「百人一首 百人の物語」 辻井咲子 水曜社
一首には一つの解釈があるのみとずっと思っていた。違う感じ方をしてもそれは私が間違っているのであって、正解を覚えなくては…と長年思っていた。
時々こんな作品がどうして長く世に残っているのかと不思議に思うこともある。この本に出会い、長い年月を経る過程において、解釈は変化していく場合もあることを理解した。
それならば、自己流に解釈してもいいのではないか、と気軽に接することができるようになった。
百人一首の選者である藤原定家は、政治的な思惑や世間の評判を気にして選んだ可能性も考えられるそうだ。表現や解釈は自由と感じることにより、固まっていた思考がほぐされていく思いがする。
この本は、それぞれの作者とその歌を詠んだ時の状況も含め、その歌の背景を簡明に解説してくれる。