「嘘をつく器 死の曜変天目」 一色さゆり 宝島社
ミステリーはあまり読まないけれど、NHKの朝ドラの影響で「曜変天目」の器ってどんなものだろうと思って読んでみた。
「曜変天目」とは、鉄分を多く含んだ釉薬を鉄釉というが、なかでも黒、黒褐、茶色といった釉調を持つ焼き物は、一般的に天目と呼ばれる。天目という名前は、中国浙江省天目山の禅院で使われていた什器を日本の禅僧が持ち帰ったというところから由来するらしい。うーん、なるほど、と思いながら読んでいくけれど、ひと月もすると、中国からきた焼き物位にしか覚えてないのが悲しい…。
京都鞍馬の山中にて、人間国宝間近と目された陶芸家西村世外の他殺体が見つかった。世外は「曜変天目」を完璧に作っていた。この幻の焼き物を巡る殺人事件を、世外の弟子である町子と保存科学の専門家大学助教授の馬酔木で、一転二転する殺人犯を追ってゆく。
ミステリーは、結果が知りたくて最後が一気読みとなり、夜のふけるのも忘れてしまう。
ちなみに「馬酔木と書いてアシビと読む」。はじめて見る名字で、何度もページを前に戻して確認した。パソコンですぐに漢字がでるのでスマホで調べると、あせびの木の事でした。