「お探し物は図書室まで」 青木美智子 ポプラ社
地域のコミュニティーハウスにある図書館の司書さんの影響力、察知能力をメルヘンタッチで描いている。5章からなる短編集のような構成。
婦人服販売員、夢を実現したいサラリーマン、出産後のキャリアウーマン、ニート、そして定年退職後の自分の居場所を求めるおじさん等が、鬱屈した想いを抱え、取り巻く環境に不満を抱き、この図書館に引き寄せられるがごとくやって来る。
そして不思議な司書さんに出会い、一見尋ねた本とは関連のないと思われるタイトルの本を薦められ、付録と称するぬいぐるみのような手芸品を手渡される。
本を探しに来てはいるが、実際は自分探しの来館者が、司書さんの助言により前向きな人生へと漕ぎ出す展開。ファンタジックな司書さんの数少ない助言により自らが思いを定めるようになる過程がキーポイント。