川村房子

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

川村房子

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「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」 ブレイディみかこ 新潮社

これはイギリスの、荒れているといわれている地域に住んでいる家族。

小学校は市のランキング1位の小学校を卒業し、中学校入学に元底辺中学に入学した優等生の僕。銀行員から前からやりたかったとダンプの運転手になった父と前向きでちょっぴり破天荒な母の3人家族。

元底辺中学校は毎日が事件の連続。人種差別、ジェンダーに悩む少年、何より貧富の差があって、食事でさえ満足にとれない、超底辺の友人のやりきれなさを見つめる僕。パンクな母ちゃんと考え悩んだりしながら、前をむいて毎日を暮らす。

EU脱退か否かで荒れる政治。国から忘れられてしまったような底辺での日常を果敢に乗り越えていく。子育て中のお父さん、お母さんには、是非是非読んでもらいたい一冊です。

老人はすべてを信じる。中年はすべてを疑う。若者はすべてを知っている。子どもはすべてにぶち当たる。

川村房子

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「愛の領分」 藤田宜永 文藝春秋

この本を読んで数日後に、高知新聞のメモリアル欄に藤田氏の訃報が掲載されていた。

冒険・恋愛小説の名手で直木賞作家。はじめての作家でしたが、直木賞受賞作品につられて読み始めた小説でした。

待望の恋愛小説と書かれていた。不倫でもないのに秘密のにおいがする。愛を信じられない男と女。それでも出会ってしまった彼らの運命。交差する心と身体、複雑に絡み合う男女4人。すべてをかなぐり捨てた中年男女がゆきつく果ては…。

新聞に、常に完璧さを求める母親から愛情を感じられずに育ったという。そのためか「女の人へのこだわり」が人一倍強かった。作風はひろいが共通するのは主人公が皆どこか寂しげであることだと書かれていた。本当にその通りで、恋愛小説を読んだあとの幸せ感ではなく、寂しさやせつなさを感じた。

川村房子

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「それぞれの終楽章」 安部牧郎 講談社

本棚にあった一冊で、昭和62年発行だから、30年以上前になります。作者紹介をみても、何も書いておらずスマホで調べてみた。85歳で死去。

推理小説、官能小説、野球小説等、多岐にわたって書いていて直木賞候補には何度もあがっていたらしい。「直木賞受賞」にひかれて読みました。でもなんで読んでなかったろう?

主人公は矢部宏、小説家、50歳。親友だった森山が自殺した。通夜に出るため故郷に帰った。友人の借金の保証人になっていたのだ。1億円以上の負債をかかえていたのだ。その上愛人と子どもまでいるという。通夜の席で同級生たちに会い、中学、高校の頃が苦い思い出とともによみがえってくる。

森山とは音楽も一緒によく聞いた。シンフォニーの弟三楽章で幕を閉じてしまった。矢部は終楽章を聞くことができる。もうそれははじまっていると。

私も楽しい思い出とともに苦い思い出もいっぱいある。終楽章がとっくにはじまっている身としては、今を大事に生きていきたいと思う。

川村房子

 

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「死に支度」 瀬戸内寂聴 講談社

そろそろ断シャリしようか?自分の思いを書き留めておこうかと思うことはあっても、現実的でないような、その時はその時かと呑気さとルーズさが顔を出す。

寂聴さんはたくさんの人の心を法話で救っている。時々テレビに出ていることがあって、その話しに聞き入ってしまう。

「呆けることだけは避けたい。だから、今のままで死にたい。今夜死んでも悔やむことは一切ないという」

誰でも呆けたくないと思う。

死にたいと言葉では言っても、クスリを呑み、悪いところは手術をしあがき続けるものだとおもう。

足腰が弱り、髪の毛が少なくなり、歯がぬけてしわがより、気力はあっても体力がついていかなくなり、自分の中のすべてが老い支度はいやでもはじまっている。

寂聴さんにだって、つらいせつない苦しい思いをしたことたくさんあって、眠れぬ夜も何度もあったろう。

何事も達観したお歳になって、自分の思うままに生きてきたからこその言葉かもしれない。

川村房子

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「コーヒーが冷めないうちに」 川口俊和 サンマーク出版

最近なくなった人に会えたり、戻ってきたり、という小説に縁がある。

この小説は、コーヒーが冷めないうちに、過去に戻ったり未来に行ったりするという、不思議な噂のある喫茶店「フニクリフニクラ」でおこる物語です。

過去に行けてもその未来が変えられるわけじゃない等、非常にめんどくさいルールがある。

4人の女性たちが紡ぐ家族と愛と後悔との物語。それぞれが体験した後も、お互いがつながっていく優しくて心あたたまる物語。

20万部を突破したベストセラーで、帯に読者からのお便りがのせられている。

「心の病気を患って仕事をやめた今、涙を流しながら読みました。過去に戻って相手の心を確認してこなくても、もう私は大丈夫。そう思えました。また外に出て行く勇気をもらいました」と。

なんだか心が悲しい人に読んでもらいたい作品です。

川村房子

 

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「幸福な生活」 百田尚樹 祥伝社

久しぶりにこの作者の本を読みました。

発売されると待ちかねるように読んでいましたが、メディアに顔を出すようになってちょっと敬遠。でもやっぱりおもしろい。

表面上は幸福な生活に見えても、それにはほど遠いドキッとするおちでちょっと怖い。

18の短編からできています。

「おとなしい妻」では、早苗はものすごく気の弱い女で、美人ではないけれど童顔で笑うと愛嬌のある、そんな妻を愛していた。頬をはらした男がどなりこんできたが、妻はしらないとうつむいて首を横にふるが、モニターをみると歴然。精神科での診察を受けた後、夫は医師と話していると、待合室から男の怒鳴り声。

看護師がなだめても「やかましい、ぶっ殺すぞ」

「やっかいな患者さんですね」夫が言うと、医師は少し困った顔で言った。

「貴方の奥さんですよ」

ないようであるような怖い話の連続です。

川村房子

 

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「なりたい」 畠中恵 新潮社

ファンタジー時代小説。愉快で愛嬌たっぷりな妖(妖怪)が繰り広げるファンタジー。しゃばけシリーズ第十四弾。

江戸有数の廻船問屋の跡取り息子。限りなく病弱な離れで暮らす一太郎。

亡くなった祖母が大妖であった故、一太郎も少しはその血をひいており、店で働くもの、離れに陣取っているもの、世話をするものと妖たちに囲まれて過ごしている。

そんな一太郎の元に、どこから聞いたのか助けをもとめてやってくる。

消えた死体を捜せ、猫またの長をきめろ、おまけに来世でなりたいものを決めろと無理難題。一度出かければひと月も寝込んでしまう病弱さでありながら、屏風のぞきや貧乏神、鳴家、おしろに小鬼等に助けを借りて解決に導いていく。

妖たちはお菓子や料理、お酒をお供えしてもらえば文句なし。

「妖になりたい」「人になりたい」「猫になりたい」「親になりたい」「りっぱになりたい」。

願いをめぐる5つの物語。

川村房子

 

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「ふしぎな駄菓子屋銭天堂2」 廣嶋玲子 偕成社

路地の奥にある小さな店。古びたたたずまいの店で「銭天堂」の看板がかかっている。

「なにかお探しでござんすか?」声をかけるのは、小山のように大きくてどっしりしているうえに、大きな古銭柄をあしらった赤紫の着物で迫力満点。髪は真っ白だけど、福々しい顔にはしわがなくつややかな店主。

そしてそこにはひょんな事から迷い込んだ幸運なお客さんがやってきて、今、一番欲しいものがびっくりするほど安い値段で手に入る。

盗み名人になりたい者には「怪盗ロールパン」、病気を治せる人になりたい女の子には「ドクターラムネット」など。

これらにはみな但し書きがついていたり、店主から言葉かけがあったりするけれど、夢中で気がつかない。願いがかなえられると図にのってしまって墓穴をほってしまうことも。

幸運に恵まれるか否かは本人しだい。

もう一度と思ってその店を探しても二度とみつからない。

他に「ミュージックスナック」や「しっぺがえしめんこ」など6編からなっている。シリーズになっていて10巻以上。

「子どもさんから大人の人まで読んでいますよ」と図書館の時久さんがすすめてくれました。楽しく読めます。

川村房子

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「木のみかた   街を歩こう、森へ行こう」 三浦豊(森の案内人) ミシマ社

亡くなった夫は木を育てるのが大好きだった。ふくれっつらをする私を気にすることもなく、一本千円もする杉の苗木を買うこと等、いといもしなかった。

この本はたまたま図書館でみつけた。

森は木がたくさん生えている場所のことで、山は大きく隆起している地形のことを指すという。

華のある木は桐、共感できる木は山桑だという。子どもの頃、近所の畑そばにあって食べた記憶のあるあの桑の木らしい。

原始の森の王は京都下鴨神社の椋の木。二億年前からいるのは銀杏の木等など。

私の思っていた木の本とは違ったけれど、ちょっと見方がかわりました。

ちなみに、案内人がすすめる四国の森は、エメラルド色の川が流れる石鎚山の麓面河渓(愛媛県久万高原町)とまるで巨大な神殿巨木杉の魚梁瀬千本山(高知県馬路村)だそうです。又行く機会があったら違った見方ができそうです。

川村房子

 

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「対岸の彼女」 角田光代 文藝春秋

私って、いったいいつまで私なんだろうとおもう小夜子。子どもの頃も、高校、大学に入っても、結婚し3歳の娘をもつ母親になっても、人とうまく付き合えない。娘も同じで公園に行っても砂場の隅でポツンとしている。買い物に出てもブラウスが高いのか安いのかわからなくなっている。娘のこと、自分の事を考えて働きにでることにする。

一方薫は子どもの頃からかわった子であり、中学に入っていじめにあい学校に行けなくなった。高校は引越しをして入った。そこでもいろんなことがあった。本当にいろんなことが…。大学を出て、そして掃除代行の会社をたちあげ、そこに採用された小夜子。そこからもドラマははじまる。

女の人を区別するのは女の人だ。既婚と未婚、働く女と家事をする女、子のいる女といない女。立場が違うということは、時に女同士を決裂させると。そういえば結婚して子どもが欲しくてもできなかった友人が「子どもの話しがでるから行かない」と同窓会には顔をみせなかった。悪気はなく、なにげに姑の愚痴や子どもの話しは出る。それで傷つく友がいた。それでもみんないろんな事を乗り越え日々の暮らしを続けている。

子どもがいてもかわいい孫がいても、友達の存在はなによりもありがたく感謝している。

川村房子

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