高知のイタドリ文化
高知県では『イタドリ』を食べる文化があります。
全国でも一部の地域では食べられているそうですが、高知県民ではほとんどの方が食べた事があり、イタドリの食文化は浸透しています。
私も土佐町に移住する前までは見たこともなく、名前を聞いた事すらありませんでした。
もちろん食べた事もなく、こちらに来てから地元のお母さんが調理したイタドリを始めていただきました。
食べた瞬間『これは旨い!』と驚いたのを、今でも覚えています。
イタドリ自体は、生で食べると非常にすっぱいですが、一時加工をすると味はほとんどありません。
調理の方法は色々ありますが、油で炒めて醤油等で味付けする調理方法で食べる機会が多いです。
口に入れた瞬間のコリッとした独特の食感で、おかずとしてもお酒の肴としてもクセが少なくとても美味です。
『イタドリ』を広めたい
山の多い土佐町でも、春先になると山の斜面や畔などに自生のイタドリがたくさんはえています。
そのイタドリを年中食べられるようにするために、地元では塩漬けにして保存するのが一般的です。
こんな埋もれた食材をもっと全国に広めたいと、県外の商談会や出張で営業を続けていましたが、各農家さんにより塩漬けの濃度が違ったり大きさが違ったりして、しっかりとした規格が定まっておらず販売まで繋がりませんでした。
購入・使用する側からすると、塩抜きをする手間の問題や調理法・食べ方を知らない等、しっかりとした規格を統一する事、調理方法や食べ方を認知してもらう事が、販売するまでにクリアしなければならない大きな問題でした。
こんなにおいしいのになかなか販売に繋がらないとなっていた、今からちょうど4年前。
高知県としても、イタドリの県外出荷を進めていこうという取り組みがある事を知りました。
県内でも先進的に取り組みをしていたのは、土佐町の南に位置する高知市土佐山の鏡地区。
情報をキャッチした私は、さっそく地元のJAの方と一緒に視察に向かいました。
そこでは、自生では様々な亜種が存在するイタドリの苗を選別して統一した苗を育苗して、耕作放棄地や休耕田を利用してイタドリの栽培を行っていました。
また県外にも出荷できるようにしっかりと規格を統一し、トレサビリティーも強化して、栽培、加工、出荷を行っていました。
同じような耕作放棄地が増えている問題を抱えている土佐町でもなんとか普及できないかとJAさんはじめ、土佐町役場、高知県庁の方、栽培を考えている農家さん、イタドリを加工できるお母さん方に声をかけていき、多くの人の協力があり、土佐町でも3年前より栽培を始めるに至りました。
それから3年、栽培の仕方や加工の仕方など、毎年毎年、失敗、改善と悪銭苦闘しながらも、昨年度より少しずつ加工した栽培イタドリの出荷を始めております。
イタドリよ広がれ
一つの商品が新しくできるまでの道のりは、こんなにも大変なのかと今現在も感じています。
しかしそこには、多くの人が関わり、協力して下さり、一歩ずつ広がりをみせ、だんだんと形になっています。
今年からは新たに一般の方にも手軽に食べて頂けるように、そのイタドリを使った加工品の開発も土佐町石原地区のお母さん達と県内のホテルさんと一緒に進めております。
土佐町、れいほく地域の一つの産品に育てあげるにはまだ道の途中ですが、イタドリがいつか全国の人に知られ、たくさん食される事を目標にしています。
今後も生産者さんを増やしながら、『イタドリ』をメジャーにし、県内でも有数の生産地になる事を夢見て、皆さんと引き続き取り組んでいきます。
高知県に来た際や都市部でも食べる機会がある際は、是非高知県のソウルフード、『イタドリ』を食べてみてください。
岡﨑真紀
土佐町、虎杖もよいのだけど、5月に伺ったら、瀬戸川に向かう道々に、ゼンマイ畑が、採取されること無くあちこちでアギてました。一生懸命現金収入のために植えられた方が、リタイヤなさったのでしょうね。ゼンマイオーナーになって、取りに行かせていただけるのなら、お代を払ってもいい!と、土佐町のふっくら栽培ゼンマイを愛する人々が居るだろうにと、勿体無く思いました。
上堂薗
コメントありがとうございます。
あまり知られてはいませんが土佐町は西日本に誇るぜんまいの産地です。しかし、仰られるように近年はぜんまい農家さんも高齢化が進み収穫や管理がしっかりできない方も増えて来ております。次の世代に繋ぐこと、オーナー制のような形で維持していくこと含めしっかり考えていこうと思います。貴重なご意見有り難うございます。
市川ふみ子
今日は。県外在住ですが、全く同感の一人です。父親が高知出身で現役の時にはデパ地下に和惣菜の店舗を持っており、春になると少しですがイタドリを出していました。一度食べると虜になります。
この惣菜を広めたいと思っても、自分が採るだけでは全く足らず、色々と難しい問題もあります。
栽培を始められたとのこと、これからも情報発信を楽しみにしています。
上堂薗
貴重なコメントありがとうございます。
『一度食べると虜になります。』まさに私自身も虜になった一人です。栽培を始めていろいろと実証していますが植え付けしてとれるまで2~3年かかる事もあり、急激に増える事はないですが、もっとイタドリを知ってもらえるよう、食べる機会をもってもらえる様、農家さんとともに引き続き栽培・情報発信していこうと思っております。