どんぐりさんとの打ち合わせが終わって外へ出ると、ワイワイとなにやら人だかりができている。
「あ!ちょっとこっち来や!よかったら持っていきや~。」
こちらを振り向いた笑顔のその人が指差した先にあったのは、かごいっぱいのすもも!
なんて美しい色なんやろう!
さっき採ってきたばかりというだけあって、つやつや、ピカピカ紅色に光っている。
「うちで採れたもんやき、好きなだけ持っていきや!」
カゴの前にしゃがんですももを袋に詰め、立ち上がると「え?それだけでいいが?もっと持っていきや!」と、次々と何本もの手が袋にころころと入れてくれる。
すももの入った袋をそれぞれの人が手にしながらにこにこと笑い、みんなはまたおしゃべりを始めた。
土佐町の人たちはもしかしたら気づいていないかもしれない。
すももをカゴにいっぱい採って好きなだけ持っていきやと言えること、季節の食べ物が手の届くところにあるということ、この風景が日常であることが、どんなにゆたかであるか。
こういったやりとりに、私がどんなに励まされているか。
私たちの毎日の中には当たり前のようでいて実は当たり前ではないことが、あちらこちらにちりばめられている。