「ヴィオラ母さん」 ヤマザキマリ 文藝春秋
漫画「テルマエ・ロマエ」を描いたヤマザキマリさんが、自分を育てたお母さんのことを書いた一冊。
現在86歳というお母さんが20代の頃、まだ女性が仕事を持つということが難しかった時代に「やりたいことをやる」とヴィオラ演奏家になり北海道へ移住、各地で開かれる演奏会をこなしながら、なかなかのハチャメチャぶりで二人の娘を育てていく。「これはすごい…」と思わず唸ってしまうような出来事の数々がこれでもかと飛び出して来ます。
当時、女性が自分の思いを貫き通すことは相当の覚悟がいることだったでしょうし、並大抵のことではなかったと思います。そのお母さんのそばでマリさんは、お母さんの背中をちゃんと見ていたのだとわかります。
「鼻息荒く駆け抜ける野生の馬のように自分の選んだ仕事をし、子供を育てて来た一人の凄まじき女の姿を思い浮かべてもらうことで、自分や子供の未来に対してどこまでも開かれた、風通しの良い気持ちになってくれたら嬉しく思う。」
もう一度「テルマエ・ロマエ」を、そして他の著書も読んでみたくなりました。
鳥山百合子