古川 佳代子

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

古川佳代子

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「サステイナブルに家を建てる」 服部雄一郎, 服部麻子 アノニマ・スタジオ

アメリカ、南インド、京都を経て、2014年に高知県移住された服部雄一郎さん一家。ご家族で楽しみながらプラスティックフリーやゼロウェイストの実践的な取り組み、サステイナブルな暮らしをされています。引越しによる刺激や発見を楽しんでいらした一家が大方向転換(?)。3年の道のりを経て、昨年家を建てられました。

家を育て、引き継いでいく「100年を目指す家」が建つまでのプロセスはそんじょそこらの物語よりも刺激的でドラマティックです。家を建てるって思いもかけないアクシデントも多々起こることだと思いますが、その苦労さえも楽しく語られる雄一郎さんと麻子さんお二人の洒脱な文章の素敵なこと!

おすすめの一冊ですがひとつだけご注意申し上げます。この本を読むと「家を建てたい病」に罹患するかもしれません。もし罹患されても責任は一切取りませんので、くれぐれもご用心くださいね。

 

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「宙(そら)ごはん」 町田そのこ 小学館

 気の置けない友人や大好きな人との食事を一緒に取る時、しみじみと「幸せだな~」と思います。ましてやそれが好物のお菓子や美味しいレストランでの食事だったら、これぞ「至福」というもの。でもなかなかそんな時間の取れないときは、美味しいものが出てくる本を読むのも良いものです。

「和菓子のアン」、「幸福な食卓』、「喋喋喃喃」…。美味しいものが出てくる本はたくさんあって嬉しい限りですが、そのラインナップに新たな本が仲間入りしました。

タイトルにある宙(そら)は主人公の女の子との名前です。ママ(育てるひと)とパパがいて、お姉ちゃんがいて、しかもお母さん(産んだひと)がいるなんてとてもラッキーだと思っていた宙でしたが、ある時同級生のマリーに「かわいそう」と言われます。それまで全くそんな風に思ったことのない宙ははじめて自分の境遇を「かわいそうなのかな?」と思い始めます。

そんな思いもあってか、パパが外国に転勤することになったとき、宙はママたちと一緒に外国に行くかわりにお母さんと一緒に暮らすことにします。ところがお母さんは料理はできないし、宙の面倒も見てくれません。そんな宙を救ってくれたのはお母さんがやとった“やっちゃん”の作ってくれる美味しい食事なのでした。

「第一話 ふわふわパンケーキのいちごジャム添え」、「第二話 かつおとこんぶが香るほこほこにゅうめん」、「第三話 あなたのための、きのこのとろとろポタージュ」…。どうです、美味しそうでしょう?

 

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「ヒナゲシの野原で~戦火をくぐりぬけたある家族の物語~」 マイケル・モーパーゴ 評論社

マルテンスの家の玄関には額に入った紙っきれがありました。その「紙っきれ」にはえんぴつで詩が書いてありました。

 

フランダースの野にヒナゲシの花がゆれる  何列も何列もならぶ十字架の間に。

空にはヒバリが 勇敢にさえずっては飛ぶ 砲声に声をかき消されながらも。

俺たちは死者。ほんの数日前まで、 生きて、夜明けを感じ、夕焼けを目にし、 人を愛し、人に愛されていた。

だが今、俺たちは横たわる このフランダースの野に

 

この紙っきれを持って帰ってきたのはおじいちゃんのお母さん、マルテンスのひいおばあちゃんのマリーでした。

ある日おじいちゃんはこの詩とおばあちゃんのことを話してくれました。その日から、マルテンスにとってもこの詩は大切なもの、お守りのような存在になるのでした…。

第一次世界大戦後、英連邦の国々では戦没者追悼記念式典を11月に行ないます。その折、追悼する兵士のシンボルになるのは赤いヒナゲシの花。永遠に戦争がなくなり、世界の人々が和解し、愛し合い、平和に暮らせる日がいつかきっとくる、という希望の象徴になぜヒナゲシが使用されるようになったのか。その由来が語られる巻末もぜひお読みください。

 

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「おとなってこまっちゃう」 ハビエル・マルピカ作, 宇野和美訳, 山本美希絵 偕成社

メキシコは日本と同じく、男は男らしく、女は女らしくという考え方が伝統的に強い国だそうです。とはいえ、2021年1月の列国議会同盟のデータによると、メキシコは国会議員の女性比率が48.4%で、世界で6番目に高い国でもあります(ちなみに日本は9.9%で166位)。このように女性の社会進出が進んでいるメキシコで、現役の弁護士として活躍している母親を持つ女の子・サラが本書の主人公です。

人権派弁護士のママは世間の偏見に真っ向から挑み、サラの叔父(母の弟)のサルおじさんがゲイだということにも誰よりも早く理解を示しました。友だちの悪口を根拠もなく言えば即座にたしなめてくる、自慢のママです。 ところがおじいちゃん(ママの父親)が再婚することにしたと聞いた時、ママはかんかんになって反対します。ましてや相手がママと同じくらいの年齢の女性だと知ると、まったく聞く耳を持ちません。 なんとかしてママがおじいちゃんの結婚を受入れてくれるよう、別れて暮らすパパやおじさんを巻き込んで奮闘するサラの姿に、ハラハラさせられたりニヤリとしたり…。

とても楽しいコメディータッチの物語でありながら、性別や世代にとらわれず、自由な価値観や多様性を大切に生きていくことの素敵さも伝わってきます。

 

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「ヴァイオリニスト」 ガブリエル・バンサン作,今江祥智訳   BL出版

プロ、アマを問わず、試合勝者へのインタヴューで時々「期待や声援を力に変えて頑張りました」という趣旨の言葉を聞くことがあります。そのたびに、すごいな~、強いな~と感じ入ります。

けれど気にかかるのは同じように努力し、期待され、応援されながら勝者にはなれなかった数多くの人たちのことです。違う場面で勝者となる人もいるでしょうが、勝者とならないまま舞台を去っていく人は大勢いることでしょう。周囲の期待を裏切ってしまうこと、そのなかでも親の期待に応えられないのは辛いことです。

それに囚われ、和解しがたい確執になってしまうこともあるでしょう。そんな厳しい状況で、生きあぐねているヴァイオリニストの青年が、世間一般の成功とはちがう視点で自分の音楽をみつめなおし、自身を認め、受け入れ、生きがいや居場所を見つけるまでを描いているのがこの絵本です。

たぐいまれなデッサン力を活かしたモノクロの画面と、孤独な青年のつぶやきが見事に調和し、素朴な、けれども力強い物語の世界を創りあげています。

 

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「本が語ること、語らせること」 青木海青子 夕書房

奈良県東吉野村にある「人文系私設図書館ルチャ・リブロ」のことを知ったのは、『彼岸の図書館  ~ぼくたちの「移住」のかたち』(青木真兵・海青子著  夕書房)に出会えたからでした。

人口1700人ほどの小さな村の古民家に移住したお二人は、蔵書を居間に開架して私設図書館ルチャ・リブロを開館します。図書館に訪れる様々な人との対話を重ねるうちに、図書館は少しずつ枠を広げ、知の拠点へと発展していきます。とても刺激を受け、共感することも多い本でした。

その私設図書館ルチャ・リブロの司書である青木海青子さんが、図書館での6年間を通じて感じたことを綴ったエッセイが収められたのが『本が語ること、語らせること』です。本書にはエッセイと共に、人びとから図書館に寄せられた悩みに海青子さんと夫でキュレーターの真兵さんの答えた記録が収録されています。

海青子さんたちと同じく本という「窓」を持つことと、本のある場所に身を置き“書物の声を発さずとも人に語りかけ、また語らせる力”のおかげで今の自分があるように思います。毎日のくらしに頑張りすぎている人に「ぼちぼちでかまんきね」の言葉と共にそっと差し出したい本です。

 

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「産婦人科専門医が教えるはじめての性教育」 仲栄美子 自由国民社

以前、こどもたちに自分を大切にすることや性についてもっとオープンに語れる場を提供したいと「愛 性 命」をテーマとした本の展示企画をしたことがあります。もしも今、企画展をするとしたら必ずリストに入れなくっちゃ、と思ったのがこの本です。

10年間で約200校2万人の小中高校生に性教育講演活動を行ってきた著者に寄せられた、今を生きる生徒たちからのリアルな悩みや質問と、それに対する答えがわかりやすくまとめられています。

少しだけ目次をご紹介いたしましょう。「なぜ毛が生えるの?」「ボクサーパンツってインポテンツになるの?」「デリケートゾーンのにおい、色、毛について」「子宮頸がんも性感染症なの?」などなど。

性教育は「性共育(性と共に育ち生きていくこと)」という著者による本書。家庭で気軽に性の話をしたいと思っていらっしゃる方にオススメの一冊です。

 

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「みんなの地球を守るには?」  エリーズ・ルソー文, ロベール絵, 服部雄一郎訳 アノニマ・スタジオ

土佐町で迎える3回目の春が過ぎました。田んぼに水がはいり、大事に育てられた稲苗が風に揺れています。美しい景色を毎日眺められる日々に感謝する毎日です。

一日ごとに山の緑や空の青が色濃くなっていくのを見ていると、かの昔、土地を奪われた酋長シアトルが残したメッセージが心に浮かびます。 「獣たちの身に降りかかったことはすべて、時期に人間の身にもふりかかるものだ」「大地に唾することは自分自身に唾することだ」「大地が人間に属しているのではなく、人間が大地に属しているのだ」「私たちが愛したように、この土地を愛し、受取ったままの姿で子孫に手渡してほしい」。

もしも今、シアトルに「長年受け継いできた豊かな自然をちゃんと守り、受け取った以上に素晴らしいものにして、次の世代の子どもたちに手渡しているか」と問われたら、なんと答えましょう…。

環境汚染は今や地球規模で考えなくてはいけないほど大きくなってしまっているけれど、でも、一人ひとりが考えること、行動すること変えられるよ。何かしようとした時、何になるんだろうって思うことがあるかもしれない。でも大丈夫、小さなことでもまずは始めることが大切なんだよ!と伝えてくれるこの本に出会えたことに、感謝です。

 

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「緑の精にまた会う日」 リンダ・ニューベリー作, 野の水生訳, 平澤朋子絵 徳間書店

 日本に座敷わらしやコロボックルの伝説があるように、イギリスには豊かな自然の象徴のグリーンマンや炉端のロブ等の民間伝承があるそうです。

ルーシーのおじいちゃんの畑には「ロブさん」が住んでいて、おじいちゃんの畑仕事をちょこちょこと手伝ってくれています。ルーシーはまだロブさんを見たことはありませんが、ロブさんの存在をときどき感じることはあります。

やっとロブさんの姿を見ることができるようになったのもつかの間、おじいちゃんがなくなってしまい、畑は売りに出されます…。

目に見えないものは「ない」という人がいます。でもそうでしょうか?人を好きになる心や誰かに対する感謝の気持ちは目に見えないけれど、確かに存在しています。魔法はないっていう人がいますが本当にそうでしょうか?

小さな黒い朝顔の種を植えればちゃんと芽が出て夏には美しい花が咲くこと。ツバメの卵からはトカゲやニワトリでなく必ずツバメが孵ること。ちいさくて何もできなかった赤ちゃんが幼児になり子どもに成長し、いつしか大人になっていくこと…。どれ一つとっても全く不思議な、魔法としか思えないことで世界は満ち溢れています。

いつもいつも、幸せに平和に生きていくことは難しいかもしれません。でも、自分の周りにあるたくさんの魔法の力を信じて、自分の芯にある変わらぬものを大切にして道を歩き続ければ、その先にはきっと祝福がある、とルーシーとロブさんが教えてくれました。

 

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「ルポ 森のようちえん~SDGs時代の子育てスタイル」 おおたきとしまさ 集英社新書

 遠い昔、幼児教育をほんのちょっぴり齧った(ほんとうにちょっぴりです)せいか、モンテッソーリ教育やシュタイナー教育、イエナプラン教育などの実践には興味や憧れがあります。これらの教育と並び称される教育が日本の各地で展開されているらしいのです。素敵!

その教育・保育活動を称して「森のようちえん」と名付けていますが、そのアプローチ方法は一律ではありません。 生きぬく力に満ちた、迫力のある子どもたちが育っている様子は見事の一言。こどもはやはり希望にあふれた存在なのだと伝えてくれるルポルタージュです。

 

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