「水木しげるの娘に語るお父さんの戦記」 水木しげる 河出文庫
水木しげるさんが書いた自分自身の戦争の記録です。
激戦地であったラバウル。左腕を失いマラリアにかかり食べ物もない。そんなときに現地の人が夜にこっそりパパイヤやパイナップルなど食料を運んできてくれたことで生き延びた水木さんは、悲惨な毎日のなかでも現地の人との出会いや出来事をどこかユーモアも持ち合わせて受けとめ、楽しみにもしていました。よくぞ生き延びた、と思います。
「ラバウル」。
今まで戦争を体験した土佐町の方たちに当時のお話聞かせていただいたことがありますが、その地名は何度も聞いたことがあります。
・『地図の記憶 』
水木さんや土佐町の方たちが当時見つめていたそれぞれの風景に、もしかしたらどこか重なるところがあるかもしれません。
水木さんはラバウルで終戦を迎え、必ずまた戻るから、という約束を戦後30年たってから果たし、そのあと何度もラバウルを訪れたそうです。水木さんのお人柄はこのような姿にもあらわれているように思います。
鳥山百合子