2022年5月

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

古川佳代子

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「みんなの地球を守るには?」  エリーズ・ルソー文, ロベール絵, 服部雄一郎訳 アノニマ・スタジオ

土佐町で迎える3回目の春が過ぎました。田んぼに水がはいり、大事に育てられた稲苗が風に揺れています。美しい景色を毎日眺められる日々に感謝する毎日です。

一日ごとに山の緑や空の青が色濃くなっていくのを見ていると、かの昔、土地を奪われた酋長シアトルが残したメッセージが心に浮かびます。 「獣たちの身に降りかかったことはすべて、時期に人間の身にもふりかかるものだ」「大地に唾することは自分自身に唾することだ」「大地が人間に属しているのではなく、人間が大地に属しているのだ」「私たちが愛したように、この土地を愛し、受取ったままの姿で子孫に手渡してほしい」。

もしも今、シアトルに「長年受け継いできた豊かな自然をちゃんと守り、受け取った以上に素晴らしいものにして、次の世代の子どもたちに手渡しているか」と問われたら、なんと答えましょう…。

環境汚染は今や地球規模で考えなくてはいけないほど大きくなってしまっているけれど、でも、一人ひとりが考えること、行動すること変えられるよ。何かしようとした時、何になるんだろうって思うことがあるかもしれない。でも大丈夫、小さなことでもまずは始めることが大切なんだよ!と伝えてくれるこの本に出会えたことに、感謝です。

 

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読んでほしい

デストロイヤー

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近所の人が野菜の苗をくれるというので、その人の畑を訪れた。

その人の畑は、私の理想そのものだった。きゅうり、とうがらし、じゃがいも、ニンニク、ミニトマト、なす、山芋…。野菜たちが「この畑でよかった!」と言っているみたいに生き生きしていて、みずみずしい。それに比べて私の畑は…。苗を買って植えても、数日後には見るからに元気がなくなっていく。きっと明日は育っているはずと希望を持って見ても、期待通りになったためしがない。

 

「じゃがいもある?ちょっと待ってて」と、その人はしゃがみ込んでせっせと掘ってくれた。

じゃがいもの根元には籾殻が敷かれていた。こうしておくと草が生えにくいという。土は柔らかくふかふかで、スコップで一回、二回ほど掘っただけでじゃがいもの姿が見えてきた。

馴染み深い黄土色のじゃがいもと思いきや、出てきたのは赤紫色のじゃがいも。

「デストロイヤーっていう名前なのよ」

思わず聞き返した。

「デストロイヤー?!」

 

「昔、デストロイヤーっていう覆面したプロレスラーがいて、その顔に似てるからってその名前がついたんやって」

 

なんだかかわいい顔のデストロイヤー

プロレスラーの「ザ・デストロイヤー」は、1960年代から活躍した覆面レスラー。得意技は足4の字固めで、力道山やジャイアント馬場とも戦ったとのこと。

赤紫のじゃがいもが、写真で見た骨太な「ザ・デストロイヤー」さんの顔にしか見えなくなってきた。

 

デストロイヤーは、フライドポテトやコロッケにしていただいた。ねっとり、むっちり、とにかく甘い。塩味やソースと合わさると、その甘さが際立って手が止まらなかった。

デストロイヤーを、もういいというまで食べてみたい。

目指せ理想の畑。そのために、まずは基本の土づくりから始めようと思う。

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メディアとお手紙

アラスカからの手紙

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富貴子さんから届いたカード。両方ともデナリが描かれている

ある日、編集部にエアメールが届きました。封筒にはAlaska という文字が。どなたからだろうと封を開けると、一枚の美しいカードが入っていました。富貴子ワリスさんという方からでした。

富貴子さんは「とさちょうものがたりZINE09」を手にし、読んだ感想を綴ってくださっていました。

 

とさちょうものがたりの雑誌09号を読ませていただきました。

私の親友で土佐町の立割に住んでいる上田千佳さんが送ってくれたのです。

私の叔父の筒井賀恒さんのお話が出ており、大変懐かしく思いました。

その昔、私は「伊野町清水川窪」というところから、深い植林の山道を歩いて芥川にいき、叔父の家で数日お世話になり、楽しい時をすごしました。

高峯神社にも参拝したことがあります。

そこに生きる人々のお話が思いやりある言葉で綴られて文章となり、心が打たれるものがありました。

いつの世にも人と人との心のつながりは大切なもの。一つ一つの物語は誠実に生きる人々の美しい姿であり、学ぶことも多くありました。

それぞれの物語は私たちの心の糧となります。

これからもとさちょうものがたりの出版が長く続きますよう応援しております。

富貴子 ワリス

 

一冊の「とさちょうものがたりZINE」が海を渡り、遠くアラスカまで届いた不思議を思います。

富貴子さんの元へ届いたのは、富貴子さんのご友人が土佐町にいて、本を封筒に入れ、切手を貼り、郵便局から送ってくださったからです。一冊の本は、私の知らないところでたくさんの人の手を介し、旅をしていました。そのことを思うと胸が震えます。

デナリ国立公園に聳えるデナリ(マッキンリー山)が描かれたカードは、自らの足元は常に広い世界と繋がっていることを思い出させてくれました。

調べてみると、デナリは北アメリカ大陸の最高峰。きっとアラスカの方たちにとって、デナリはいつも自分達を見守ってくれている、原風景のような存在なのかなと感じました。

いつかアラスカを訪れ、富貴子さんとお会いできたらと願っています。

 

富貴子さんにお返事を書き、記事として掲載することの許可をいただいています。

 

とさちょうものがたりZINE09が発刊です!

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土佐町ストーリーズ

95年間のキヨ婆さんの思い出 10

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土佐町栗木地区に近藤潔さん(95歳)という方がいます。潔さんは書くことがとても好きな方で、今まで、高知新聞の「あけぼの」というコーナーに何度も投稿されてきました。とさちょうものがたりでは、「95年間のキヨ婆さんの思い出」と題し、土佐町で過ごした思い出を綴ってくれます。

 

カンタローみみず

私の家から少し上がっていくと群道があって、右へ行くと「相川口」、左へ行くと「オート」へ行けました。

雨上がりには、カンタローみみずが道いっぱいに這い出ていました。兄と二人でバケツと火ばさみのようなものを持って、捕まえに行きました。

道いっぱいに這っていて、大きいの、小さいのと、バケツ半分くらいにすぐなって、帰って鶏にやりました。

始めのうちは奪い合いをするが、たちまち喉の下の方が膨らんで見向きもしなくなります。

でも、あんなものを食べて、卵になって出てくるのが不思議でした。いり卵は美味しいのにネ。

幼い頃、そう思ったことでした。

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私の一冊

西野内小代

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全米トップ校が教える自己肯定感の育て方 星友啓 朝日新聞出版

「自己肯定感」という言葉に引かれ手に取った。

満足感のある経験もしてきたはずなのに、ふと蘇る思い出にマイナス思考に陥り、心のモヤモヤ・自尊心の喪失、だんだん落ち込んでいく。常々こういった自己否定の感覚に見舞われ俯きがちになる。

成績の向上、金銭的な裕福、これらは外発的な報酬であり、おまけの報酬であって、これによる満足感は長くは続かない。よって自己肯定感は育たない。

これとは対照的に内発的な満足感による自己肯定感は持続可能である。

ネガティブな気持ちは無理矢理忘れようとしてはいけない。

自分の気持ちを抑え込みがちな人は、疾患による死亡リスクが30%高まり、癌になる確率も70%上がるという研究結果がハーバード大学などにより報告されているそうです。

人間は反省の生き物であり、反省しないことには次のステップでの向上はない。そのようにして人類は成長し、豊かな心を育んできた。自己否定・反省は厳しい進化を生き抜く上で一人ひとりのDNAに刻まれてきた大切な能力の一つであると肯定的に捉えるべきである。

自己肯定感の育て方が幾通りか提案されていて「優しさ」がキーワードになっています。

 

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第2回 土佐町ベンチプロジェクト2021」のベンチ2脚が、とさちょうものがたりスタッフにより南泉の広場にやって来た。

白髪神社辺りから相川口間の南泉ルートは脇を水路が流れ、適度にくねり、何より地域の方々の住まう覚悟が徹底しており、草刈り等万全に管理されている。素敵なウォーキングコースとして地域の方々にとても親しまれています。

JAスタンド前の橋を渡り、少し坂道を登れば広場に到着です。

南泉のご婦人有志により簡単なベンチが休憩所として自作・設置されていた。集っては歩き、休憩しては会話を楽しんでいました。

そこへある日ピッカピカのベンチが2脚そっと置かれた。

集っていた地域の方々はさぞ驚き、嬉しかったことでしょう。

それから2~3日は微妙な位置調整、旧自作ベンチの移動(折り返し地点へと運んだ模様)、とてもにぎわっていました。

 

ある日の夕方、何か景色が違う!?

日差しを避け木陰へと移動されていたベンチがカギの字型に並べ変えられ、中央に巨大な丸太が鎮座していた。その丸太を運ぶのは重機でもない限り不可能。

そしてまたある日、テーブルにしてはかなり高さがあり少し不都合っぽく見えた丸太の高さ調整がされ、「ずーっと以前からここにありましたよ」と言わんばかりにデンと座っている。

 

よく利用している近所のKちゃんに尋ねてみました。

散歩している道中にあった丸太を広場へと頂くことになり、所有者さんのご厚意で手配していただいたお知り合いの若い方が運んでくださり、チェーンソーで切断までしてくれたそうです。

その一画は、どこか心ときめかせてくれる‘ほのぼのと’した存在です。

 

【第2回】土佐町ベンチプロジェクト 2021

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メディアとお手紙

高知新聞に掲載されました!

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高知新聞に掲載されました!

大豊町の障がい者支援施設「ファースト」のメンバーさんが描いた絵が、ポロシャツになりました!

高知新聞に掲載されてから、町の方をはじめ、多くの方からご注文いただいています。ありがとうございます!

現在、せっせと印刷中です。

『大豊町ファーストが製作したポロシャツを、大豊町ファーストが印刷作業を行い、販売。そして利用者さんのお給料として、その売上の一部が手を動かして仕事をした利用者さんに還元されていく。』

こういった仕組みになっています。

皆さまからのご注文、お待ちしています!

 

ポロシャツで大豊町PR

町制50年特産ユズをデザイン

【嶺北】
長岡郡大豊町制50周年を記念したポロシャツがこのほど完成した。デザインや製作に携わった障害者就労支援事業 所「ファースト」(高須) の利用者は「たくさんの大豊町の人に着てもらいたい」と呼び掛けている。

土佐郡土佐町の魅力を発信するウェブサイト「とさちょうものがたり」編集部の石川拓也さん(47)が企画。同編集部は5年ほど前から、施設利用者らと同調をPRするポロシャツを製作、販売している。

今年は初めて大豊町をテーマに製作。ポロシャツ背部には利用者が描いた町特産のユズのイラスト、胸部には合併前の旧4村(東豊永、西豊永、大杉、天坪)の名前などをあしらったロゴがプリントされている。

イラストやロゴの刷り上げも利用者が行い、収入につなげている。

「ファースト」に通う小笠原照幸さん(58)は「プリント作業はほぼ初めてだったけど、イラストの白い線と生地の色合いをうまく合わせられた」と話していた。

ポロシャツは黒や緑、赤など10色で、1着2,500円(税込み)。注文はファースト(0887-72-1570)か同編集部(0887-72-9260)で受け付けている。

(谷沢丈流)

 

 

 

*色やサイズについては、こちらの記事をご覧ください。

【販売開始】大豊町オリジナルポロシャツ2022

 

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私の一冊

古川佳代子

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「緑の精にまた会う日」 リンダ・ニューベリー作, 野の水生訳, 平澤朋子絵 徳間書店

 日本に座敷わらしやコロボックルの伝説があるように、イギリスには豊かな自然の象徴のグリーンマンや炉端のロブ等の民間伝承があるそうです。

ルーシーのおじいちゃんの畑には「ロブさん」が住んでいて、おじいちゃんの畑仕事をちょこちょこと手伝ってくれています。ルーシーはまだロブさんを見たことはありませんが、ロブさんの存在をときどき感じることはあります。

やっとロブさんの姿を見ることができるようになったのもつかの間、おじいちゃんがなくなってしまい、畑は売りに出されます…。

目に見えないものは「ない」という人がいます。でもそうでしょうか?人を好きになる心や誰かに対する感謝の気持ちは目に見えないけれど、確かに存在しています。魔法はないっていう人がいますが本当にそうでしょうか?

小さな黒い朝顔の種を植えればちゃんと芽が出て夏には美しい花が咲くこと。ツバメの卵からはトカゲやニワトリでなく必ずツバメが孵ること。ちいさくて何もできなかった赤ちゃんが幼児になり子どもに成長し、いつしか大人になっていくこと…。どれ一つとっても全く不思議な、魔法としか思えないことで世界は満ち溢れています。

いつもいつも、幸せに平和に生きていくことは難しいかもしれません。でも、自分の周りにあるたくさんの魔法の力を信じて、自分の芯にある変わらぬものを大切にして道を歩き続ければ、その先にはきっと祝福がある、とルーシーとロブさんが教えてくれました。

 

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とさちょう植物手帖

天南星(テンナンショウ)

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「天南星」のひとつ、ナンゴクウラシマソウ

「天南星」とは、サトイモ科テンナンショウ属植物の塊茎(かいけい)を乾燥したもので漢方薬に用いられ、その類の植物の総称としても使われます。

一風変わった草姿です。鳥足状の葉っぱと花のような仏炎苞(ぶつえんほう)が特徴で、美醜の判断が真っ二つに分かれるような独特の雰囲気を持つ植物です。

上の写真はナンゴクウラシマソウの葉です。鳥足状複葉と呼ばれる1個(枚)の複葉で、複葉を構成する小さな葉片は小葉(しょうよう)と言います。

土佐町では「天南星」の9種の分布が確認されており、毎年3月頃から咲き始め、5月下旬には咲き揃います。

今回、そのうちの6種を紹介します。

「高知県レッドデータブック2022植物編」(※)では、6種のうち2種が絶滅危惧種、1種が注目種に選定されています。この3種はどれも山野草として人気のある花で、人の手による採取が絶滅の最大の危機要因となっています。そんな訳で今回は撮影場所を表示していません。

 

①ユキモチソウ(雪餅草)

葉は2個、鳥足状に3~5の小葉がつく。仏炎苞は紫褐色、中から丸く膨らんだ真っ白な餅のようなものが覗く。名前は膨れた白い部分を雪や餅に見立てたもの。四国以外ではまれな植物で、環境省レッドリストでは絶滅危惧種に、高知県では注目種に選定されている。

 

②マムシグサ(蝮草)

葉は2個、7~15の小葉が鳥足状につく。仏炎苞は緑色~淡い紫色で縦に白い筋が入る。大きく成長する個体は1mを超えるものもある。茎の模様が名前の由来になっており、マムシが首をもたげた姿に似ていると言って嫌う人も多い。

 

③ミツバテンナンショウ(三つ葉天南星)

葉は2個、いずれも三出複葉。暗紫色の仏炎苞は葉より上に出る。名前は小葉が三枚であることに由来する。

 

④シコクテンナンショウ(四国天南星)

葉は1個、7~15の小葉が鳥足状につく。仏炎苞は濃紫色~帯紫色で縦に白い筋が入る。仏炎苞の口辺部が耳状に張り出して外側に反り返る。四国固有種であることが名前の由来。絶滅危惧種。

 

⑤アオテンナンショウ(青天南星)

葉は1ないし2個、7~11の小葉が鳥足状につく。小葉の先と仏炎苞の先が糸状に伸びる。仏炎苞は淡い緑色で縦に白い筋が入る。全体的に青いイメージで、仏炎苞が緑色であることからこの名がついた。

 

⑥ナンゴクウラシマソウ(南国浦島草)

葉は1個、多数の小葉が鳥足状かつ渦巻状につく。小葉の主脈が白い筋状になる。仏炎苞の上部は濃い紫色、その中から糸状のものが長く伸びて外へ出る。その糸状を浦島太郎の釣り糸にみたて、南の方(中国地方・四国・九州)に分布することからついた名前。絶滅危惧種。

因みにウラシマソウは本州、四国を中心に、北海道や九州の一部にも分布する。

 

※「高知県レッドデータブック2022植物編」:すでに絶滅したり近いうちに絶滅しそうな高知県内の植物の種類やその原因などをとりまとめた本。2022年に改定された。土佐町図書館に所蔵されている。

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私の一冊

山門由佳

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「もう、家に帰ろう 2」  藤代冥砂 ロッキングオン

息子が一年生になった。 保育所時代、歩くのをいやがり自分の軽い荷物でさえ、持ってーと甘えていたあの息子が重いランドセルを背負って片道2キロの通学路を歩いてゆく。

朝、いっしょに通学する友達の姿をみつけると、こちらを振り向きもせずにはしゃいで学校へとむかっていくうしろ姿に、成長の喜びとともにすこしのさびしさを感じてしまった。 どんどんこうして離れていくんだなぁ、、、 あんなに早く大きくなってくれぇ〜と心から祈っていたのに、ほんとのほんとに大きくなって、離れていく予感を感じたら焦るあまのじゃくな母のわたしのきもち。 でも、これでいいんだ!これがいいんだ!…そう言い聞かせる。

この「もう、家に帰ろう 2」は著者である写真家の藤代冥砂さんの家族の写真集。息子さんを妊娠している頃からを順に追い、約6年間の記録を著者の温かいコメントと共に綴られている。 他人の家族写真なのに、自分達家族の記憶とかぶり、思わず感情移入して泣きそうになる。

一日一日は、大きな感動もなくただただ慌ただしく過ぎていくのに、一日が日々になって積み重なるとどうしてこんなにも愛おしくせつないんだろうか。 もう二度と取り戻せないあの日々。 想い出はいつだって美しい。

この素敵な写真集の表紙に落書きした幼い息子の痕跡。当時は本に落書きして叱ったのに、今ではそれですらいとおしく思える。。。 …じゃあ赤ちゃん時代に戻れますよ!といわれても戻りたくはないんだけれど。

 

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