山門由佳

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

山門由佳

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「げんきなマドレーヌ」 ルドウィッヒ・ベーメルマンス 福音館書店

きっと有名なマドレーヌちゃん。でもあんまりわたしはきみを知らなかったけれど、この一節を読んで一気にファンになりました。

「ねずみなんか こわくないし、 ふゆが すきで、スキーも スケートも とくい、 どうぶつえんの とらにも へいっちゃら」

まぁ動物園の虎は怖くないにしても。 ねずみにびくびく怯えて、寒い冬にも背中を丸めて完全に負けちゃうわたし。 ねずみが怖くないなんて!冬が平気だなんて! 『姐さん!』と呼ばせていただきたいくらい。

そんな勇敢で格好良いマドレーヌちゃんはパリのカトリック系の寄宿舎で暮らしている。 優しいミス・クラベル先生に見守られながら、さまざまな人物との交流や騒動の様子をパリのあちこちの風景と素朴なタッチで描かれた絵が素敵。 このページ、額縁にいれて飾りたい〜。 めくるたび何度もそう思う、絵が魅せるお気に入りの「絵本」です。

 

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「はじめてであう小児科の本」 山田真 福音館書店

この本は子供が病気になったとき、まず一番にひらく本だ。

とにかく頼りになる。 お医者様がおうちにいらっしゃる感覚なくらいに、子供のかかるたいていの病気や対処法は載っていることはもちろん、文調からも【安心感】をお届けしてくださる。

何度、お世話になったことか‥ 孫の代まで引き継ぎたいと思える本。 そして子育て家庭に、一家に一冊。 強力推薦いたします。

 

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「あたらしい自分になる本」 服部みれい  アスペクト

20代は西洋医学を信じきっていた。けれどもなかなか身体のプチ不調から抜け出せずにいたそんな頃、この本に出逢った。

約十年…、 その中でも一番影響を受けたのが、「冷えとり健康法」。 冷えとり健康法の代表的ワザ、靴下の重ね履き。 それは絹→綿→絹→綿製の靴下を順番に最低4枚は履くという技。

絹は毒素を吸ってくれる作用があるのと、毒素は足裏から一番出ているということ。また絹の靴下の破れた箇所によって、身体のどこが悪いかまで言い当てる絹の凄いところ。

この靴下の重ね履きをしてから、いろいろと開眼してしまい健康おたくとなり、そのせいか、事実調子も良くなった。 でもちょっと騙されたと思って、とりあえず絹の靴下履いてみてほしい。 そこからきっとなにかがはじまります。

 

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「スウェーデンのあたたかい暮らし」 ピエ・ブックス

スウェーデンの冬は毎日暗く、そして長い。でもだからこそ、家の中での過ごし方がとびきり素敵な工夫で溢れている。

「北欧では暗く寒い冬のこの時期、屋内で何か楽しいことをするのは精神的にとても大切で意味のあることだと思います。」

キャンドルを灯し、手づくりの小物をつくったり、おやつを作ったり。手を動かし、ものを創り出す。 その暮らし方、風土は日本の東北地方にも共通点を感じる。

以前訪れた東北では、こけしをはじめたくさんの手工芸、手仕事の数々のすばらしさに心動かされた。さらにわたしの勝手な推測で、冬が厳しい土地の方は手先も器用なのではないか。。。?

この冬の厳しい嶺北地域もまた然り。スゴ技をお持ちの方が沢山いらっしゃる。さめうらの湖もあるし、土佐町はスウェーデン。。。? 冬でも心あたたまる暮らしを営むスウェーデンのイメージに重ねるとぽっと心に灯りが灯ったような気がしないでもない。

 

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「秘境旅行」 芳賀日出男 角川ソフィア文庫

先日の総裁選で、候補者である河野太郎氏がこう発言していた。 「いろいろ変えられるのは、若者、よそ者、ばか者」と。 これは名言だなぁ〜と妙に納得。

あちらこちらの地方をみていても、よそからきた移住者がその土地に根付いてお店をひらいたりしてお客を呼び込んだり、外部にむかって上手くPRして広めたり、学生が新しい企画を立ち上げて活気づいたり、盛り上がったりしているのは日本各地でみられる。 そして、なによりばか者でないと他人の目線、意見が気になって行動を起こすことはできなかろう。 でも。 なんでもかんでも変えていっていいとは思わない。

やはり、それは長い時間をかけてその土地土地において昔から引き継がれてきた伝統や文化の個性は尊いものだから。 一度、途絶えてしまった伝統や文化を再生するのはイチからはじめるよりはるかに難しいと思う。 そして、地方地方それぞれの特色が観たいからこそ旅をして、その【ちがい】に面白みを感じるんだろう。

この『秘境旅行』の冒頭にも −今や日本には秘境などはなくなってしまったと思う。どこへ旅行しても私と同じシャツを着て標準語をしゃべり、テレビを楽しむ市民や村人ばかりである。 と。 実際、私達も移住先を探すにあたって色々な地方都市をまわったが結局、どこも大きな国道沿いには都会と同じ大手企業のチェーン店ばかりが立ち並ぶその姿には、趣も個性もなく幻滅した。 「田舎ってどこも一緒だね…」 一体ここがどこの場所かわからないほどそういう通りは似通っていて区別がつかないほど。

そんな都会の毒に蝕まれないよう田舎に生まれ育った方々にはその土地のもつ個性や伝統に確固たる自信をもっていただくこと、新しい流れをとりいれながらも守っていくことが今後の若者、よそ者、ばか者の使命にも思う。

 

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「わにわにのおでかけ」 小風さち文, 山口マオ絵 福音館書店

  ことしの夏もまたお祭りなく過ぎ去ってしまった…。仕方のないことかもしれないけれど、こどもたちにとっては大人が想像するよりもはるかに寂しい夏だったとおもう。 なにかをやり残したような、夏。 大人の私は、そのお祭りにテンションがアガってるわが子を眺めるたのしみも奪われたという事実を今こうして書いていて気づいてしまった、秋。 嗚呼、ほんとに残念〜んんん 。

そんな残念な気分をすこしでも慰めてくれる「わにわにのおでかけ」。 蚊取り線香して、布団にはいって…さぁ寝よう、、として眠れないわにわに。

ずり ずり づづづ と歩を進めるわにわに。 夜店に集まる人びとのにぎやかさ、おめんを欲しがるわにわに、怪しい目つきで金魚すくいをするわにわに、花火の大きさ鮮やかさに歓喜するわにわに。。。 帰ってきたら小さくなってた蚊取り線香が、わにわにのおでかけの満足感を静かに物語る。 どのシーンを切り取っても、夏が溢れてる。

 

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「バカのものさし」 養老孟司 扶桑社文庫

 たまたまつけたテレビに養老先生と老猫との暮らしが映った。 養老先生はおだやかな語り口で鋭いことをズバッとわかりやすく伝えるその姿に一気にファンになってしまった。 それからというもの、著書を土佐町図書館で借りたり、ネットで言葉を拾い集めたり、古本屋を漁ってみたりと。 夫に話すときにも二言目には「養老先生が〜、養老先生が〜(こう言ってた)」とまるで信者である。

この著書は全国の小学生〜高校生が養老先生に疑問に思ったことや悩みを相談し、それにこたえていくようなかたちで綴られている。子どもたちにもちゃんと読めるように漢字にはふりがなが振られ、先生も難しい脳の仕組みや社会の問題について噛み砕いて説明してくださっているのでとてもわかりやすい。

養老先生の持論の中で〈田舎暮らしをしたらいい〉というのがある。(せめて子供が義務教育の間は特に) 田舎暮らしのなかで、思うようにならない自然を相手にする農作業をすることによって【努力・辛抱・根性】がつく。 からだをつかって、薪を割り、火が燃え上がるまでの手順を知ることの大切さ。 なんでもボタンひとつで風呂もお米も炊けて機械がやってくれる世界の脆さを熱く語っていらっしゃる。 うんうん!とすごくうなずける内容で、ふと自分の生活を振り返ってみれば。 田舎に越してきたものの、掃除機で掃除して、ガスで料理して、電気で風呂を沸かしてる…。「はて?これは本当に田舎暮らし?」 反省とちいさな違和感が育ち始めている。。。

 

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「包  日本の伝統パッケージ、その原点とデザイン」 岡秀行 コンセント

毎日毎日、プラスチックの包装を捨てるのが煩わしい。 あれもこれもどれも、プラスチックに包まれている。

言うなれば、わたしの焼いた煎餅もプラスチックに包まれている。 プラスチックでなければものの見事にすぐ湿気てしまう運命にある煎餅と、プラスチックの切っても切れない関係に悩ましさがある。

プラスチックの優れた点、恩恵にあやかりながらもやっぱり昔の自然素材を使ったこの包み方には憧れが抑えきれない。 木、竹、笹、藁、土、紙。 彼ら【包む】メンバーの見事な仕事ぶり。 仕上がったその姿も堂々たるもの。

いいなぁ〜いいなぁ〜
煎餅もなんとかならんもんなのか。

ひとまず、笹でおにぎりを包むことからはじめてみようか。

笹探しスタート!

 

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「深夜食堂」 安倍夜郎 小学館

土佐町立図書館の2階にコミックコーナーがある。 そこで出会ったこの「深夜食堂」。今、絶賛ハマっている。

下調べなしにふらっと入ったお店が当たりだった感覚に似ている出会い方だった。 映画やドラマにもなって海外にも人気がある作品だそうだが、私は知らなかった。

にぎやかな繁華街の路地裏にあって、深夜0時から朝7時までの営業。 メニューは豚汁定食にビール、酒、焼酎だけ。(ちなみにビールは1人3本まで。) あとはマスターがお客の食べたいものをつくってくれる。 お客の頼むメニューは意外と素朴。

だけど裏には濃厚な人生のドラマがある。それを温かく見守る店主と常連がひとつのコの字カウンターを囲み、頼んだメニューに舌鼓を打ちながら、その『時間(とき)』を味わう。 傷ついた鳥がそっと羽を休めるとまり木のような存在の店。 こんなお店に出逢えたら、すごくその人生はラッキーなように思う。

緊急事態宣言発令下、一番気になるのはこの店に通う常連たちの行き場だ。 こんな時だからこそ、息つける「場」が必要なのにね。

 

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山門由佳

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「いきものたちはわたしのかがみ」 ミロコマチコ 朝日新聞社

先日、高知県立美術館にて開催されているミロコマチコ展にいってきた。(2021/9/20まで開催中)

ミロコマチコさんは月曜〜金曜、Eテレの「コレナンデ商会」という子ども向け番組の絵を担当しており、子どもにも馴染みがあるので一緒に連れだって行った。 原画というのは、だいたいパワーがあってエネルギーを感じるのだけれど、彼女の絵は火山か嵐かはたまた爆発か、を目の当たりにしたかのようにとてつもないチカラを感じた。 圧倒的な生命力、波打つ鼓動。 ‥‥生きてるんだ! 絵の中のいきものたちは生きている。

絵本も出されているけれど、絵本のサイズの何倍、何十倍もの大きさの原画たちは、絵本からだけでは伝わりきれないはみでた力がどれもみなぎっている。 展覧会に足を運び実物を目の当たりにすることをぜひおすすめする。

さらに前もって 「けもののにおいがしてきたぞ」(岩崎書店) 「まっくらやみのまっくろ」(小学館) 「ドクルジン」(亜紀書房) の3冊の絵本の原画が飾られているので読んでからいくと、さらにビンビン味わえることまちがいなし。 子どももすごいエネルギー体だけれど、そんな子どもも黙らせるミロコさんの絵は、野生の「けもの」なんだろうなぁ〜。

 

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