藤田英輔

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

藤田英輔

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「居酒屋兆治」 山口瞳 新潮社

・世の中には頭のいい男がいる。他人のすることを悪意としか受け取らない男がいる。保身のために全力をあげて戦う男がいる。つまらないことを気に病む男がいる。徒党を組まれることを病的に怖れる男がいる。猜疑心の強い男がいる。(兆二には)それくらいのことしかわからなかった。

・(兆二は)絶対に卑怯な真似だけはしないでいようと思った。嘘はつくまいと思った。見苦しいことだけはやるまい。

・(兆二は)あの頃の方が現在より大人っぽかったような気がする。分別臭い処があった。

・さあ、どっちが人間らしい生活だろうか?(メキシコと日本の労働者を比べている。メキシコ人は土曜日に週給をもらうとまず全員が次の週の木曜日まで休んでしまう)。

 

それぞれ記憶に残っている文章である。そう有りたい、そう成るまいと思い生活しているのだが…。

考えるだけ詮ないことだが「いつの頃が楽しかったか?」とか考えて呑んでいると早く酔ってしまうよ。

 

「居酒屋兆治」は高倉健主演で映画になっている。(1983年制作・東宝)伊丹十三、ちあきなおみ…。いい味出してるね。

藤田英輔

 

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私の一冊

藤田英輔

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「マッチと街」 マッチと街出版委員会 弘文印刷

パソコンのない時代に手描きで生まれた表現を感じ取ってほしい。マッチは店の名刺であり、広告であり、店主の憧れ、思いを表現したもの。

マッチのデザインは洗練された者ばかりでないが、この街の活気を支えていたことが伺い知れる。マッチ自体、遺産になりかけているが「あの頃」を想ってほしい。

1ページずつ開いて感じたことを声に出してみて。

ヘェーッ、ウワッ、オーッ、アハハ、エーッと言ってほしい。

でもね、よく通った店のマッチを見つけると、あの頃のあの時に瞬時に行けるんだ。とっておきの一張羅(わかる?)を着て(全身ね、いくつもないので、いつも同じ格好になるんだけどね)リキんでいたあの頃にね。

あの頃のあの時の友人達や同じ空間に居た人達、それぞれがそれぞれの生を一所懸命に過ごしてきただろうし、これからも続けていくのだろうね。

デザインに興味がある人には、呑む時のつまみの一品になりますよ。モノクロ写真も良いね。

藤田英輔

 

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「最終版 間違いだらけのクルマ選び」 徳大寺有恒 草思社

現在までの僕の所有車の内、大半は中古車を購入し、そして乗りつぶしてきた。現在では車両の販売で確固たる地位を築いているD社の軽バン(1970年製)。1980年頃、妻が乗っていたのだが、素朴な脚車をずっと置いて持っておきたかったなあととても後悔している。

その頃より少し前、友人達の大半が高性能なかっこイー、クーぺタイプを購入し乗り回していた。

僕は車より他のことに金を使いたくて、車代が安く軽く(燃費が良い)、そして小さい(駐車しやすい)軽四を選んだ。

その車で高知市のある店のまるで従業員のように、営業日の開店時間には、その店のカウンターに座っていた。路駐なので特にサイドミラーやワイパーなどが曲がったり折れたりのトラブルがあったが、車が動く限り通い続けた。

あんなにも一所懸命に夢中になったこと(時)があったことを「良い経験をした」と現在では思う。

金や行動で父や友人に迷惑をかけたけれど、義務感にかられ達成感を感じる日々を過ごしたことで「ブレーキをかける」ということを学んだ。

『僕の車の購入の仕方』

①その時に払える金→②その頃の目的、使用の方法、その他(好きだということ他)を勘案し→③購入する(満足はしないが納得する)

“損得で計らない。何か夢中になれるもの(こと)を持つと良いよ”

藤田英輔

 

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私の一冊

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「現代歌集(日本文学全集68)」 土岐善磨 筑摩書房

この本がどういう経路で僕の手元にあるのか、解らない。明治〜昭和にかけての一部歌人の作品を編んだ本だ。

ある歌人(誰だったか)は、短歌に親しむことは、つまり秀歌を読むこと、そのまま丸暗記すること、これに尽きると言う。それは究極だろう。

「表現する」ということの大変さ、大切さを痛感する。この本を紹介すること、そして短歌について語ること、それ自体「おこがましさ」に包囲され、思いは次第に雲散する。

ただ「言葉で表現する」ことには、あこがれる。どんなジャンルでも「自分なりの表現」ができる人は素晴らしい人だ。

重ねて、詳しいことは解らないが、この本の中では古泉千樫(こいずみちかし 1886.9.26~1927.8.11 )という歌人の歌に親近感がわく。

「表現する」ということについての僕の気持ちは、「しいよいようで、こちゃんとむつかしい!!」

藤田英輔

 

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「何の因果で」 ナンシー関 角川文庫

帯もカバーも失くした。表紙はたしか、てんこすの髪がない、江戸時代の成人の印であった月代(さかやき)状の中年男性の横顔のUPだったような気がする。
と、思いながら読み直していると見つけました。

178ページの消しゴム版画です。(ナンシーさんは消しゴム版画のスペシャリストです)きっとこれです、この文庫のカバーの絵は!何と32才だったんですね。

これを見ていて思った。

 

「カツラの僕的考察」

カツラ(長女ではない、この場合)を帽子にしてしまえば良いのではないか?(*編集部注:英輔さんの長女さんのお名前は「カツラ」さんといいます)

暑い日や外から帰った時など、さっと脱いで冷水を含ませたり、衣紋掛けに引っ掛けたり、夏にはメッシュで、冬には文字通り毛のカツラに、など、バリエーションが広がり楽しそう。

実際、髪が薄くなると季節の移ろいに鋭敏になる。
太陽の熱や雨の降り始めに早く気づく利点があるよ。(それがどうした?)

181ページの文章も納得です。この人の“表現”をもっと見たかったよお。

藤田英輔

 

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「僕に踏まれた町と僕が踏まれた町」 中島らも 集英社文庫

 

この本からは「酒の呑み方」を教わった。

今回読み直していて、エレキバンドを始めた頃のことを思い出した。50年前か。

TN君(土佐町在住)、HM君、MM君(共に高知市在住)と、僕の同級生4人で、中2の秋、家の前を流れる川のヤブの中へ。持ち物はホーキとダンボール箱いくつか。それが僕のバンド活動のスタート。

本物の楽器はTN君が持つアコギ1本のみ。自ずとG.Voでリーダー。そしてバンマスとなったTN君の指導で(1本だけのギターで初心者にコードから教えるのは大変なこと)中学校での「卒業生を送る会」への出演を目指し、およそ5ヶ月の練習!

本番には、当時高校生だったYS先輩(現バンドメンバー)らから借りた本格的な楽器(なんとドラムセット、エレキギター×2、ベースギター、アンプ、シールドピックまでも)を抱えデビュー!!

一年先輩の卒業生のバンドにHT君(現バンドメンバー)が居た。曲もできも忘れてしまったけれど(忘れたかった?)、G.VoのTN君が覆面姿でセンターで歌っていたのを覚えている。

若人よ!悩みを軽くしたけりゃ、この本を読んでみな。(読み方によっちゃあヤケドするぜよ)。

藤田英輔

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「江戸しぐさ入門」 江戸しぐさ研究会 三五館

江戸しぐさとは、自立した人間が「互角に」互いを認め、生きていくための具体的な処方箋である。

未成年の頃にKちゃんという先輩にずいぶんと世話になっていました。Kちゃんが持つ世界観は一般的ではなく、特殊な世界のものでした。

この本の中にあるいくつものことをよく聞かされました。

三脱の教えや結界わきまえ、喧嘩しぐさ等々。

しかし、この本の中にあるいくつもは、全くの無視というか下手に出ちゃいけねえ勢いで、面食らったことが多々ありました。

大げさですが、僕の人学の根底に流れている考え方は、あの2~3年が影響していると思います。

「おはよう」には「おはよう」と、「おはようございます」には自分の方が年上でも上司であっても、同じく「おはようございます」と返さなければならない(文中より)。

そうですよね。

江戸しぐさ(土佐にもありますね)を身につけ、カッコイイ人間になりたいものです。

挨拶は先にする方がかっこいいね。

藤田英輔

 

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藤田英輔

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「池波正太郎 鬼平料理帳」 佐藤隆介 文春文庫

唐突ですが、これは何でしょう?

・英語で『象の足(Elephant Foot )とか悪魔の舌(Devil’s Tongue)といわれます。
・山河豚(やまふぐ)ともいい、男子たる者、時々は食すべしと云われています。
・これの四つ切りに2gの練り辛子をつけて食する場合、練り辛子の方がカロリーが高い、というくらい低カロリーな食品です。

鬼平犯科帳シリーズは、それぞれに料理の出てくる場面があります。季節や情景が映像となり(TVの影響でしょうか?)、そこに料理が並んでいるような表現がなされています。
この本は鬼平犯科帳の副読本(あとがきより)です。鬼平の本を読むと感慨深いです。

水のように冴えかえった冬の夕暮れ(本文より)、T・Y君(バンド仲間)からの真っ白な大根とK・Y嬢(絶景の処に住まわれています)からのこれをおでんにして、燗をつけて一緒に温まろうか、ねえ。

答え:蒟蒻(Konjac コンニャク)です。パチパチ!

藤田英輔

 

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私の一冊

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「ポケットに名言を」 寺山修司 角川文庫

出玉遊び等に入れこんでいた頃のこと。

ある珈琲屋で開いた文庫本に「この世で一番大きなタマは地球だ」とか「珈琲が苦い」だとかの文句があり、それを読んでいるうちに突然「もういいや」と思い、以来止めた。

道徳でも哲学的でもなく、ただ単純に自分が決めることなんだよ、と。世間は広く知らないことばかりじゃないかと思ったようだ。

煮詰まって焦げようとしていたようだ。

煮詰まれば何とかなるようだ。

そして本にはヒントがいっぱい詰まっているようだ。

若者(永遠の)よ、書をポケットに荒野へ出よう。(名言は内ポケットに)

藤田英輔

 

 

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私の一冊

藤田英輔

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「お父さんのバックドロップ」 中島らも 集英社文庫

小学生(高学年)の皆さんへ

「早く大人になりたいか?」「こんな父親どう思う?」

そして男子に、「こんな父親になりたくないか?」

この本を読んでぜひ考えてみてほしい。

この本は子どもたちに読んでほしくて「大人」と「父親」へのオマージュ、リスペクト(尊敬・敬意)を持ち、書かれた児童書だと思います。

時間が経てば無条件に平等に「大人」になれます。

それまでにぜひ様々な経験をし、本を読み、知識を蓄えてください。

大好きな人と本を見つけてください。

〜あとがきより〜
子どもが大きくなって全く性質の違う「大人」という別の人間になるのではありません。子どもの部分は丸ごと残っています。

早く「大人」になってください。待ってますよ。

藤田英輔

 

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