「わんぱくだんのゆきまつり」 ゆきのゆみこ,上野与志作 末崎茂樹絵 ひさかたチャイルド
小学生の頃、那須正幹さん著「ズッコケ三人組シリーズ」の本が流行っていた。モーちゃん、ハカセ、ハチベエというそれぞれ個性豊かな小学生男子3人組が、力を合わせて事件を解決していく物語にドキドキしたものだ。2人ではなく3人。4人でもなく3人。「3人」というのはグループにおいてそれぞれの個性・役回りが際立ち、なにかやるにもまとまりがよく勢いも感じる人数に思う。
この平成にうまれた「わんぱくだん」シリーズでは、けん・ひろし・くみの女子1名含む3人組で、物語のなかに大人達はいっさい出てこない。 文中に母親の存在を感じさせる一文はあれど、あくまでも子どもたちだけの冒険世界。 最初から最後まで3人は仲良く手を取り合いながら、ファンタジーのような世界、夢のような時間を過ごす。 3人だけのとっておきの秘密の冒険物語。
「ズッコケ三人組」を読むにはまだ早い幼い子たちにも、普段の生活のなかにドキドキやワクワクとしたドラマが潜んでいるかもしれない想像を掻き立て、なにより仲間がいることの心強さを伝えられるすてきな絵本だと思う。