「美しいってなんだろう」 矢萩多聞,つた 世界思想社
2002年から本作りの仕事に関わり始め、これまでに350冊を超える本の装丁を手がけていらっしゃる矢萩多聞さん。
9歳のとき両親とはじめての海外旅行でネパールを訪れたそう。それを契機に人生ががらりと変わったわけではないけれど、それを境に、緩やかに人生の潮目が変わったとふり返る。
父になり娘のつたさんが9歳になったとき、矢つぎばやに問いを繰り出してきた「美しいってなんだろう」「絵や文字を書くのが上手いこと下手な子がいるのはなぜ?」「魚のように泳げる子とそうでない子がいるのはなぜ?」。
そこから多聞さんは自問する。美しいもの?美しいもの…。多い出されるのはインドの何のことはない日常の風景。ココナッツ売りの見事なナタさばき、水牛のそそり立つ角、鉄鍋で塩豆を炒る音。 美しいものは、ときにはみにくく、残酷でもあると語る多聞さん。
私も自分に問いかけてみる。「美しいってなんだろう?」。