2022年5月

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

古川佳代子

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「緑の精にまた会う日」 リンダ・ニューベリー作, 野の水生訳, 平澤朋子絵 徳間書店

 日本に座敷わらしやコロボックルの伝説があるように、イギリスには豊かな自然の象徴のグリーンマンや炉端のロブ等の民間伝承があるそうです。

ルーシーのおじいちゃんの畑には「ロブさん」が住んでいて、おじいちゃんの畑仕事をちょこちょこと手伝ってくれています。ルーシーはまだロブさんを見たことはありませんが、ロブさんの存在をときどき感じることはあります。

やっとロブさんの姿を見ることができるようになったのもつかの間、おじいちゃんがなくなってしまい、畑は売りに出されます…。

目に見えないものは「ない」という人がいます。でもそうでしょうか?人を好きになる心や誰かに対する感謝の気持ちは目に見えないけれど、確かに存在しています。魔法はないっていう人がいますが本当にそうでしょうか?

小さな黒い朝顔の種を植えればちゃんと芽が出て夏には美しい花が咲くこと。ツバメの卵からはトカゲやニワトリでなく必ずツバメが孵ること。ちいさくて何もできなかった赤ちゃんが幼児になり子どもに成長し、いつしか大人になっていくこと…。どれ一つとっても全く不思議な、魔法としか思えないことで世界は満ち溢れています。

いつもいつも、幸せに平和に生きていくことは難しいかもしれません。でも、自分の周りにあるたくさんの魔法の力を信じて、自分の芯にある変わらぬものを大切にして道を歩き続ければ、その先にはきっと祝福がある、とルーシーとロブさんが教えてくれました。

 

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とさちょう植物手帖

天南星(テンナンショウ)

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「天南星」のひとつ、ナンゴクウラシマソウ

「天南星」とは、サトイモ科テンナンショウ属植物の塊茎(かいけい)を乾燥したもので漢方薬に用いられ、その類の植物の総称としても使われます。

一風変わった草姿です。鳥足状の葉っぱと花のような仏炎苞(ぶつえんほう)が特徴で、美醜の判断が真っ二つに分かれるような独特の雰囲気を持つ植物です。

上の写真はナンゴクウラシマソウの葉です。鳥足状複葉と呼ばれる1個(枚)の複葉で、複葉を構成する小さな葉片は小葉(しょうよう)と言います。

土佐町では「天南星」の9種の分布が確認されており、毎年3月頃から咲き始め、5月下旬には咲き揃います。

今回、そのうちの6種を紹介します。

「高知県レッドデータブック2022植物編」(※)では、6種のうち2種が絶滅危惧種、1種が注目種に選定されています。この3種はどれも山野草として人気のある花で、人の手による採取が絶滅の最大の危機要因となっています。そんな訳で今回は撮影場所を表示していません。

 

①ユキモチソウ(雪餅草)

葉は2個、鳥足状に3~5の小葉がつく。仏炎苞は紫褐色、中から丸く膨らんだ真っ白な餅のようなものが覗く。名前は膨れた白い部分を雪や餅に見立てたもの。四国以外ではまれな植物で、環境省レッドリストでは絶滅危惧種に、高知県では注目種に選定されている。

 

②マムシグサ(蝮草)

葉は2個、7~15の小葉が鳥足状につく。仏炎苞は緑色~淡い紫色で縦に白い筋が入る。大きく成長する個体は1mを超えるものもある。茎の模様が名前の由来になっており、マムシが首をもたげた姿に似ていると言って嫌う人も多い。

 

③ミツバテンナンショウ(三つ葉天南星)

葉は2個、いずれも三出複葉。暗紫色の仏炎苞は葉より上に出る。名前は小葉が三枚であることに由来する。

 

④シコクテンナンショウ(四国天南星)

葉は1個、7~15の小葉が鳥足状につく。仏炎苞は濃紫色~帯紫色で縦に白い筋が入る。仏炎苞の口辺部が耳状に張り出して外側に反り返る。四国固有種であることが名前の由来。絶滅危惧種。

 

⑤アオテンナンショウ(青天南星)

葉は1ないし2個、7~11の小葉が鳥足状につく。小葉の先と仏炎苞の先が糸状に伸びる。仏炎苞は淡い緑色で縦に白い筋が入る。全体的に青いイメージで、仏炎苞が緑色であることからこの名がついた。

 

⑥ナンゴクウラシマソウ(南国浦島草)

葉は1個、多数の小葉が鳥足状かつ渦巻状につく。小葉の主脈が白い筋状になる。仏炎苞の上部は濃い紫色、その中から糸状のものが長く伸びて外へ出る。その糸状を浦島太郎の釣り糸にみたて、南の方(中国地方・四国・九州)に分布することからついた名前。絶滅危惧種。

因みにウラシマソウは本州、四国を中心に、北海道や九州の一部にも分布する。

 

※「高知県レッドデータブック2022植物編」:すでに絶滅したり近いうちに絶滅しそうな高知県内の植物の種類やその原因などをとりまとめた本。2022年に改定された。土佐町図書館に所蔵されている。

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私の一冊

山門由佳

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「もう、家に帰ろう 2」  藤代冥砂 ロッキングオン

息子が一年生になった。 保育所時代、歩くのをいやがり自分の軽い荷物でさえ、持ってーと甘えていたあの息子が重いランドセルを背負って片道2キロの通学路を歩いてゆく。

朝、いっしょに通学する友達の姿をみつけると、こちらを振り向きもせずにはしゃいで学校へとむかっていくうしろ姿に、成長の喜びとともにすこしのさびしさを感じてしまった。 どんどんこうして離れていくんだなぁ、、、 あんなに早く大きくなってくれぇ〜と心から祈っていたのに、ほんとのほんとに大きくなって、離れていく予感を感じたら焦るあまのじゃくな母のわたしのきもち。 でも、これでいいんだ!これがいいんだ!…そう言い聞かせる。

この「もう、家に帰ろう 2」は著者である写真家の藤代冥砂さんの家族の写真集。息子さんを妊娠している頃からを順に追い、約6年間の記録を著者の温かいコメントと共に綴られている。 他人の家族写真なのに、自分達家族の記憶とかぶり、思わず感情移入して泣きそうになる。

一日一日は、大きな感動もなくただただ慌ただしく過ぎていくのに、一日が日々になって積み重なるとどうしてこんなにも愛おしくせつないんだろうか。 もう二度と取り戻せないあの日々。 想い出はいつだって美しい。

この素敵な写真集の表紙に落書きした幼い息子の痕跡。当時は本に落書きして叱ったのに、今ではそれですらいとおしく思える。。。 …じゃあ赤ちゃん時代に戻れますよ!といわれても戻りたくはないんだけれど。

 

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笹のいえ

お味噌汁さん、ごめんなさい

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食事の約束のひとつに「気を入れて食べる」というのがある。

自分が何を食べているのか、どんな風味や味がするのか、好きなのか嫌いなのか。食べものを口に運ぶときは、目の前の食事に関わった人々に感謝をもって食べてほしい。気持ちが食事に向かっていないと、食べきれずに残したり、逆に食べすぎたりすることがある。もちろん会話も食事を美味しくする要素だから、おしゃべりは結構だが、盛り上がり過ぎると食べることが疎かになってくるので、親の注意が入る。

それでも、その言葉が耳に入らず、例えばご飯や味噌汁あたりをひっくり返すことがある。

そんなとき僕は、彼らを叱る。時に子どもを泣かせてしまうくらい強く怒る場面もある。それは、食べものを大切にしてほしいという僕の想いだ。

 

しかし、そんな偉そうなことを言う僕に、事件が起きた。

ある日の夕食で、僕は掴んだ汁椀を滑らせ、こぼしてしまったのだ。

「しまった!」と思った。けれど、覆水盆に返らず。こぼした味噌汁は、もう碗に戻らない。

子どもたちの目線がテーブルに広がる味噌汁に集まり、次に僕を見る。普段「食べものを大切にせよ」と説教する父ちゃんが粗相をしたのだ。静まり返った食卓で、「このあと何が起こるのだろうか?!」と固唾を飲み込む子どもたち。

そんな状況に少し焦った僕の口から咄嗟に出た言葉は、「お味噌汁さん、ごめんなさい」。

それは自分でも意外な謝罪だった。お椀が濡れてて滑っちゃったとか言い訳もできただろうが、それをせず、僕は味噌汁に謝った。状況を見守っていた子どもたちはこの言葉に納得したらしく、幾分自分たちの姿勢を正してから食事を続けた。

 

写真:文章とは全く関係なくて恐縮です。屋根の雨樋から地面に落ちる雨が音を立てるほどしっかりと降る雨の日。数日前におばあちゃんから送ってもらったシャボン玉を持ち出して、叫び声をあげながら走り回る次男と次女。風邪を引かないかと心配する僕の気持ちは彼らに届かず、「やれやれ」と思いつつも、とっても楽しそうなのでシャッターを切った。

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私の一冊

古川佳代子

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「ルポ 森のようちえん~SDGs時代の子育てスタイル」 おおたきとしまさ 集英社新書

 遠い昔、幼児教育をほんのちょっぴり齧った(ほんとうにちょっぴりです)せいか、モンテッソーリ教育やシュタイナー教育、イエナプラン教育などの実践には興味や憧れがあります。これらの教育と並び称される教育が日本の各地で展開されているらしいのです。素敵!

その教育・保育活動を称して「森のようちえん」と名付けていますが、そのアプローチ方法は一律ではありません。 生きぬく力に満ちた、迫力のある子どもたちが育っている様子は見事の一言。こどもはやはり希望にあふれた存在なのだと伝えてくれるルポルタージュです。

 

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大豊町オリジナルポロシャツが製作スタートです!

 

先日お伝えしました「大豊町オリジナルポロシャツ」は、大豊町の障がい者支援施設であるファーストととさちょうものがたりが協働で挑戦している取り組みです。

【↓詳細は以下をご覧ください】

【販売開始】大豊町オリジナルポロシャツ2022

 

連休前の【販売開始】の告知に対して、順調にご注文をいただいております。ご注文いただいた方々ありがとうございました。

ある程度のご注文が溜まってきたこの時点(5月12日)で、実際の製作スタートです!

 

シルクスクリーン作業風景

 

1枚目の印刷ができました!

 

胸には「大豊町政50周年記念」のロゴ

 

背中には「ふたつの柚子」と「OTOYO CHO」の文字が印刷されています

 

 

 

大豊町オリジナルポロシャツ、製作も販売もスタートしたばかり。大豊町の方々、それからもちろん大豊町外の方々も、ご注文・お問い合わせをお待ちしております!

 

 

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読んでほしい

山の良心市

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ゴールデンウィーク中のある日、土佐町から高知市へ向かっていると、山の道先に棒に結ばれたリボンが揺れているのが見えた。

新緑一色だった視界にピンクが加わると、視線はそちらに向かう。

そこには良心市があった。良心市は、手作りの棚に野菜や果物などが売られている無人販売所。販売している人はいないので、代金は置かれている箱や瓶の中に入れる。

台の上にはピンクの傘がさしてあって、「いらっしゃいませ」と呼びかけてくれているかのよう。吸い寄せられるように市の前に立つと、いたどりと茹でたけのこ、クレソンが並べられていた。

茎はまっすぐ、しなやかないたどり。いたどりは収穫した次の日には茎がシナッとしてくるので、これはついさっき収穫されたばかりなのだとわかる。隣には、傷まないよう、発泡スチロールの中に入った柔らかな茹でたけのこ。そして、きれいな水が流れる場所で育つクレソンが小さな花束のように並べられている。

丁寧に束ねられた結び目に心を掴まれ、私はいたどりを買った。娘が瓶のふたをあけ、100円を入れるとチャリンと音がした。いたどりを抱きかかえ、掲げ見せてくれた娘の姿を見ながら、日々の道の途中でこのような買い物ができる楽しさと幸運を忘れないでいてほしいと願った。

数日後、良心市の前を通ると傘の代わりに鯉のぼりが立っていた。5月の今日という日が、ちょっと特別な日に思えた。

 

 

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私の一冊

西野内小代

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「日本語の大疑問  眠れなくなるほど面白いことばの世界」 国立国語研究所 幻冬舎

気になりながら詳しく調べることもなくやり過ごしてきた十二支の漢字の不思議。

帯の文字に興味をそそられ購入。

十二支は月日などの順序を表す記号のように用いられたものであり、動物との関わりはない。あとから馴染みある動物名を割り当てただけであり、本物の動物を示す言葉ではない。(ネコがないのが気になる~)

手話についても説明があり、なんと手話は世界共通ではない!日本においてさえ地域差がある。いわゆる手話の方言である。ジェスチャーが基本なので考えてみれば当然です。現在では標準手話がかなり浸透してきているそうです。

その他、「最近の日本語」「敬語と接客言葉」「世界のことばと日本のことば」「外来語」など興味深い内容が展開されています。

 

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2022年4月19日。この日、土佐町老人クラブの皆さんが集まって、植木鉢に球根を植えました。

土佐町社会福祉協議会の上田大さんが「急に声をかけさせてもらったき、どのくらい来てくれるかな?」と少し心配していましたが、そんな心配は及ばず。「クロコスミア」という花の球根を植えるため、元気なお母さんたちが20人ほど集まりました。

皆で植木鉢に球根を植え、「見守り訪問ふれあい便」で植木鉢を届けるとのこと。

「見守り訪問ふれあい便」は、町内の一人暮らしの高齢者の方々等を見守る活動で、2022年4月から行われています。毎月2回、民生委員さんやボランティアの方が訪問して話をしたり、その人とのつながりを保つ大切な機会となっています。

 

植木鉢を届ける

「見守り訪問ふれあい便」で届ける植木鉢はふたつ。両方とも育ててもらって、一つはその方へ。もう一つは秋に回収し、増えた球根を掘り起こし、翌年植え直すとのこと。そしてまた、植木鉢を届ける。育てた球根が誰かの元へ、くるりくるりと循環していくイメージです。

「コロナで人と会う機会が減ってしまって。人と人を繋げるために何ができるか…、話し合ってこの活動を考えました。皆さんに育ててもらって、笑顔になってもらって、球根も増やしてもらう。来年は球根を買わないですむといいなあ、って」

上田さんは笑ってそう話してくれました。

 

球根を植える

集まったお母さんたちの元気な声が響きます。土佐町老人クラブの「花クラブ」の皆さんです。この日参加していた最高齢の方は91歳!皆さん、チームワーク、バッチリです!

植木鉢に「土佐町老人クラブ 花クラブ」と書かれたシールを貼っていきます

 

植木鉢に土を入れ、球根を植える。「これ、なんぼでも増えて、しょうえいで!(土佐弁で「すごくいいよ!」の意味)」

 

「大くん、土がなくなったで!」「はいはい!」 お母さんたちのパワー全開です

 

きれいに見えるように土の上に「寒水石」をのせる。賑やかなおしゃべりも楽しい

 

あっという間に作業は終了!

「こうやってみんなと会うのは久しぶりで、やっぱりえいね!」

「来年、また鉢植えして、花いっぱいだ!」

弾んだ楽しそうな声があちこちで聞こえてきました。人と会って話をすること、一緒に作業をすることは人を元気にするのだなとあらためて感じます。

作業時間2時間の予定が、皆さんのチームワークで30分ほどで終了。マンパワーを見せつけられました。

クロコスミアは、夏から秋にかけて黄色い花を咲かせるそう。

土佐町社会福祉協議会とお母さんたちの繋がり。小さくとも確かな繋がりが、この土地の土台を支えています。町のあちこちの庭先で、クロコスミアの花が咲く風景が見えるようでした。

 

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私の一冊

古川佳代子

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「はなのすきなうし」 マンロー・リーフ文, ロバート・ローソン絵, 光吉夏弥訳 岩波書店

昔、スペインの牧場にフェルジナンドという子牛がいました。フェルジナンドは一人静かに草の上にすわって、花のにおいをかいでいるのが好きでした。他の子牛たちはいつか闘牛で活躍したいと飛んだり跳ねたりしていましたが、フェルジナンドはそんなことには全く興味がありませんでした。

それから数年後、体の大きな立派な雄牛に成長してもフェルジナンドの好きなことは、花のにおいをかいで静かにいることでした。ところが…。

この絵本がスペインで発行された1936年は内戦の最中で、平和主義者の象徴として国内で発禁になったこともある作品です。それでも名作として世界各国で読み継がれているのは、自分らしく自然体で、周りに流されることなく穏やかに生きるフェルジナンドの個性が、人々の心に何かしらの善きものをもたらしてくれるからではないでしょうか?

 

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