「これからの男の子たちへ 「男らしさ」から自由になるためのレッスン」大田啓子著 大月書店
雇用や大学進学、給与面など性差別による直接の不利益や影響を受けるのが女性であることから、性差別やジェンダー格差について語られるとき、その対象はもっぱら女性や女の子です。
では、男の子はのびのびと育っているかといえば、そうも言えないようです。 男の子もやはり「男らしさ」を求められ、周囲の大人やメディアの情報を通じて「男の子とはこうあるべき」と刷り込まれ、その影響により”男になって”いくのです。そして、そのような価値観を植え付けられた男性は、性差別的な考え方を身につけてしまうのでした。
とすれば、これから成人する男の子は、どのようなことに気をつけて育てればよいのか、という視点から編まれたのが本書です。性差別構造の強い社会に生まれた男性は、「男性である」だけで強い立場にあります。
これからの男の子や男性にはその強い「特権」を武器に、性差別や性暴力に積極的に対抗してほしいという著者の思いがひしひしと伝わってきました。