前回の記事の翌日のこと。
昼すぎに工房にいきます!と伝えた。
この感じが大好きだ。
朝日が昇ったら活動して、日が沈んだらゆっくりする。
そんな(自然とともに生きてる)生活のこの地域では、時間の縛りがゆるい。
昼過ぎが何時かは知らんけど、お昼を食べてちょっとゆっくりしたら、それが昼過ぎ。
どこかでは決めてないと許されないことも、ここじゃ決めなくていいことが沢山ある。
決めなくていいから『決めなきゃ!』『守らなきゃ!』って負担がないから、かってに決まっていくことも沢山ある。
【ノリ】とか【勢い】とか、そうやってマイペースに決まっていくことの中に、自分が表れている気がする。
真面目な不真面目
久しぶりにこうやって書いたりすると、つい肩に力が入って【いいこと】言っちゃいたくなる。
狙って書く【いいこと】ってだいたい狙ってる感が伝わるから、『あーバレたら恥ずかしいなー』とか思っちゃうんだけど、
恥ずかしいことって案外おもしろいから、そのままにしちゃおう!
っていう言い訳をしながらこうやって『恥ずかしくないための先手』を打ってる自分…
たぶんぼくは、もっともっとふざけたいのだと思う。
約束とか平気ですっぽかすくらいのマイペースなら、もっとおもろいことが起きそうだなーなんて思いながら、
『昼過ぎ』に合わせてせわしなく用意をする(急ぎながら、ちょっと遅れるパターンのやつ)
『今から出ます』とだけ伝えて家をでる。
急に『今から』と言ったもんだから、当たり前だけど到着してからしばらく待つことになった。
ぼくは待つことが嫌いじゃない。
待つのが好きって言うとなんか違うけど、ただ待っているだけの、ただ【暇な時間】はけっこう好きだ。
いつもの町を雨ごしに、雨音を聞きながらぼぉーっと眺めて『雨だなー』とか、
山に霧がかかってるのをみて『どこまでが雲なんやろ』とか、
待ってるあいだは何の予定もないもんだから、まったく用事がない方角をみては『あっちの道は行ったことないなー』とか。
【とうでもいいことを、どうでもいいままに楽しむ】そんなつかの間に、贅沢さを感じて嬉しくなる。
(だから待たせたときも、きっと楽しんでるだろうなーって思っちゃうから、そんなに罪悪感ないですごめんなさい)
大人の玩具箱
思ったままのことを言葉にしただけで、なんか下ネタっぽくなる病気があるなら治したい。
『お待たせしましたー♪』
坂道を康富さんが下ってくる。
軽い、軽すぎる。
表情、声のトーン、体のしぐさ。その全部が軽い。
【軽そうに見えて、実はやる奴】みたいなんがあるけど、
そうやって『フットワークが軽いから、やって(その中のどれかが当たって)あたりまえやな』みたいなことを思う。
ぼくはこの日、はじめて康富さんの工房にいったのだが、工房っていうより【大人のおもちゃ箱】って感じ。
レトロな電化製品や長ーいスケボー、軍隊もののあれこれに、でっかいエアガン。
手が届くところに好きなものが、ところせましと密集してる。
彼がつくった『何コレ?』と思わずニヤニヤしちゃうおもしろグッズに、
作りかけの皮の財布(皮の財布つくってるとこ見たことなかったから、ここぞとばかりにイジイジした。誰のか知ってるけど)
そんなモノ達が、仕事用の工具とごちゃまぜに置かれているもんだから、そりゃーもうぜんぶが遊び道具にみえる。
『好きなものに囲まれてると幸せだよね』
何あたりまえのことをあたりまえにやっちゃってる場所で言っちゃってるんだか…その通りです!!
好きなものに囲まれて、好きなものを作っちゃう場所。
好きな人が作ったものなんて【いいもの】に決まってるんだから、それが仕事になっちゃってる場所。
こういう空気に触れると、上手くは言えないんだけど『やっぱりこうだよなー』って思う。
無理してる感じがひとつもない、彼自身が自然体であれる場所だから、自分もついつられて自然体になってしまう。
ようわからんけど『自由』ってことばが頭に浮かんだ。
そして彼はいつも笑顔です。
鹿の角フェス2017!
で、本題の鹿の角。
何をどうしたらいいか、まったくわからないもんだから、とりあえず持ってきた鹿の角を工房の床にぶちまけてみる。
んでもって、
『こんなことがしたくて!』
『こんなイメージで!』
自分でもつまり何が言いたいのか分からなくなるくらい、ふんわりした球を投げまくる。
そしたら、
「それはこんな感じ?」
「ここはこんなん?」
みたいな感じで、鹿の角で作ったあれやこれやを持ってきてくれる。
こんなに鹿の角に囲まれたの、人生ではじめて。
『試しにちょっと削ってみたいです!』
「やっちょみや!」(なんかこんなんじゃなかった気がする土佐弁って)
鹿の角の中心部って、空気を意図的に含ませることによって独自のサクサク感を生み出し、歯ごたえと共に口どけまでいい感じにしてしまうあのお菓子みたいになってるのね。
中心部を削るのはサクサクだから簡単なんだけど、外側はけっこう硬くてなかなか削れない。
普通サイズのUSBを埋め込むための穴を削るのは大変そうだから、
とりあえずイメージを伝えるための試作品は、小さいサイズのUSBでつくろうと思います。
まとめ方がわからなかったので…
拝啓、母上様。
お元気でしょうか?
ぼくは鹿の角の臭いにやられています。
初めて知りましたが鹿の角って、削るととんでもない刺激臭がいたします。
正直、なにをしてるんだろう?と思わなくもないですが、何をしてるかよくわからないときほど自分のことなのにおもしろおかしくなり、なんだかんだ楽しんでおります。
絶対ないとは思いますが、万が一、鹿の角を加工する機会がありましたら、くれぐれも臭いにはお気をつけください。
敬具
田中邦衛
おはようございます、西岡常一棟梁や、妙慶さんや、中村外二棟梁が言った木が形や彫る場所や使う場所を教えてくれるの域まで達して下さい。
毎日テーブルの上に数十本の鹿の角を置いて365日眺めていたら5年後にはその境地に達すると思います。
外に出るときも2、3本は持って川田ストアには必ず持参いたしましょうすると天から降りてくると思われます。
敬具