「ぼくにはこれしかなかった」 早坂大輔著 木楽舎
子どもに本を手渡す仕事に就いてから、かれこれ20年以上が経ちました。司書として働く毎日はとても幸せで、これこそ天職(^^)vと思うこともあります。とはいえ子どもの時から司書になろうと思っていたわけではありません。いろいろな偶然が重なり「本を手渡す側の一人」になりました。
司書になる前に経験した仕事も楽しく、今の自分を培ってくれる大切な栄養素となっています。だからでしょうか?初志貫徹した人よりも、紆余曲折を経た人の生き方に魅力を感じます。
盛岡市で独立系の本屋「BOOKNERD」を経営されている早坂大輔氏は、書店員の経験も出版社で働いた経験もゼロなのに、生まれ故郷でもない盛岡に、40歳を過ぎて小さな本屋を開店されました。その過程は綺麗事ではすまされるはずもなく、書店の、仕事の、そして生活の現実が包み隠さず綴られているのが本書です。
自分の生きかたや進路に迷うことって決して悪いことではないし、一本のまっすぐな道でなければ間違いというわけでもないと思います。「これしかない」と実感できる生き方に出会うまで、堂々と迷ってみるのも素敵な生き方だと思います。