私の一冊

石川拓也

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「昭和天皇物語」 能條純一 小学館

「月下の棋士」をご存知の方が多いかもしれない漫画家・能條純一。

人間の感情を生々しく、同時にとても冷徹に描くことに定評がある漫画家ですが、最新作の題材が「昭和天皇」であると知ったときは非常に驚きました。

このテーマは、おそらく日本人作家が描くにあたって最も難しいもの。

同時に、昭和天皇のフィクション化というか、物語化が実現するぐらい、昭和から長い時が経ったということでもありますね。昭和は遠くなりにけり。

このテーマに手を出すのは勇気のいること。そう考えていたら、著者が4人いることに気がつきました。能條純一の他に、半藤一利(原作)・永福一成(協力)・志波秀宇(監修) です。

ですよね。一人では手に余りますよね。各々が得意分野を持つ専門家チームが共同で作っているという感じなんでしょう。打ち合わせの現場を覗いてみたいものです。

物語は昭和天皇裕仁を一人の人間として描いています。自分の心の内で、教科書でしか知らなかった人物に、少しずつ血が通っていくような感覚を覚えます。

青年・裕仁がどのような苦悩の末に8月15日の玉音放送の日を迎えるのか。日本の歴史の中で昭和天皇裕仁の役割とは一体なんだったのか。

まだまだ興味の尽きない作品です。

 

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  • とさちょうものがたり編集部。とさちょうものがたりは2017年6月からスタートした高知県土佐町のウェブサイトです。土佐町の魅力を日々発信しています。お問合せは info@tosacho.com までお願いします。
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