2018年2月

土佐町ストーリーズ

水分補給と熱冷まし

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2018年、1月。今年は本当に寒い。
南国土佐といえど、嶺北は雪が積もり、ここは高知でも雪遊びができる地域の一つでもある。
冬なので寒いのは当たり前だし、晴れた日のキリッとした寒さは嫌いではないけれど、今年は室内の結露が凍って窓が開かなくなったり、いろんな場所で水道管が破裂し、トイレもお風呂も入れないという話を聞いたりする。
やはり生活に影響してくると、いい加減早く暖かくなってほしいと思う。

 

寒くなってくると、毎年冬場に猛威を振るうインフルエンザ。
我が子の通う保育園でも大流行りで、3歳の息子も早々とインフルエンザBのお墨付きをもらった。
健康であるということのありがたさをひしひしと感じていた矢先、ん?なんだか私の体がおかしいぞ!ということに気がついた。
関節が痛いし、喉も痛い。
すると夕方になるにつれ、立っていられないほど腰と足が痛くなり、ちょっと熱っぽい。
布団に入って真夜中にはぐっと熱が上がり出した。
朝には熱は下がり、普段通りに仕事してまた夕方には微熱が出る。

そんなことを2日間繰り返すと、
「あ〜陰の時間(陽が落ちてから上がるまで)に熱出てるし、授乳してて体の血液と水分取られてるし、もうずっと不眠やし、最近疲れて食事も適当やし、陰虚(体の血液や水分不足)の熱が一気に出たな〜」と習った中医学を頭から絞り出して自分を分析してみる。

体調が悪くなって3日目。今度は朝から高熱が出た。
いよいよ生活に支障が出るかも・・・と、病院に行ったけれど、インフルエンザでもなく、ただの風邪という診断。

帰りにスーパーで買い物する気力もなかったので、家にある食材をぐるぐる考えながら、帰ってすぐやったのは干し貝柱をお湯で戻すこと。あとはひたすら次男とのんびりモードでゴロゴロしながらまったり過ごした。

食欲がないわけではないけど、こんな時はガッツリお肉!よりも体に優しい味付けの、喉越しがよくて水分多めの温かなお粥が体にしみる。

乾物やいつも体調を気にして常備している安心食材でのお粥は、切ってお鍋に入れるだけ。
私の体調に合った薬膳粥の出来上がり。

干貝柱と山芋のお粥

材料:
干貝柱・山芋・春菊・ご飯・塩
作り方:
干貝柱をお湯で半日戻し、山芋はいちょう切りに、春菊は細かく刻む。鍋にご飯、干貝柱の戻し汁、ほぐした干貝柱、山芋、水を加え煮る。春菊を入れ、塩で味を整えて出来上がり。お好みで醤油やごま油をたらして。

 

ほたて貝は体液をしっかりと補うのでのぼせや火照りに、山芋は滋養強壮に、春菊は乾燥による肺に溜まった余分な熱を取ってくれたりします。

たっぷり食べて、あとはいろんな家事や子供のことをとーちゃんに任せて、ゆっくり寝る!
解熱剤を使わなくても、朝にはすっかり熱も下がり、スッキリとした気分で起きることができました。

「ただの風邪」だったのか・・・? 真相は体のみが知る。
雪がチラつく中過ごした数日間でした。

 

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私の一冊

石川拓也

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「水」 梅原真(制作) 四万十ドラマ

まず造りがいい。

贅を凝らした豪華本という訳ではないけれど、作り手の愛情が本の体温になって、持つと手先からじんわり暖かくなる。

著名人18人が、それぞれの「水」について書いた本。

作ったのは道の駅とおわでも名を馳せる四万十ドラマと梅原真さん。

地方が、地方でモノを作り地方から発信する。するとその地方独自のモノの見方が現れる。多少ヘタクソだって、ゴツゴツした手触りのものができてそのほうがおもしろい。(この本がヘタクソという意味ではないです)

個人的には、赤瀬川原平(作家)・黒田征太郎(イラストレーター)のページが好き。岡林信康(ミュージシャン)の語り口、これは酒を飲みつつ聞きたい。

石川拓也

 

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ほのぼのと

りんりゅう

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リレー連載第1回目のテーマは “こどもの頃の遊び” 。第4走者は土佐町の西野内小代さんです。

 

お人形遊びが大好き、今の時代なら「引きこもり予備軍」の私でも、外遊びの記憶はいくつかあります。

火災予防週間との兼ね合いだったと思いますが、火の用心関係のフレーズを声高らかに唱えながら、決められたルートを歩く「火の用心」という子供会のイベントがありました。

この「火の用心」への集合前に、上級生・下級生 混成チームで敵・味方に分かれ、鬼ごっこの様にして遊ぶ「りんりゅう」というゲームを楽しんだものでした。

お互いに陣地を決め、敵方の人員にタッチをすれば味方の陣地に連行できます。

敵方の陣地に直接タッチすれば、完全勝利です。

程よく身体が暖まった頃、5時のサイレン、整列して「火の用心」へと出発です。

 

暮色の迫る頃、森中学校跡を訪れると子供の頃の掛け声が蘇ってきます。

「りんりゅう開始、はーじめた!!」

 

 

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私の一冊

和田亜美

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「ひとり暮らしも神レベル」 カマタミワ  KADOKAWA

私自身は一人暮らしをしたことがないのですが、こんな風に楽しめるなら一人暮らしもいいな、って思うような思わないような…(笑)

一人暮らしじゃなくても「あるある!」って頷いちゃうネタがあったり、「いやホンマかいな!」ってツッコんじゃうネタがあったり…。

これから一人暮らしする方、参考にしてみては…参考になるかな…。

 和田亜美

 

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土佐町ストーリーズ

福寿草の咲く家

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一月のある日、「家を貸したい」という連絡が土佐町役場に入った。

住所を聞いて地図を片手に家を見に行った。舗装された坂道を上へ上へとあがっていくと途中で道が分かれ、右側の山道の方を行く。それは杉林の間を抜けていく細い道で、まだ雪がたくさん残っていたから車を降りて歩いていくことにした。

私の歩く音が聞こえる。ザク、ザク、ザク…。一歩一歩踏みしめながら歩いていくと、時々、杉林の中からサラサラサラ…という音がする。木に降り積もっていた雪が粉雪となって、小枝を揺らしながら落ちていく。

少し歩くと古い大きな牛舎があった。ところどころ屋根が抜けていて周りの壁がない。牛舎を支える柱が立っているだけの中で誰かが原木しいたけを育てているらしい。駒打ちされた木が何本も立てかけられていた。

さらに歩いていくと、遠くに目を細めるほど真っ白な開けた場所が見えた。そのまぶしさが嬉しくて思わず駆け出した。

 

家はここにあった。
山を切り開いたような場所にある日当たりの良い平屋の家。去年の12月まで大家さんのお母さんがひとりで住んでいたそうだ。そのお母さんは、今、土佐町の町なかに住んでいる。

不思議なもので、今はもう誰も住んでいない家でもその佇まいから、この家でどんな風に暮らしていたのかが伝わってくる。

母屋の勝手口の横にはドラム缶を切って作ったかまどがあった。
「家の裏山には春になったら、ゼンマイやイタドリ、ワラビも出るんよ。」と大家さんは言った。
お母さんがかまどで山菜を茹で、一年中食べられるように保存している姿が目に浮かんだ。

 

大家さんと一緒に裏山を歩いていると、雪の中にはっとするほどきれいな「黄色」を見つけた。

「福寿草!」

思わず声をあげると、大家さんは言った。
「母が大切に育てていてね。最初は小さな鉢植えを買って来てそれを植えた。福寿草は毎年少しずつ株が大きくなっていくんやけど、それを株分けして、また植えて、また植えて…。何年も繰り返してこうなったんよ。もう少ししたら、この裏山一面に福寿草が咲く。」

 

福寿草は春を告げる花。
お母さんは福寿草が咲く時を楽しみにしながら裏山を歩き、畑を耕し、この山の家で暮らしていたのだろう。

 

お母さんは山を降りた。

福寿草の咲く家は、この場所で暮らす人を待っている。

 

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私の一冊

和田亜美

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「星の王子さま」 サン=テグジュベリ 岩波少年文庫

「大切なものは 目に見えない」

小さい頃に読んだ時はよく意味が分からなかった物語。

大人になって読み返した時、涙がこぼれました。

一番好きなのはキツネとのエピソード。

誰かにとって、誰かが大切な存在になる瞬間。

ただの10万人のうちの一人と一匹だった王子様とキツネが、お互いにとってたった一人と一匹になる。

もう一度読んでみたら、どんな言葉が胸に刺さるかなぁ。

         和田亜美

 

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笹のいえ

さんぽにいこう

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これまでの寒さがうそのように気温が上がった土曜日。

風はまだ冷たいけれど、子どもたちを散歩に誘った。

上の二人はそれぞれ小学校と保育園に通っているため、日中に兄弟三人揃って遊ぶ時間が以前よりだいぶ減った。成長するにつれて、こんな機会はもっと少なくなるかもしれない。そんな思いもあった。

家で退屈していた子どもたちは、二つ返事で外に出た。

歩きながら、枝を見つければチャンバラ、落ち葉を集めれば即席のレストランがオープンする。

この散歩自体が道草みたいなものだから、特に目的地もなく、あっちへふらふらこっちへふらふら。

そのうちお姉ちゃんが陽だまりを見つけて、地べたにゴロンと転がった。それを見た弟たちも、ゴロンゴロン。

服や髪の毛が汚れるのなんてお構いなしに、楽しそうにじゃれ合ってる。

親としては、自然満載のこの環境に、植物を詳しく観察したり、虫の名前や生態に少しは興味を持ってくれないかなあと願わなくもない。けれど、兄弟揃って道に寝そべって、日向ぼっこするのも、全然悪くない。

僕は春を感じる日差しの中で眠気を感じながら、今日一緒に歩けて良かったなと思う。

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私の一冊

森田悠貴

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「火の鳥」 手塚治虫 角川文庫

不老不死になる火の鳥の血をめぐり、人間の欲や争いといった黒い部分が漫画で表わされており、考えさせられます。

不老不死になることは幸せなことなのでしょうか?

     森田悠貴

 

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土佐町ストーリーズ

玄関先の一升瓶

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家に帰ったら玄関先に一升瓶が置いてあった。
それが何なのか、誰からなのか、すぐにわかった。
わざわざ家に来てくれたんやなあ、と思いながら玄関の戸を開けて一升瓶をそっと家へ入れる。
一升瓶の口は和紙のような紙で覆われていて麻ひもでリボン結びになっている。ひもをほどいて和紙を取ってみると、古い服をちょきちょき小さく切ったものをきゅ、とねじって栓にしている。これは毎年一緒やなあとなんだか安心する。

この前、我が家のもち米をおすそ分けしたから、醤油の一升瓶と物々交換、ということだ。

 

こんな風に「玄関先になにか届いている」ことが、今まで一体何回あっただろうか。
ちょっと思い返すだけでも、冬は大根や白菜、干しいも。春は山菜、じゃがいも、たらの芽。夏は梅、トマトやカラーピーマン、米ナス、きゅうり、すいか。秋は柿や栗、柚子、さつまいも、しいたけ、なめこ…。季節を問わず、卵やもち米、こんにゃくや味噌、お米、カステラ、梅干し…。
玄関先じゃなくて庭の真ん中に、きゅうりの入った袋とおせんべいがどさっと置かれていた時はびっくりした。
「鶏にやって」と二番米が入った30㎏の米袋2袋や、食べ物じゃないけれど庭にどっさり薪が届いていたこともあった。おさがりの服も。

玄関を開けたらダンボールが置いてあって、手紙とその人が作った野菜と味噌が入っていた時もあった。
(大きな声では言えないが家に鍵をかけてないのだ!)

多分こういうことは私だけじゃなく、土佐町の人たちの間で日常的にあることだと思うのだが、一体どれだけのものがお金のやりとりなしに行き交っているのかなと思う。

都会ではもののやりとりが行われる時にはお金を介在するし、それが当たり前だと思っていた。でも、土佐町に来てからそうじゃないあり方もあるのだということを初めて知った。いただくばかりで何もお返しができていないのだけれど…。

ちょっと多めに作ったから、ちょっとたくさんもらったから、ちょっとたくさん採れたから、あの人に持っていこう。

あの人に持って行こうと思った時に、顔を思い浮かべてもらったんやなあということが何よりうれしい。

 

 

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私の一冊

石川拓也

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「豊橋妖怪百物語」 ばったり堂(著) 豊川堂

 

「土佐町ゆるロゴ」やポストカードプロジェクトの宛名面をデザインしてくれているデザイナーの品川美歩さんが、土佐町を訪れた際に手渡してくれた本です。もちろん装丁・デザインは品川さんの仕事。

豊橋市在住のばったり堂店主・内浦有美さんが作り上げた豊橋に伝わる「怪」を集めて一冊にしたもの。

「わしは、狐塚の老狐。ここ神明町や魚町が未開の原野だったころから、この地に棲んでおる。」こんな妖怪たちの口を通して一人称で語られる文章、そして姿形を素朴な消しゴムはんこという手法で描いたこの本、とても魅力的な一冊です。

妖怪を語る(妖怪語る)ことで、自ずと豊橋という土地の輪郭が浮かび上がる。単純に読み物としても楽しいのは言うまでもなく、豊橋にとってとても貴重な資料になるでしょう。(実際、この土地のこの妖怪の話、ちゃんと整合性があるのかという裏付け作業をきっちりとされているそうで、脱帽です。)

品川さんをはじめ、たくさんの人の力を借りながらも、作り上げたのは内浦さんという一人の女性。なんというか、「みんなでなんかやろう」ということではなく、「私がやりたいことをやる」という清々しい決意のようなものをこの本の佇まいから感じます。

 

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