式地涼

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

式地涼

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「星の王子さま」 サン=テグジュペリ著 池澤 夏樹訳 集英社文庫

遠く離れた異星に一人で住む王子さまが、宇宙の星を回る中で地球を訪れる物語。厳密にいえば、その王子さまの体験談を地球に住む”ぼく”が聞くお話。

自らの星で大切にしていたバラとの喧嘩をきっかけに、世界へと旅に出た王子さま。いくつかの星を訪れますが、出会う人は独特の価値観を持つ変な大人ばかり。

花や動物も話せる世界観の上、王子さまの感性も天然なもので、終始ふわふわとした感覚に襲われます。

でも、ところどころに、とてつもない力を持った名言…強い思いが表現されています。

「それはね、ものごとはハートで見なくちゃいけない、っていうことなんだ。大切なことは、目に見えないからね」

出会いや別れ、価値観といった、人生のキーワードが散りばめられているこの作品。

これまで培ってきた、自分の人生観について考えさせられると言っても過言ではありません。

ファンタジーに包まれた雰囲気の中で現実を語る、そんな不思議な不朽の名作です。

式地涼

 

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私の一冊

式地涼

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「永遠の0」 百田直樹 講談社文庫

現代に生きる若者が、日本帝国海軍の航空兵であった祖父の知られざる過去に迫る物語。 司法試験に失敗し、ダラダラとした日々を送っていた健太郎。そんな時、フリーライターとして活動している姉の紹介で、第二次世界大戦時に戦死した祖父・宮部の過去を調べることに。 宮部と同じ軍隊に従事していた当時の人々に聞き込みを続ける中で、祖父の人物像が徐々に浮かび上がります。

「奴は海軍航空隊一の臆病者だった」 「勇敢なパイロットではなかったが、優秀なパイロットだった」 「宮部さんはすばらしい教官でした」 「国のためなら自らの命をも惜しまない」という軍国主義が美徳とされた時代背景の中で、誰よりも、何よりも死ぬことを恐れた宮部。しかし、戦況は悪化の一途を辿り…終戦間際には敵母艦への特攻で命を落とします。

なぜ、彼は誰よりも死を恐れたのか。誰よりも死を恐れた彼がなぜ、特攻という必死の道を選んだのか。

この小説でオススメしたいのは、以下の2つのポイントです。

ひとつは、航空兵・宮部の信念を貫く生き様。時に臆病者だと貶されながらも、まわりに流されない不屈の強さを持ち、また周りの人々もその影響を受ける様子が描かれています。

もうひとつは、第二次世界大戦における描写の細かさ。当時の戦い方、考え方、有名なミッドウェー海戦をはじめとする各戦況の詳細を時系列に。

特に航空兵・ゼロ戦(戦闘機)に関しては非常に詳しく記されているので、当時の実情を深く学ぶことができます。 専門的な言葉もありますが、あくまでも物語として著されている面から、知識がなくても頭に入りやすい内容になっています。

内容が濃くページ数も多いですが、じっくり時間をかけて、ぜひ完読していただきたい一冊です。

式地涼

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私の一冊

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「君の名は」 新海誠 角川文庫

2016年に大ヒットした映画の小説版。
映画が非常に有名なため、物語についてはここで紹介するまでもないのかもしれませんが… 。

映画でストーリーを知っていても、文字で見ると想像の分だけ表現の幅が広がるので、また違った印象を受けることがあります。まだ映画を観られていない方にはもちろんのこと、映画は観たけど小説はまだ…という方にも是非。

都会に憧れる田舎町の女子高生・三葉と、東京で暮らす男子高校生・瀧。
それぞれが自らの生活に葛藤しながら生きる中、互いに夢の中で入れ替わるという不思議な現象が起こり… 。ただの男女の純愛物語という感じではなく、彼らのまっすぐな強い意志や すれ違いによる切なさを、現実と非現実の狭間で鮮明に描いているのが、僕にとって大好きな物語である理由のひとつです。

物語の中で個人的に注目してほしいのが、舞台として出てくる糸森町(ヒロインの住む町)が土佐町と どことなく似ている点です。 湖のほとりにあり、周囲を山々に囲まれた小さな町。 町全体に防災無線が整備されていたり、唯一のコンビニが24時間営業でなかったり、少し癖のある方言が使われていたり。

また、田舎町ならではの伝統や人間関係など、町の情景が克明に描かれていて、都会に憧れるヒロインの目線でイメージしやすいかなと思います。 男女が入れ替わるという壮大なファンタジーではありますが、この町でもどこかで…、だれかと…。そんな素敵な作品です。

式地涼

 

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