「もりのへなそうる」 わたなべしげお作, やまわきゆりこ絵 福音館書店
このお話は、てつたくんとみつやくんの兄弟が森へ探検へ出かけ「でっかいたまご」を見つけるところから始まります。次の日、また森へ行くと、たまごのあったところに立っていた「へんなどうぶつ」。それが、へなそうる。「ぼか、へなそうるのこどもだい」と胸を張って答えるところがとても良いのです。
てつたくんとみつやくんと仲良くなってかくれんぼをしていると、お腹を蚊に刺されたへなそうる。初めての経験に驚きながら「かに(へなそうるは蚊を蟹と言っている)にさされたよう!バンデージはってよう!」とお腹をぼりぼりかきながら、大きな声で二人に伝えます。
最近、2年生の娘とこの本を読んだのですが、へなそうるが蚊にさされたページを声にした時、私自身がこどもだった頃のことが思い出されました。多分、私をはじめ2人の弟たちにもせがまれたのでしょう、私の母はこの本を何度も読んでくれました。バンデージを貼ってほしいと必死に訴えるへなそうるが何だか気の毒でたまらなかったこと。「バンデージ」はバンドエイドのことで、同じ物なのに色々な言い方があるんだなと子ども心に思っていたこと…。記憶の中の母の声色と共に蘇りました。
そしてもうひとつ。てつたくんとみつやくんのお母さんが作ってくれるお弁当が実に美味しそうだったのです。
「いちごをとんとんとうすくきって、それに、はちみつをとろとろっとかけた」サンドイッチ。「たらこをやいて、それをほぐして、ごはんにまぜて、きゅっきゅっきゅっとにぎって」作ったおにぎり。
いちごの赤色とはちみつの黄金色、たらこの粒々が目の前に現れてきたのは娘も一緒だったようです。
「いいなあ。いちごのサンドイッチ、今度作ろう」
近いうちにサンドイッチを作ってみようと思います。
一緒に読んだという記憶は、新しい楽しみをつくってくれます。