2020年5月

笹のいえ

代かき

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新緑と青空のコントラストが気持ちいい時期となった。

ここ最近は、田んぼで代かきをしてる。

農家さんにもよるが、一般的には二三回代かきをして田面を整え、田植えの準備をする。水を入れて耕すことで、水持ちを良くし、空気を含ませて、稲の成長を促すの意味がある。

今年は、代かきのあとに三寸ほどの角材をロープで耕運機に結び、引っ張ることにした。田んぼをあちこちへと移動しながら、なるべく平らに均す。

高低差が少ないと、適量の水を田んぼ全体に行き渡らせることができる。山から引いた冷たい水が太陽熱で温まる。均一の深さなら水温も一律、苗全体もまんべんなく育ってくれるはずだ。一方、田んぼが凸凹していると、水を入れたときに、こっちの苗は水没しちゃったけど、あっちは土が露出してるという状態になる。深く水没した苗は腐ってしまうし、水が無いところは雑草が生えてしまう。余計に水を入れることで、水温が下がり、雨が少ない年は管理が難しくなる。田んぼが平らということは、大事なことなのだ。

 

耕運機や角材に押されて水面に波が立つ。紋は放射線状に広がり、田んぼの端まで届く。その様子で、土がうまく均されたかある程度分かる。

一定の深さで起こる波は、同じ大きさとスピードで広がっていく。その動きを見て、僕はいつも海の波を思い出す。

小笠原に住んでいたとき「波は水が動いているのではなく、エネルギーの塊が海中を移動しているのだ」と教わった。風や潮の力によって発生したうねりは、大きくなったり分かれたりして、長い長い間旅を続け、どこかの海岸に到達する。海底が浅くなるにつれて、うねりは波となり、砕けて消える。

波を目で追いながら、今このときも生まれては消えている大海原のうねりや波のことを想像するのはなかなか贅沢な時間だ。

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私の一冊

古川佳代子

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「舟を編む」 三浦しおん 光文社

 

本好きの人間にとって決しておろそかにしてはいけない書籍に「国語辞典」があります。

その中でも私の宝物は岩波書店の『広辞苑 第6版』。10センチはあろうかという分厚い辞書ですから持ち運びには不便なのですが、この中にありとあらゆる言葉がぎっしりと詰まっているかと思うとそれだけでありがたく、顔がにやけてしまいます。

けれども、そのありがたい辞書がどのようにつくられるのかについては、全く知りませんでした。その過程をドラマティックに示してくれたのがこの『舟を編む』。

言葉に対するずばぬけたセンスを見こまれて、辞書編集部に引き抜かれた青年を中心に綴られる、エキサイティングで地道な作業の数々の愛おしいこと。 できることなら、来世は辞書作りに関わってみたいなぁ。

古川佳代子

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私の一冊

鳥山百合子

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「もりのへなそうる」 わたなべしげお作, やまわきゆりこ絵 福音館書店

このお話は、てつたくんとみつやくんの兄弟が森へ探検へ出かけ「でっかいたまご」を見つけるところから始まります。次の日、また森へ行くと、たまごのあったところに立っていた「へんなどうぶつ」。それが、へなそうる。「ぼか、へなそうるのこどもだい」と胸を張って答えるところがとても良いのです。

てつたくんとみつやくんと仲良くなってかくれんぼをしていると、お腹を蚊に刺されたへなそうる。初めての経験に驚きながら「かに(へなそうるは蚊を蟹と言っている)にさされたよう!バンデージはってよう!」とお腹をぼりぼりかきながら、大きな声で二人に伝えます。

最近、2年生の娘とこの本を読んだのですが、へなそうるが蚊にさされたページを声にした時、私自身がこどもだった頃のことが思い出されました。多分、私をはじめ2人の弟たちにもせがまれたのでしょう、私の母はこの本を何度も読んでくれました。バンデージを貼ってほしいと必死に訴えるへなそうるが何だか気の毒でたまらなかったこと。「バンデージ」はバンドエイドのことで、同じ物なのに色々な言い方があるんだなと子ども心に思っていたこと…。記憶の中の母の声色と共に蘇りました。

そしてもうひとつ。てつたくんとみつやくんのお母さんが作ってくれるお弁当が実に美味しそうだったのです。

「いちごをとんとんとうすくきって、それに、はちみつをとろとろっとかけた」サンドイッチ。「たらこをやいて、それをほぐして、ごはんにまぜて、きゅっきゅっきゅっとにぎって」作ったおにぎり。

いちごの赤色とはちみつの黄金色、たらこの粒々が目の前に現れてきたのは娘も一緒だったようです。

「いいなあ。いちごのサンドイッチ、今度作ろう」

近いうちにサンドイッチを作ってみようと思います。

一緒に読んだという記憶は、新しい楽しみをつくってくれます。

鳥山百合子

 

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土佐町ポストカードプロジェクト

2020 May

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田井山 | 式地希乃花・晃太朗

 

5月の田井山。
新緑、と呼ぶのも躊躇するほどの勢いがこの時期の緑にはあります。

足元のコケ類も青々と元気づいている印象。

少し山中に入れば、樹木と草花で迷路のような様相になっていて、子どもたちにはちょっと怖いけどちょっとワクワクという場所なのかもしれません。

先を歩くお姉ちゃんは式地希乃花ちゃん、後から付いていくのは弟の晃太朗くん。

姉が先、弟が後、というこの光景も万国共通なんでしょうね。

 

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4001プロジェクト

山中泉夫 (中島)

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中島地区の地区長をされている山中泉夫さん。

中島生まれの中島育ち、中島という地区をずっと大切にされている方です。

長く郵便局員としてお仕事をされていたそうで、おそらく町の隅々までご存知と思います。

現在、土佐町役場の若手職員たちが挑戦中の「中島観音堂クラウドファンディング」、地区長の泉夫さんもテレビの取材などで多々動き回っていただいています。

この撮影はその中島観音堂の前にて。聞けば中島観音堂の掃除や草刈りなども何十年と泉夫さんがされてきているそうです。本当の意味で「地域を守る」ということの一端を教えていただいたような気がしました。

 

クラウドファンディングも残りわずかです。こちらもよろしくお願いします!

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読んでほしい

地蔵堂の龍

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ただいま製作中の「土佐町オリジナルポロシャツ2020」。今年のデザインは、土佐町地蔵寺地区にある地蔵堂の大龍です。
近頃、この龍のポロシャツを着た人を町のあちこちで見かけるようになりました。購入していただいたみなさま、ありがとうございます!

この龍の絵を描いてくれたのは、絵描きの下田昌克さん。下田さんは2018年から毎年、土佐町オリジナルポロシャツの絵を描いてくださっています。

【販売開始!】とさちょうポロシャツ2018

土佐町ポロシャツ2019販売開始です!

土佐町ポロシャツ2020販売開始です!

 

▪️龍との出会い

3月のある日、地蔵寺地区を訪れた際にふと立ち寄った地蔵堂で、編集部は龍の木像に目を奪われました。
ちょうどその頃、編集部は、今年のポロシャツのデザインは何にしようか?と頭を悩ませていました。龍と出会い、
今年のポロシャツはこれだ!と思った編集部。製作中である土佐町の絵本にも龍が登場する予定なので、そのこととも繋がります。急に目の前が開けたような気持ちになりました。

この素晴らしい龍を一体誰が作ったのか?編集部は調べてみることにしました。

それは、地蔵堂に心を寄せてきた人たちの存在を新たに知ることでもありました。

地蔵堂の大龍「阿形」

地蔵堂の大龍「吽形」

地蔵堂

▪️誰が龍を作ったのか?

「地蔵堂の龍は、誰が作ったのか?」

何人かに聞いていくと、この龍を作ったのは土佐町の宮大工・西村福蔵さんだということがわかりました。
ぜひご本人からお話を聞きたかったのですが、残念ながら福蔵さんは2018年に他界されていました。
その後、福蔵さんの息子さんがいることがわかり、お会いしてお話を伺いました。

西村福蔵さんの息子さんである、西村郁也さん

「龍がポロシャツになって日の目を見ることになって、父親が生きとったらとても喜んだと思う」

息子さんである西村郁也さんは、まずそう話してくれました。
郁也さんも大工です。宮大工であった父親・福蔵さんの背中を見てきた影響は大きかったと言います。

 

▪️宮大工・西村福蔵さん

昭和3年、福蔵さんは旧地蔵寺村(現在の土佐町地蔵寺地区)で、14人兄妹の3番目として生まれました。
終戦間際に軍へ入隊、国内でトンネル工事に従事します。終戦後は高知市で大工の修行を始め、その後土佐町に帰町。福蔵さんはこの一帯の大工の棟梁となりました。

郁也さんは彫刻をする福蔵さんの背中をよく覚えているといいます。太い一本の欅の幹の両面に龍の絵を描き、左右を見ながら順番に彫っていく。欅は密度が高いので細かい細工ができるのだそうです。

河内神社に奉納する龍を彫る西村福蔵さん(写真提供:西村福蔵さんの妹、山下美代子さん)

福蔵さんは、地蔵堂の龍以外にも多くの龍を製作しました。土佐町地蔵寺地区の河内神社や早明浦ダム近くの雲根神社など、土佐町の各地に福蔵さんが作った龍が奉納されています。

福蔵さんはどんな願いを込めて龍を彫り、地蔵堂に奉納したのでしょう。

 

▪️地蔵堂に記された記録

龍が奉納されている地蔵堂は、正保3年(1646年)に建立されました。中には地蔵菩薩、不動明王、毘沙門天などが祀られています。地蔵寺地区の山下有司さんが地蔵堂の扉を開け、中を見せてくれました。

天井から吊るされた木の板には「棟札之事」と書かれ、過去改修した年やそれに関わった人の名が筆で記されています。最も古い記録が「正保三年」 。地蔵堂は約370年ほど前からこの地にあるようです。文政7年(1810年)から天保3年(1832年)にかけて再建したことも書かれています。

「これは地蔵堂の歴史をまとめたものやね。よくこうやって書いてくれちょったね」」

山下さんはそう言って木の板を見上げます。

昔は先祖から聞いた話を言葉で伝え、また記録することでその歴史を引き継いできました。時代は変わり、生まれ育った地を離れる人も増えました。その地の歴史を知る人の高齢化も進み、次の世代へ伝えていくことがとても難しくなっています。地蔵寺地区も同様で、昔のことを語れる人はほとんどいなくなっているそうです。

 

▪️地蔵堂は心のよりどころ

地蔵堂では、毎年旧暦で、虫送り、夏祈祷、施餓鬼、子ども相撲など、おまつりごとが催されます。
昔、おまつりの日にはたくさんの出店が並び、とても賑やかだったそうです。子ども相撲の時には、絵馬(木の枠に和紙を貼って絵や文章を書いたもの)に蝋燭の明かりを灯し、道を照らしたとのこと。100以上の絵馬が並ぶのは本当に見事だった、と懐かしそうに野村昌子さんが話してくれました。

「昔は地蔵堂の隣に、それは立派な榎があってね。風に耐え、雨に耐え、雪に耐えて太っちょったけんど、倒れてしまってね」

そう話してくれた中岡孝衛さんは、毎日のように地蔵堂をお参りしています。

左:野村昌子さん 右:中岡孝衛さん

地蔵寺地区で生まれ育ち、長年、地蔵堂のお世話を続けてきたお二人は「今は人が本当に少なくなった」と言います。

風景は変わっても、いつの時代も地蔵堂は人が集う場所であり、心のよりどころだったのでしょう。改修するたびに記されてきた地蔵堂の記録や、福蔵さんが奉納した龍がそのことを教えてくれている気がします。

 

▪️龍をたくさんの人に見てもらいたい

「この龍を多くの人に知ってもらえたらうれしい。なおかつ、こういう彫刻や仏閣に興味を持ってくれる若者が増えたら一番ありがたいですよ。興味を持ってくれる人が一人でもおれば、携わりたいという思いが出てくる。たくさんの人に見てもらいたいな、というのが私の願いです」

福蔵さんの息子さんである郁也さんはそう言います。

 

 

地蔵堂の龍と出会ったことをきっかけに、地蔵堂は昔から多くの人たちが集い、立ちどまり、手を合わせてきた場所なのだとあらためて知りました。新たに知ることは、今まで見えていなかった風景を見せてくれます。

先人たちが重ねてきた祈りの先に、今の私たちがいます。私たちはこれからどこへ向かい、何とつながっていくのでしょう。

今日も地蔵堂は、何かを語りかけてくるかのように静かに佇んでいます。

 

 

*こちらの記事もご覧ください。

土佐町オリジナルポロシャツ、高知新聞に掲載されました!

 

 

 

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私の一冊

石川拓也

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「NEUTRAL COLORS」 2020 SPRING ISSUE 1

できたばっかり届いたばっかり。新しい雑誌「NEUTRAL COLORS(ニューカラー)」の創刊号です。

東京に住んでいた頃からの友人であり、旅雑誌「TRANSIT」の元編集長・加藤直徳氏が「手作り」と呼びたいぐらいの熱量で作った雑誌。創刊号のテーマは「インド」です。

一冊まるまるインドのことばっかり! しかも旅のガイド本ではなく、もっともっと突っ込んだインド文化・インド体験の一冊です。ひとことで言って「見たことない本」。

かく言う僕も、以前住んだニューヨークからインド、土佐町へと続く旅の記録を寄稿させてもらいました。

近年、よく思います。「出版する」という行為の本質的な目的ってなんだろう? 出版物がこれほど溢れている世界で、でも出版界は青色吐息で、なんのために本を出版するんだろう?

タマネギの皮を剥いていくように考えを巡らせば、中心に残るのはきっと「伝えたい」「世に問いたい」というシンプルな欲求であると思うのです。

それがいつしか業界ができあがり巨大システムができあがり、そのシンプルな欲求はあとまわしにされることが増え、「出版する」ことは周縁の人々の「利益発生装置」としての役割が最優先にされるような、動機なき行為と化してしまったのではないでしょうか?

この創刊号の表紙には「自分でつくると決めたインドの朝」とあります。

「作りたいから作るんだ」「伝えたいから作るんだ」そんな出版人の雄叫びが凝縮したような一冊。スーパー個人的な理由ですが、手元にあるだけでなんとはなしに嬉しくなる本なのです。

 

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▪️高知新聞に掲載されました!

2020年5月19日、「土佐町オリジナルポロシャツ」についての記事が高知新聞に掲載されました。
この記事は、4月より高知新聞嶺北支局へ赴任された竹内将史さんが書いてくださいました。

土佐町  シャツでPR
地蔵堂の龍 デザイン

【嶺北】土佐郡土佐町の魅力を発信するウェブサイト「とさちょうものがたり」編集部が、オリジナルのポロシャツを製作、販売している。同町地蔵寺にある「地蔵堂」の龍彫刻のスケッチをプリントし、地域をPRしている。

ポロシャツ製作は、サイトを立ち上げた写真家、石川拓也さん(45)の企画で3年目。絵本の挿絵などを手掛ける下田昌克さん(52)=東京都=がスケッチを担当し、ミミズクや山菜などをプリントしてきた。

今年は地蔵寺地区のシンボル「地蔵堂」(1646年建立)に施された龍の彫刻に着目。

石川さんは「荘厳さや仕事の細かさにほれ込んだ」と話し、住民から聞き取ったお堂の歴史などもサイトで紹介している。

彫刻は地元の宮大工、西村福蔵さん(2018年死去)の製作で、長男の郁也さん(58)は「父も喜んじゅうと思う。伝統の技を見に来てほしい」と話す。

地域の連携も深めようと、プリント作業は同町と長岡郡大豊町の障害者就労支援事業所の利用者が行い、収入につなげている。石川さんは「シャツを通じて龍のパワーを感じて」とアピールしている。

1枚2500円。口を開いた龍と閉じた龍の2種ある。注文は町役場総務企画課(0887・82・0480)か、「とさちょうものがたり」サイトから。

(竹内将史)

 

 

この記事が掲載された日の朝から、早速、町外・町内の方からポロシャツの注文をいただきました。ありがとうございます!

 

▪️今年のデザインは地蔵堂の大龍

今年の土佐町オリジナルポロシャツのデザインは「地蔵寺地区・地蔵堂の阿吽の大龍」。龍の絵を描いてくれたのは、絵描きの下田昌克さんです。印刷は、土佐町の障がい者就労支援事業所どんぐりと、大豊町の就労継続支援B型ワークセンター「ファースト」のメンバーさんが、シルクスクリーンという手法で1枚ずつ丁寧に印刷しています。

 

下田さんは2018年から毎年、土佐町オリジナルポロシャツの絵を描いてくださっています。

【販売開始!】とさちょうポロシャツ2018

土佐町ポロシャツ2019販売開始です!

 

 

地蔵堂の龍を今年のデザインとしたことで、編集部はこの龍を作った宮大工・西村福蔵さんを知り、福蔵さんの息子さんである西村郁也さんと出会いました。その出会いが、地蔵堂の歴史を新たに知るきっかけとなりました。

このことについては、とさちょうものがたりで記事にしてお伝えしたいと思います。

どうぞお楽しみに!

 

 

*今年の土佐町オリジナルポロシャツについて、こちらでも紹介しています。ご注文、お待ちしています!

土佐町ポロシャツ2020販売開始です!

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私の一冊

古川佳代子

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「王国  その1  アンドロメダ・ハイツ」 よしもとばなな 新潮社

よしもとばななの小説に出会ったとき、これはすごい!と心の底から思いました。

『とかげ』『キッチン』『TUGUMI』…。出る端から読み漁り、読み終えればひたすら次を待つ。ずいぶん長い間「よしもとばなな病」を患っていたのですが、いつしかぱたりと縁が切れ、ご無沙汰していました。

再び「よしもとばなな病」を患うことになったのは、山の中で素敵なカフェを営む友人から「この本について語り合いたいから読んできてよ」とこの『王国』を渡されてから。 久々に読むばなな作品は新鮮で面白く、瞬く間に引き込まれてしまいました。

山奥に居を構え、薬草のお茶で病をいやす祖母との暮しから一変し、都会でくらすことになった18歳の少女雫石(しずくいし)。 雫石と目の不自由な占い師・楓との運命的な出会いからはじまる不思議な関係、ばなな作品特有の家族以上に親密な疑似家族の細やかな描写…。1巻を読み終えた後、続きを借りてこなかったことをどんなに悔やんだことか…。

よしもとばなな、やっぱりよいなぁ!

古川佳代子

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笹のいえ

ひよこ

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一ヶ月ほど前から鶏を飼いはじめたのだが、実はほぼ同時にヒヨコも卵から孵化させて育てている。

雌鳥たちは貰われてきたときからすでに卵を産んでいて、雄もいるので有精卵。子どもたちに「これを温めるとヒヨコが生まれるんだよ」と話した。「いのちあるものだから、大切にいただこうね」という意味を込めたのメッセージだったのだが、子どもたちは「じゃあ、ヒヨコ育てる!」と言いはじめた。はじめての養鶏で世話やら何やら大変なのに、加えてヒヨコもなんて!と反対を試みるが、子どもたちの輝いた目には逆らえない。そして、ああなんということか、手元には以前友人に譲ってもらった孵卵器があるではないか。

とりあえず、二個の卵を温めてみることにした。

ネットで調べてみると、鶏の卵は孵化まで21日ほど掛かるが、途中いろんな原因で成長が止まり死んでしまうことも多いらしい。僕らにとってはじめてのことだから、生まれたら嬉しいし、うまく孵らなくてもそういうことって世の中にたくさんあるんだよ、子どもたちに話をした。

ビギナーズラックが働いたのか、果たして20日目に一羽目が、21日目に二羽目が生まれた。

生まれる前日、卵の内側から、か細いピヨピヨという声が聞こえたときは、感動だった。そして数時間を掛け、嘴でコツコツと殻を割り、自力で生まれてくるのだ。ヒヨコ、すごい。羽が乾いた一日後にはもう歩きはじめたので、用意しておいたダンボール箱の部屋に移した。ダンボールには小さな穴を開け、中の様子が見えるようにした。子どもたちは代わりばんこに顔を押し付けて観察する。ヒヨコたちは数分ごとに寝たり起きたりを繰り返していた。さらに数日後には盛んに動き回るようになったので、「触りたい」と言う子どもの手のひらにそっと置いてみる。逃げることなく、静かにしている。孵化のあと最初に目にしたものを親と思い込む「すり込み」によって、僕たちを親と思っているのかもしれない。

誕生から三週間が経ち、ひと回りもふた回りも成長したヒヨコたち、よく食べよく鳴きよく動く。天気の良いときは、カゴを逆さにした即席の小屋を屋外に置いて、中で遊ばせている。

さて、鶏たちがやって来て一ヶ月半ほど経ったが、実は、飼う前に心配していたことがあった。

ひとつは、飼い猫イネオと鶏の関係。獲って食べられてしまうのではないか、襲われて怪我をするのではないか。実際、最初の数日はお互い警戒を露わにしていたが、一定の距離を取ることで落ち着いたようにみえる。たまにイネオに追いかけられているが、上手に逃げてる。イネオも本当に獲ろうとしているわけではなく、ちょっかいを出しては、すぐ諦める。その後鳥たちが「なんだあの生き物は」とでも言いたそうに、不満の声を上げるので笑ってしまう。

もうひとつは、雄鶏の鳴き声。まだ暗いうちから朝を告げる雄の叫びに家族の安眠が妨げられるのではないかと心配していた。実際朝4時ごろに鳴き声を何度か聞いた。しかし、僕以外、目を覚ますものは誰もいなかった。

 

鶏の話はこちらから。

こっこ

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