「ヘルシンキ生活の練習」 朴沙羅 筑摩書房
図書館のカウンターに座っていると時々「面白い本はないですか」とか「おすすめの本はありますか」と聞かれることがあります。簡単なようで難しいこの問いですが、気がつけばわたしも本好きの友だちにたびたび投げかけています^^。
この本を紹介してくれたのは二人の友人です。あの二人が紹介してくれるなら間違いない、と手に取ったのが運の尽き。しなければいけないことを投げ出し、寝なければ仕事に差し支えるとわかりつつ…。
社会学者で日本国籍を持つ在日コリアンの著者の朴さん。幼いころからずっと「私は何者なのか」と悩んできたけれど、大学で社会学を学び「私は何者なのか」と悩まなければならない状況が問題なのだ、と気がつきます。では、どうすれば状況を帰れるかと思っているタイミングで、フィンランドの首都、ヘルシンキでの仕事を得て、二人の子どもを連れて移住します。
日本とフィンランドでは社会の成り立ちはずいぶん違いますから、当然、社会制度や思想も違います。ヘルシンキで子どもたちと共に暮らしながら「生活の練習」を重ねる朴さんの率直な思索が綴られています。