「おとなってこまっちゃう」 ハビエル・マルピカ作, 宇野和美訳, 山本美希絵 偕成社
メキシコは日本と同じく、男は男らしく、女は女らしくという考え方が伝統的に強い国だそうです。とはいえ、2021年1月の列国議会同盟のデータによると、メキシコは国会議員の女性比率が48.4%で、世界で6番目に高い国でもあります(ちなみに日本は9.9%で166位)。このように女性の社会進出が進んでいるメキシコで、現役の弁護士として活躍している母親を持つ女の子・サラが本書の主人公です。
人権派弁護士のママは世間の偏見に真っ向から挑み、サラの叔父(母の弟)のサルおじさんがゲイだということにも誰よりも早く理解を示しました。友だちの悪口を根拠もなく言えば即座にたしなめてくる、自慢のママです。 ところがおじいちゃん(ママの父親)が再婚することにしたと聞いた時、ママはかんかんになって反対します。ましてや相手がママと同じくらいの年齢の女性だと知ると、まったく聞く耳を持ちません。 なんとかしてママがおじいちゃんの結婚を受入れてくれるよう、別れて暮らすパパやおじさんを巻き込んで奮闘するサラの姿に、ハラハラさせられたりニヤリとしたり…。
とても楽しいコメディータッチの物語でありながら、性別や世代にとらわれず、自由な価値観や多様性を大切に生きていくことの素敵さも伝わってきます。