、町の方々にも多々ご協力いただき制作していきました。

「まきのまきのレター」Tシャツ

 

 

 


絵本「まきのまきのレター」及びTシャツや数多くの関連グッズは、今春より全国多くの店舗・施設で展開されます。土佐町・高知在住でない方も、もしかしたらご近所でとさちょうものがたりが印刷したTシャツを目にすることがあるかもしれません。

ぜひ立ち止まってご覧いただけたらと思います。

 

●販売店舗

高知県 県立牧野植物園nonoca 高知蔦屋書店 TSUTAYA安芸店

北海道 TSUTAYA苫小牧バイパス店 TSUTAYA深川店 TSUTAYA倶知安店

関東 丸善日本橋 くまざわ書店大泉学園店 TBSアクエル前橋 TSUTAYA安中店 TSUTAYA大泉店 TSUTAYA鶴ヶ峰駅前店

中部・北陸 三省堂書店名古屋本店 谷島屋イオンモール浜松志都呂店 TSUTAYA BOOKSTORE 金沢エムザ BOOKSなかだ魚津店 BOOKSなかだ掛尾本店本館 BOOKSなかだファボ-レ店 BOOKSなかだイオンモールかほく店 TSUTAYA BOOK STOREサントムーン柿田川店 草叢BOOKS新守山店

関西・中国 TSUTAYA AZ岡南 TSUTAYA WAY ガーデンパーク和歌山店 TSUTAYA AVIX福知山店 Book Houseひらがきエイスクエア店 TSUTAYA BOOKSTORE 水口店 TSUTAYA 東福原店 広島エディオン蔦屋家電 幸太郎本舗TSUTAYA宇部店

九州 TSUTAYA長崎ココウォーク店

 

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私の一冊

西野内小代

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「フラッガーの方程式」 浅倉秋成 KADOKAWA

数学の公式を紐解く物語を類推させるタイトルですが、全く無関係。

フラッガーシステムとは「誰もが現実において、物語の主人公になれるシステム」であって、フィクションを現実世界に取り込むプロジェクトのことらしい。

ある日、このフラッガーシステム開発プロジェクトの村田静山という男性に帰宅部の男子高校生がスカウトされる。そして、その申し入れを安易に受け入れてしまったばかりに彼の大混乱の一か月が始まる。

読み始めは支離滅裂のギャグテイスト、理解不可能だった。ひたすら我慢して読む。

無秩序のように思えた数々の事件が、実は重要な伏線だった。最後はきっちりと伏線を回収し着地する。

一風変わった構成ではあるが、後半は不可解な世界に引き込まれてしまう。不思議な本だった。

 

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土佐町の絵本「ろいろい」。コロナ禍の数年も挟んで、約5年かけた長期プロジェクトとなりました。

完成した「ろいろい」は、ジャバラ型の少し変わった形をした絵本。ながーいページを伸ばすと、そこには土佐町の実在の風景や文化、人々が描かれています。

表面には春と夏の町。裏面には秋と冬。

この記事から始まる15回に渡る記事で、絵本「ろいろい」を1ページずつ解説していきます。

 

 

絵:下田昌克

 

 

ページ1は夏の陣ヶ森

絵本「ろいろい」、最初のページは陣ヶ森からのスタート。もう少し正確に言うと、陣ヶ森近くの林道から望める風景です。

すんだ くうきを むねに すいこむ

きょうと いうひの はじまりだ

これから さんぽに でかけよう

 

 

これから散歩に出かけよう

そう、絵本「ろいろい」は主人公である坊主頭の男の子が散歩を始めるところからスタートです。

この男の子は実在?それとも架空? それは読者のみなさんのご想像におまかせします^^ ちなみに裏面の秋冬ページは女の子が主人公です。

 

陣ヶ森

この陣ヶ森(近くの林道)、なかなか壮大な風景を望むことができます。

方角は東向き。なので大豊町の方まで見渡すことのできる場所。標高が高いので雲が出た場合には、絵のようにはるか眼下に雲を見下ろすことになります。

ここは編集長の石川も何度も撮影している場所。土佐町を動画にした「キネマ土佐町」最初の作品である「秋篇」でも登場します。

↓3分24秒からがこの風景です。

キネマ土佐町 秋

↓土佐町ポストカードプロジェクトでも撮影しています。

2016 Dec

 

早朝に昇り来る朝日をぼーっと眺めながらこの風景を見ていると、遥か眼下の雲の中では、絵のように大龍が蠢いていたとしても不思議ではないような気になってきます。

古よりこの地に棲むであろう龍を相棒に、

これから さんぽに でかけよう!

ページ2につづく

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私の一冊

古川佳代子

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「発達障害の人が見ている世界」 岩瀬利郎 アスコム

「定型発達」という言葉を恥ずかしながら本書を読むまで知りませんでした。定型発達とはいわゆる普通の人=発達障害ではない多数派の人びとを意味する用語です。

学校や職場、地域の人たちと互いの意見や考え方を理解し、尊重し合いながら関係を築いていくことの難しさを感じることが時々あります。人と円滑にコミュニケーションをとることはなかなかに難しいことです。定型発達者同士でもそうなのですから、発達障害の人たちはもっと悩み、傷つき、苦しんでいるだろうことは想像に難くありません。

上手にコミュニケーションをとるために必要なことは定型発達者、発達障害者の区別なく「相手の見える世界」を想像すること。他人の「靴を履いてみる」ことかも?

相手を理解し、適した接し方をとれればコミュニケーションがスムーズになる例が具体的に示されていて、たくさんの気づきとヒントをもらえた本でした。

 

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私たちの身の回りには食べられる野草がたくさんあります。今の季節にはよもぎ、ミツバ、ギボウシ、ふき…。

先日、野草の料理教室に参加しました。教えてもらった料理の一つに「きゃらぶき」が。きゃらぶきはふきで作る佃煮で、昔から作られてきた保存食。最高のごはんのお供です。

ふきは、まさに今が旬。この辺りでは山や歩く道々でよく見かけます。お金を払わなくても手に入る、ありがたい食材です。

ふきは茹でて皮をむくのが大変だと思っていましたが「細いふきだったら皮をむかずに食べられる」と聞いて、俄然やる気が湧いてきました。

 

きゃらぶきを作る

ふきなら、我が家の小さな畑にもある!

暖かくなり、伸びる雑草に紛れて生えるふき。毎年、草と一緒に刈られて土の肥やしとなっていましたが、今回はふきが主役です。

 

5分もしないうちにこんなに収穫。なるべく細いふきを選びました。茎の元の紫色がとてもきれいです。

 

葉を取ると、少し苦味を帯びたふきの香りが。これぞ、ふきです。茎だけ集めて水にさらします。(料理教室では葉をゆがいて広げ、ごはんを包んで食べました。これまた美味!)

 

2~3センチほどに切り、再び水にさらします。(今回は半日ほど水にさらしました。)

水を切って、水気を拭き取ります。

 

醤油を沸かし、ふきを入れて時々混ぜながら煮ます。醤油の量はふきと同量。醤油は2種類使うと、味に深みが出るとのこと。今回は家にあった濃口醤油と薄口醤油を使いました。

 

弱火で煮るうちに、どんどん色濃くなってくるふき。残念なことに、目を離したすきに少し焦がしてしまいました…。ふき独特の苦味よりも塩辛さが優ってしまい、かなりしょっぱくなってしまった…。

調べてみると、ふきを茹でて砂糖やみりん、酒を加えるきゃらぶきのレシピもありました。

ふきはまだまだ生えている!めげずに、次回はこちらのレシピで試してみたいと思います。

 

 

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