「豊橋妖怪百物語」 ばったり堂(著) 豊川堂
「土佐町ゆるロゴ」やポストカードプロジェクトの宛名面をデザインしてくれているデザイナーの品川美歩さんが、土佐町を訪れた際に手渡してくれた本です。もちろん装丁・デザインは品川さんの仕事。
豊橋市在住のばったり堂店主・内浦有美さんが作り上げた豊橋に伝わる「怪」を集めて一冊にしたもの。
「わしは、狐塚の老狐。ここ神明町や魚町が未開の原野だったころから、この地に棲んでおる。」こんな妖怪たちの口を通して一人称で語られる文章、そして姿形を素朴な消しゴムはんこという手法で描いたこの本、とても魅力的な一冊です。
妖怪を語る(妖怪が語る)ことで、自ずと豊橋という土地の輪郭が浮かび上がる。単純に読み物としても楽しいのは言うまでもなく、豊橋にとってとても貴重な資料になるでしょう。(実際、この土地のこの妖怪の話、ちゃんと整合性があるのかという裏付け作業をきっちりとされているそうで、脱帽です。)
品川さんをはじめ、たくさんの人の力を借りながらも、作り上げたのは内浦さんという一人の女性。なんというか、「みんなでなんかやろう」ということではなく、「私がやりたいことをやる」という清々しい決意のようなものをこの本の佇まいから感じます。