「クスノキの番人」 東野圭吾 実業之日本社
新刊として新聞で告知された時からタイトルが気になっていた。社会派サスペンスの作家さんが、クスノキの精霊でも扱ったファンタジーに挑戦したのかしら?と、とても興味を持った。案の定、売れに売れている様子。読み始めたら止まらない事必定!何も手につかなくなる、と購入を控えていた。
ある日、図書館の留守番をする事となり、棚から私を見つめているこの本をとうとう手に取った。止まらない、止まらない、もう買うしかない。その週末買い求め、次の日には読み終えた。
一人の訳あり年配女性と、長い間音信不通だった不幸のどん底の甥を中心に物語は展開。人の思いの強さ、感じ取る繊細さをクスノキとして具象化する事により、人間の繋がりの深さを綴った不思議な読み物だった。
紹介に「明日に希望を持てるように…」とありますが、温かい感情で満たされた読後感でした。