「くいしんぼうのあおむしくん」
「ごめんね、ごめんね」と言いながら何でも食べてしまう、くいしんぼうのあおむしくん。
最初はまさお君の帽子を食べるくらいだったのが、おやつや紙屑、おもちゃやクレヨンもむしゃむしゃ。食べても食べても「おなかがすいたよう!」と騒ぎ続ける。
さらに近所のゴミを食べ(町は綺麗になる)、挙句の果てには木も町も人も食べ尽くす。まさおに「やめろ!」と怒られては「ごめんなさい、お腹がすくと本当にだめなの」とシクシク。
お話であることは分かっていながら、「あおむし君、ちょっといい加減にしなさいよ」と言いたくなってきます。
それでも食べることをやめられず、しまいにはあっちの国からこっちの国まで残らずペロリ。最後には、まさおくんまで食べてしまう。
この本は母がよく読んでくれた一冊で、幼心にちょっと不思議なお話だなと感じていました。が、今は若干ぞくっとする話だなと思っています。
「ごめんなさい」と言いつつ自らの食欲を満たすため、やりたい放題。でも食べても食べても満たされない。だからもっともっとと食べ続ける。周りの人を巻き込んでいることにも気付かず、いや、うっすら気付いていたとしても今更やめられない…。本人もしんどそうなのに…。本人も分からない、そうせざるを得ない何かが心の内にあるのでしょうか。
あおむし君を本当の意味で満足させるものは何でしょう。そもそも、本当の意味の満足ってどういうことなんだろう?
お話の最後は「食べられたまさお君も両親も家も町も全部あおむし君のお腹の中にあって、実はみんなあおむし君のお腹に入っている。だから空は青いんですよ」というオチ。「え?そういうことなの?」とその意外性にも驚かされます。
私にとって、思案のしどころある一冊です。