「ドオン!」 山下洋輔 文, 長新太 絵 福音館書店
うちから追い出された“オニのこ ドン”と“にんげんのこ こうちゃん”。
ふたりの間で突然始まったドラムバトルに、気づけばおとうさんやおかあさん、ペットのねこやうし、まちのみんなも加勢して…。
ドンドコ ドンドン ドン!
ドコンコ ドコンコ ドン!
ドンドコ ドンドコ ドコドン ドン!
ドカシャバ ドカシャバ ドカドカドカ!
ドンカカ ドンカカ ドカカカドン!
そして、不意にみんなが同じタイミングで鳴らした「ドオン!」
長新太さんの絵本は大好きで子供たちにもよく買って帰るのだけど、その中でも、ジャズピアニストの山下洋輔さんと共著したこの本は特別。
「みんなで生きる」って、きっとこの本で描かれたようなことだと思う。
ひとりひとり違うリズムは、ひとりひとり違う意見や哲学をもっているってことでもあって、それがぶつかり合うとケンカになることもある。
けど、ふとしたタイミングで、同じ「ドオン!」を鳴らしてしまうこともあって、ワッハッハって笑って「またやろうね」って別れることもある。
ひとりひとり違う人間。無理に合わせる必要なんてない。
それでも、ちょっとした一瞬の「ドオン!」があれば、一緒に生きていけるんだよ。
尾崎康隆