「武士道シックスティーン」 誉田哲也 文藝春秋
幼なじみのHちゃんが高校入学と同時に剣道部に入部した時はとてもびっくりしました。才女で小柄な彼女と剣道とが結びつかなかったのです。けれども彼女は暑い夏には分厚い胴着に汗をしたたらせ、寒い冬も裸足で早朝練習をこなし、剣道部をまっとうしたのでした。
剣道のどこが彼女を魅了したのか?と不思議だったのですが、この『武士道シックスティーン』を読んで、剣道部に入ってみたかったかも、と思いました(いえ、無理ですが…)。
宮本武蔵を愛読する熱血武道少女・磯山香織と超のんびりで剣道を始めたのは日舞の延長という甲本(西荻)早苗。 この二人が同じ高校の剣道部に入部するところから始まる物語は痛快で、二人の距離感の微妙さは絶妙。
なんども笑わされながら最後の50ページはティッシュが手放せない大逆転の展開!
出会えたことが嬉しくなる、愛おしい王道の青春小説はいかがでしょうか。
古川佳代子