「よもぎだんご」 さとうわきこ作 福音館書店
せんべいを焼くのを生業としているけれど、いままで『てづくりのおやつ』というものには無縁の人生だった。 朝から晩まで忙しい共働きの両親のもと『てづくりのおやつ』なんてものは高嶺の花のような存在。
しかしながら、小学2年生の時、ひとりで本を見ながら奮闘してはじめて作ったクッキー。 ワクワクドキドキ、オーブンをあけると…、黒い塊が煙とともに姿を現した。。。 ニガイ思い出である。トホホ。
でもその事件は幼き心にとっては衝撃大。 ちょっとしたトラウマとなり、それ以来、お菓子を手作りしようとはしなかった。
のちにわたしも母となり、息子が保育園から借りてきた絵本に『ばばばあちゃん』シリーズとの出会いがあった。
ばばばあちゃんは、子どももびっくりするくらい遊び心満載で、いろんなことも知っていて、おばあちゃんらしく知恵たっぷりなんだけれど、全然大人ぶってない感じのするおはあちゃま。動物たちや子供たちに囲まれながら、誰も思いつかないようなユニークな遊びを生み出したり、彼らとおなじ目線でいつもワイワイお料理も楽しむおばあちゃま。
でも最後ちゃっかりしてたり、自由気ままに生きてる感じがするところもあり 、そこがまた、ばばばあちゃんの魅力なのだ。
ばばばあちゃんのつくるおやつは、身近に用意できる材料と、いたって簡単な方法でつくられている。もしかしたらわたしにもできるかもしれない…、やってみようかしらん。そんな気持ちが芽生えた。
そしてつくったのがこの『よもぎだんご』。
よもぎが生える季節を待ち、めいっぱいよもぎを摘んで、よーし!ととりかかる。
ゆがく→つぶす→混ぜる→蒸す
たったそれだけのプロセスなのに、お菓子づくりとなると過去のニガイ失敗体験から、途中何回確認するんだというくらいこの絵本を広げては、ばばばあちゃんのおっしゃる手順を追いながら、出来上がった必死のよもぎだんご。 ちゃんと出来上がったその『てづくりのおやつ』に、息子よりしみじみ感動したのはわたしだった。
ばばばあちゃんに「よくやったじゃないか」と、ほめてもらえたような気がした。
ちょっとこれ以来いい気になって、オーブンの購入まで検討するきょうこの頃なのである。