「土佐寿司の本」 松崎淳子 飛鳥出版室
2018年にこの本が出版された時、92歳だった松﨑淳子さん。高知新聞で紹介されていた松﨑さんの記事を読んだことがあったので、松﨑さんが「土佐の伝統食の生き字引的存在」の方であることは知っていました。ぜひ一度お会いできたらいいなあと思い続けています。
この本には松﨑さんのさば寿司や田舎寿司の作り方が載っています。
身の回りにある食材を使った美しいお寿司たちと共に、大小さまざまなおたまや網じゃくしが壁にかけられている写真からは、美味しいものは家々の台所から生まれて来るのだなあという思いをあらためて持ちます。
土佐町にもさば寿司の名人がいます。土佐町地蔵寺地区にある長野商店の長野静代さんです。40年以上、長野商店の台所から美味しいものを作り続けて来た長野さんの技術は素晴らしく、いつ見ても惚れ惚れします。
ある春の日、長野さんはさば寿司のすし飯の中に山椒の葉を刻んだものを加えていました。山椒の緑が映え、柚子酢と山椒の味の組み合わせがとても爽やかだったことを今でもよく覚えています。
作ることを続けて来た人ならではの技と、作る人が重ねて来た時間の層がみえるようなさば寿司。
高知の素晴らしい文化です。
鳥山百合子
*長野さんに教えてもらったさば寿司・山菜寿司の作り方はこちらです。
*長野さんのことを書いた記事はこちらです。