今日は地図上の「6」の場所にある石碑についてのお話です。
(「高峯神社への道 その5」はこちら)
道をさらに進み、6つ目の道しるべへと向かう。
午前中の早い時間のこの道は、立ち並ぶ杉の間からこぼれてくる光に満ちていて、いつも本当に美しいと思う。
道の途中、いつも車をとめて深呼吸する場所がある。昔の人も同じだったんじゃないかなと思うと何だか楽しく、この地で暮らしを重ねてきた人たちの気配を感じる。
左手にコンクリートの壁が見えて来たらこれが目印。6つ目の道しるべは倒れるようになりながら、なんとかここに建っている。
石碑の横にある細い道があって、これが昔の道なのだと賀恒さんは教えてくれた。
「2つ目の石碑がある石原から山を越えて、道はずっとここへ来ちゅう」

「従是 三宝山 十丁」
「これより 三宝山へ 十丁 相川谷中」
「さっきより近うなったぜ。十丁は60間(けん)。自分らは小学生の時、尺貫法を習ってるのよ」
高峯神社まであと1キロちょっと、というところだろうか。
この石碑の向かいには、下からあがって来る山道がある。この道を「尾根伝いに降りていったら西石原のしもへ着く」のだそうだ。
「道路ができて、道路しか通らんけんどね。昔の道がちゃんとあったんですね」と賀恒さん。
昔の人は、よくこの道のりを歩いたなあと思う。ひとつひとつの石碑をたどりながら自分に言い聞かせるように、あともう少し、もう少し、と遠い遠い高峯神社までの道を歩いていたのだろう。
(「高峯神社への道 その7」へと続く)