山門由佳

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

山門由佳

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「チリとチリリ ゆきのひのおはなし」  どいかや アリス館

まっしろの雪の銀世界を、まっくろのおかっぱ頭のチリとチリリのふたりが白と黒のあたたかなコーディネートでおでかけします。 いつもチリとチリリの絵本に出てくるおやつや飲みものはおいしそうです。

この日は「ちょうどよい」カップに、りんごとニッキのホットフルーツパンチ。 この「ちょうどよい」というフレーズがどのシリーズにも出てくるのですが、「ちょうどよい」というのは言い換えれば「ここちがよい」ということに気づかされます。

つい普段の生活のなかで、食べ「過ぎ」たり、飲み「すぎ」たり、寝「過ぎ」たり、、、と過ぎたるは及ばざるが如しといわんばかりに、チリとチリリの「ちょうどよい」メルヘンの世界は読み終えたあとほっこりと心地よい気持ちになる一冊です。

 

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「アルテサニアがかわいい メキシコ・オアハカへ」 櫻井陽子 イカロス出版株式会社

1月の土佐町の風景は草木も山も田んぼもベージュ色になってしまうことがさみしいです。あるがままの自然の色、なすがままの自然の景色なのだけれど、やはり寒いのと相まってベージュばかりの景色は心が沈みます。。。 自然が近いがゆえに、もろ自然の様子の影響を心身共に受けるような気がします。

近くのスーパーに入ろうとしたとき、店先に売られている色とりどりのジュリアン(花の種類)にハッとなり、さっそく5色(赤、黃、白、ピンク、紫)それぞれ連れ帰りました。 色は人の心を明るく、強くするんですね。 そして、生きているお花はさらにすごいパワーを放っているようで、連れ帰ったその日から私の心に花が咲いたかのように、やる気がもりもり吹き返しました。 入院をしている人にお見舞いとして生花を渡す意味もよくわかりました。

昔、訪れたメキシコ。 グアナファトという地方ではそれぞれの家が一軒ずつ色が違って、超カラフル。世界遺産にもなっています。 南部のオアハカ地方では、色鮮かな花の刺繍のエプロンや色とりどりの衣装を纏ったひとがいっぱい。元気になる〜!楽しい〜!

ベージュ色の冬があるから、カラフルな春夏秋が美しいとわかってはいてもなかなか色好きのわたしには苦行の日々です。メキシコを思い出して、春を待つとします○

 

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「角野栄子の毎日いろいろ」 角野栄子 KADOKAWA

子は宝といいますが、それと同じくらい元気なシニアも国の宝かと思います。はつらつとしたシニア世代(わたしのなかでは70代はまだお若く、80歳から)の様子は、わたしもあんなふうに年老いたい〜!と憧れさせ、夢を与えてくださる希望の象徴です。新聞や雑誌から、あるいは目の前に実在する輝くシニアたちをみつけるのが日々の趣味です。健康の秘訣、心の持ち方、オリジナルの習慣やポリシーを持つ生き方から、必ず学ぶことがあります。

そんななかで、最近知った著者の角野栄子さん。 小学一年生の息子の教科書に載っていた「サラダでげんき」という物語。ユーモアがピリリッと効いていて、長新太さんの挿絵とピッタリ!と気になっていたら、なんと、かの有名な「魔女の宅急便」を生んだ作家さんでございました。角野栄子さん御本人の姿をこの著書の表紙で確認して、ひと目で…好きです!タイプです!と目がハートになりました。カラフルでおしゃれ、知的。でも遊び心いっぱいのファンタジーの世界に生きておられて明るい。

いちご色のおうちに住み、庭にたわわになった酸っぱいみかんのしぼりたてジュースを毎朝飲み、庭仕事も料理も適当に、ぶらぶらとまちを散歩して行きつけのお店のひとと談笑する。 自分にとって心地のいい服や靴、鞄やアクセサリーをよく知っていて、とってもお洒落に生き生きと毎日を過ごされている。まるで、角野栄子さんご自身が絵本の主人公のようです。わたしの[輝くはつらつシニアコレクション]にまた1名の至宝が加わりました。

 

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「高知県の山村を歩く」 武吉孝夫 高知県立歴史民族資料館

11月。 土佐町・南川地区にて長きにわたってつくられていた『百万遍味噌』のお手伝いを数日させていただきました。 南川地区は早明浦ダムをどんどん奥へと進み、大川村も越えてまた橋を渡って山の中へと入っていく、秘境と呼ぶにふさわしい地区でした。

はじめどんな方々が暮らしておられるのだろう、ちゃんとお手伝いできるだろうかと山が深くなるにつれ不安も高まり…けれども迎えてくださったのは皆さん明るく優しい方ばかりでした。

にぎやかだった頃の南川地区での昔話や、海外旅行にみんなで出かけた思い出話、野生動物たちとの日々の闘いと共生するしかない畑の様子…いろんなお話を聞かせてくださいました。

山奥での生活は買い物や通院をはじめさまざまな不便があるなか、助け合って仲良く暮らす南川地区の皆さんの暮らしが今もこの山の向こうで営まれているんだと思うと、愛しく尊い思いになります。

味噌作りの手伝いも、山水の水源の水量が厳しくなり予定より一週間早く終わってしまいました。そうしたコントロールできない自然、天候、野生動物と隣り合わせで暮らすこと。それは人間もまた自然のごく一部であり、自然の恩恵なしには生きてはいけないことを常々思い知らされ、決して奢ることなく生きておられる山村の民の謙虚さはそこからくるのだろうかと感じました。

この写真展を観に行った時は南川地区に行く前の自分。こちらの写真集を買って帰り今、見返すとよりリアルに感じる。 山村に暮らす民の温かさは、寒さに震えながら明るい黄色の可憐な花を咲かせる福寿草が思い浮かびます。

 

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「すみっコぐらしの勉強が好きになる方法」 「すみっコぐらしのお友だちとなかよくする方法」 主婦と生活社

今までの人生、悩み迷ったとき…いつも救われたのは誰かの名言や文章でした。著名人であったりなかったり、本で、インターネットで、テレビで、あるいは面と向かって…その『言葉』と出会えたおかげで心が救われたことは数知れません。自分で今まで集めてきた膨大な「言葉」を記したノート、手帳、メモ帳はずっと宝物です。

それぞれの年代にそれぞれの悩み。今後、自分の子供達が大きくなるにつれ直面するであろう悩みゴトに対して、人気キャラクターのすみっコぐらしたちがやさしい言葉で導いてくれる、この本を手にとりました。

未だくうねるあそぶが人生の彼らですが、そっと本棚のすみっコにしのばせております。出番が訪れるその日がくるまで…。

 

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「子の無い人生」 酒井順子  KADOKAWA

 約20年前に「負け犬の遠吠え」というタイトルでベストセラーになった著者の方です。この著者の著書はどれも好きで、とても読みやすいです。土佐町から神戸へ出張する際の電車の中で読むのがなぜかピッタリな感じがして、何度かお供していただいております。

田舎vs都会  独身vs既婚  子持ちvs子無し …  どちらが良いとか悪いとか単純な主張をするわけではなく、落ち着いた文章と鋭い分析、ウィットに富んだ文調は笑いを抑えながら夢中になって読めます。一見重たくなりそうな話題も、この方にかかれば何事も、誰にでもそんなこともありますよねぇと思えてくる不思議。

土讃線の「特急・南風」の車窓から見える吉野川の如く、人生悲喜こもごも、川の流れのように〜 たしか美空ひばりも歌われていらっしゃった、結局ジタバタしても仕方がないんだ…と、もののあはれを感じながら瀬戸大橋を渡るのです。

新神戸に降り立つ頃には、酒井順子さんのようにスパッとキレ味のよい頭になった気分で、無数の人生が錯綜している都会へと紛れ込む私の姿があります。

 

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「ホームパーティ 和を楽しむ食卓12か月」 江川晴子 世界文化社

こちらに引っ越してきてから、人をお招きする機会がとても多くなりました。嬉しいことです。 幼少期から、お友達の家に遊びに行くよりも勝手知ったる自分の家に来てもらうほうが好きだった私なので、その流れがさらに加速しているのかもしれません。

「お招き」‥なんて洒落た言葉を使ってみましたが、わが家のリビングはトミカやらレゴやらメルちゃんやらが散乱し、なんとかそれらを部屋の隅に押しやり、体温計のぶっ刺さったペン立てと食堂かといわんばかりの大量の箸が箸立てに並んだテーブル(もれなく油性ペンで施された落書き付き)にお招きするのです。汗。

けれども、こちらの写真集にでてくるホームパーティはまさに「お招き」にふさわしいテーブルコーディネートばかりです。大人っぽくて、美味しそう。。。 いつかわたしもこんなテーブルコーディネートで「お招き」できるよう腕と技を磨きたいものです。

 

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「少年探偵 黄金仮面」  江戸川乱歩 ポプラ社

江戸川乱歩の少年探偵シリーズは、わたしの小学生時代の青春がよみがえるシリーズです。このシリーズを読みすぎて、両親ともに視力1.2という家系に生まれたというのに、現在0.02(!)というド近眼になるほど視力も心も奪われたほど夢中になりました。

大人になった今もなお、このシリーズを手にとると懐かしくて愛おしい気持ちでいっぱいになります。 憧れの昭和の時代背景、独特の言い回し、全体的に漂う知的さと気味の悪さ、魅惑的な挿絵、あっと驚くストーリー展開…。夢見る少年少女にふさわしいシリーズこの上ないと思われます。

 

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「作家の住まい」 コロナ・ブックス編集部  平凡社

毎週日曜日の朝、いつも楽しみに観ている番組があります。『渡辺篤史の建もの探訪』(BS朝日8時半より)。渡辺篤史さんが、こだわりを持って建てたおうちを訪ねて、その家の主人に説明を受けながらさまざまな家を紹介する番組です。

まず出演されている渡辺篤史さんの声がとても耳に心地が良い。さらにおちゃめなリアクション、絶対マイナスなことを言わないコメントもどれもこれもツボ。 数々の素晴らしく美しい家が映し出され、番組が終わり、画面から室内に目を戻したとき、散らかりまくった自宅の現実にがっかりはしても、結局愛すべき暮らしはここにある。

しかしながら「家」を見て、そこにどんな「人」が暮らし、どんな「生活」が営まれているのか想像するのがとてつもなく面白いです。

作家の住まい…。圧倒的に家に在宅している時間が長い作家という職業の家。不思議と家というものは、そこに住む人物、作品、センスまでを映し出します。どの家も、その作家にぴったりな雰囲気をまとっていることに驚かされます。

この本を通して、堀田善衛氏の作品を読んでみたいと思いました。この家から生み出されるのはどんな作品なのであろうかと興味津々です。

 

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「珍日本紀行 東日本・西日本編」  都築響一 ちくま文庫

先日、土佐町で絵とおせんべいの展覧会を行いました。土佐町に移り住んではじめての個展。『絵を人にみせる』行為というのは、私にとっては素の自分をさらけ出す行為に近いです。

個展を終えて、もう裸以外全部見せるものは見せてしまったように思えて、ある意味ひと皮むけたといいますでしょうか、なんだか吹っ切れたような気分です。どれだけ取り繕っても、あんな絵やこんな絵を描くことがバレてしまった以上、もう隠すものはなくなった今、正直に私が「珍スポット」と呼ばれるちょっと変わった場所を好む嗜好があることをここでカミングアウトします。

そして、その珍スポット略して珍スポのガイドブックいや、バイブルであるこの2冊の書は、わたしが旅を計画したとき、まず珍スポの有無を確認する大切な案内書です。 日本の各地に、ちりばめられたあんな珍スポやこんな珍スポ。 ふつーの旅行では物足らないとき、珍スポを訪れてはいかがでしょうか。

なんだコレ?!な珍なものを目の前にしたとき、眠っていた感覚が呼び覚まされるかもしれません。ちなみにこの本で紹介されている高知県の珍スポは、安芸市「西沢鮮魚店」、香美市「アンパンマンミュージアム」、野市町「龍馬歴史館」、安芸市「伊尾木洞」、高知市「沢田マンション」、土佐山田「倭華宮」。

1997年当時。 わたしとしては、香美市の龍河洞にある尾長鶏センター(残念ながら2022年8月現在休館中とのこと)や、大豊町の日本一の大杉&美空ひばりの曲が流れる歌碑、土佐清水市の足摺海底館、海のギャラリーなんかも珍スポ感を感じるスポットです。

 

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