石川拓也

“4,001”

土佐町の現在の人口です。(2017年6月末時点・土佐町公式サイトによる)

注:土佐町の総人口が3,997人(2017年4月末時点)から4,001人(6月末時点)に増加したことに伴い、当プロジェクト名も「4,001プロジェクト」に変更になりました。

“4,001プロジェクト”は土佐町に住む人々を、全員もれなく、写真家の石川拓也が撮影する計画。

念のため書いておくと、「全員もれなく」…あくまで目標です。

土佐町の人口の増減によって、タイトルもたまに変わります。  (敬称略・撮れたときに不定期更新)

4001プロジェクト

桂月の作り手たち

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土佐町が誇る銘酒・桂月。 今年の仕込みも佳境に入った2月下旬に、日本酒の製造現場にお邪魔して撮影しました。

約1日半、工程の様々な現場を、詳しい解説とともにじっくりと見せていただきました。(お仕事の邪魔になってないことを祈ります!)

とにかくみなさん並並ならぬ思いを持ってお酒造りに挑んでいること、そのために徹底してお米や気温や湿度などの様子を伺いながら毎日過ごしていること、その仕事に向き合う姿勢はカッコイイ!のひと言です。

日本酒、奥が深すぎて僕が迂闊に語ることはできませんが、「桂月」はこの作り手たちが真剣かつ楽しそうに作っています。
敬称略・左から 三谷潤平 橋本信与 佐竹正行 Brock Bennett  筒井浩史 中山淳 三瓶駿

 

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私の一冊

石川拓也

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「マイ仏教」 みうらじゅん 新潮新書

 

みうらじゅんさんは天才だと思っています。

なんというか、一貫してすっとぼけた(ように見える)言動ですが、そこに実はとても深い洞察がある。

現実のネガティブな面を、言い方や捉え方でポジティブなものに変えていく力がこの人の言葉には備わっている。

以前、いちど写真の撮影でお会いしたことがあるのですが、その時は

「人間誰もが年を取ってくると、尿漏れとか深刻に悩んだりするけども、それ例えば『スーパー尿漏れ』とか名付けたらちょっとポジティブじゃない?」

ってことを延々と力説されていました。単純におもしろかった。

みうらじゅんさんとか笑福亭鶴瓶師匠とか、そういった力を持った方はたまにいらっしゃいますよね。

昔はお坊さんとかがそういう役割を担っていたのかなと思います。

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土佐町のものさし

【番外編】ブータン・GNHレポート No.0

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 土佐町の新しい指針を作る過程を追う「土佐町のものさし」、今回は【番外編】として、GNHの産みの親であるブータンのGNHの現状を、とさちょうものがたり編集長である石川がレポートします。

 

ドゥルク・エアー バンコク発パロ行きKB153便の畿内から。雲よりも高くヒマラヤがそびえる。

 

 

 GNHの産みの親・ブータンってどんな国?

ブータンに行ってきました。

この連載でも度々お伝えしてきましたが、GNH(Gross Nasional Happiness = 国民総幸福度)の産みの親、それがブータンという国です。

もう少し詳しく説明すると、GNHが産声をあげたのは、時は1972年、所はインドのボンベイ空港。

当時の第4代国王が、ある国際会議の帰り道、ファイナンシャル・タイムズの英国人記者のインタビューを受けた際に、初めてGNHという言葉を公に使用したと伝えられています。

「GNHはGNPよりも重要である 国王は記者に対してそう言いました。

それは、貧しく小さいブータンという国の国王に対して、多少バカにした態度で接してきた記者に対する反骨心の表れでもあったといわれています。

ブータンなめんなよ!という気持ちが、「GNPで計る豊かさよりも大事なものがブータンにはあります」という言葉になって出たのでしょう。

それ以来、ブータンはGNPによる物質的な豊かさの比較の中で競争するよりも、「幸福度」という尺度による国づくりを行おうとしています。

※ ”Gross National Happiness is more important than Gross National Product.” –  by the king of Bhutan, Jigme Singye Wangchuck,

山肌を縫うように細い道が通る。

山がち。というか山ばかりっ!

 

 大きさは九州ぐらい。人口は山梨県ぐらい。

ブータンの国土は38,390㎢で、九州(36,750㎢)とほぼ同じ。2018年の人口は801,256人。これは山梨県と近い人数です。

ちなみに以下のグラフはブータンの世代別人口分布図。日本と比べると20代、30代の人口が突出しているのがわかると思います。

上:ブータンの世代別人口分布図

こちらが日本。 団塊の世代と団塊ジュニアが突出しています。

 

 

 能書きはこれぐらいにして。

話を前に進めましょう。「ぼくが見たGNHの現場ーブータン編」です!

2019年2月20日〜3月7日の日程で、京都大学ILASセミナー「ブータンの農村に学ぶ発展のあり方」のチームに混ぜていただきました。教職員スタッフ4名、学部生院生8名、僕を合わせて計13名。

リーダーである安藤和雄先生京都大学東南アジア地域研究研究所でブータンやバングラデシュ、ミャンマーなどで熱帯農学、農村生態を研究されている方。東南アジア研究におけるエキスパート。

もう一人のリーダーである坂本龍太先生はやはり東南アジア地域研究所にてフィールド医学を専門に研究されています。土佐町の方で「あ!」と思った方は多いかもしれません。そう、坂本先生はフィールド医学の関係で、土佐町にも度々来られています。

 

パロ空港へ到着時の一枚

 

1.  GNHコミッション

 

さあ、ここからはGNH関連の人物や取り組みなどを中心に紹介していきます。

順不同で、独断と偏見により石川が紹介したい順に書いていきます。

まずはGNHコミッション(GNHC)

これがティンプーの中心にほど近い、GNHコミッションの建物。

いきなりGNHの総本山のようなところに来てしまいました。

GNHコミッション」はブータン政府の政策が、GNHに基づいた策定がなされているかというチェック機能を持った国権の最高機関です。

GNHの哲学に則した、ブータン全国民にとっての「幸福度の促進」を目指す公的な機関です。

The Gross National Happiness Commission is the highest government body mandated to formulate and monitor policies. It is “an Institution that promotes an enabling environment for all Bhutanese to be happy and steer national development towards promotion of happiness for all Bhutanese guided by the philosophy of GNH. - Center of GNH

 

話はこれから‥‥というちょっと中途半端なところですが、長くなったので今回はこれまで。次回に続きます!

 

パロで道を教えてくれた少年。どことなく郷愁を感じます。

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私の一冊

石川拓也

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MAGNUM LANDSCAPE」Ian Jeffrey Phaidon Press

敢えて説明するのも気が引けますが、”MAGNUM”は1947年から続く国際的な写真家グループです。

創設したのは報道写真家のロバート・キャパ、アンリ・カルティエ=ブレッソン、ジョージ・ロジャー、デヴィッド・シーモアの4人。(現在は50人が所属)

メディアや印刷技術の発達と共に、彼らの写真は新聞や雑誌に載って世界中を飛び回り、「いま世界で何が起こっているのか」という理解を人々が深めるための一助になりました。

この写真集はそのマグナムの写真家が撮影した珠玉の「風景写真」を収めたもの。ニュースではないもの、と言い換えてもいいかもしれません。

どれもが世界の美しい瞬間を切り取った美しい写真なのですが、ふと「ぼくたちはこういう写真を通して『世界はこういうもの』という理解を掴んでいるのかもしれない」とも感じます。

何が言いたいかというと、そうやって作られたイメージは「世界のように見える何か」であって世界そのものではない、ということ。

現実に対峙して世界を把握することが、写真が氾濫する現代では大切な気がします。

 

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土佐町のものさし

⑤ 言ってるだけやとあかんよね

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この連載「土佐町のものさし」は、現在進行形の旅の記録。
時代とともに変化していく世界の価値観(=ものさし)の大きな流れの中で、土佐町の人々が、土佐町のためにこれから作っていく「土佐町のものさし」を探し求めて歩く旅の記録です。

 

幸福度による町政を進めていく土佐町の幸福度調査アンケート、現在は骨格がほぼできあがった段階です。

これから役場の職員によるさらなる検討、そしてその後に町の住民の方々による検討会と進んでいきます。

幸福度とひと言で言ってみても、それはとても曖昧で主観的なもの。

「幸せの国」「幸せの町」と言葉で言うのは簡単なことですが、どうしてもイメージ先行の言葉の上すべり感は否めない。

それを町政の中心に据えるには、「幸福度」という言葉がとても主観的で抽象的だからこそ、かっちり現実的な考え方や行動に結びついている必要があると思います。

 

言ってるだけやとあかんよね。

どんな仕事にも言えることだと思いますが、特に幸福度・GNHという価値観の転換については特にそう思います。

題材自体が、ふと油断すると机の上の頭でっかちな議論になりがちなものなので、ふと気がつくと集まった人の多くが頭でっかち星人になっているという事態も多々あります。

頭からモノを言うのではなく、体から出る言葉を大切にして進めていく必要があると思うのです。

今回の記事では、幸福度調査アンケートをする意味について、もう一度しつこく書いてみたいと思います。

これは役場職員がアンケートの内容を練っていく過程で、ひとつづつ理解して獲得した「意味」でもあります。

 

 土佐町の住人が、土佐町の暮らしや環境、文化の価値を知る。

ある町の良さや価値は、ヨソモノの方が客観的に評価できるのではないか、とよく言われます。

土佐町で生まれ育った方々が、土佐町にすでにあるモノやコトや環境を、「そうであるのが当たり前」と受け止めていることはないでしょうか?

例えば土佐町の多くの人が持っている周囲の人々との強いつながり。大きな家族、と言ってもいいかもしれないぐらい強いコミュニティやご近所付き合いは、日本のどこにでもあるものではないと思います。

そのつながりが逆にしんどいことももちろんあると思いますが、それもわかった上で、その価値をいちどみんなでちゃんと議論して、それから町の方向を決めませんか?という提案がこのアンケートでもあるのです。

なぜなら、このようなコミュニティの強さは、一度壊れたらもう元には戻らないのですから。

なにかを変えるにしろ変えない努力をするにせよ、その価値をいちどみんなで共有してからにしませんか?

 

 土佐町が大事にしたいことを内外に宣言する

その上で、土佐町が大事にしていきたいこと、これからも守っていきたいこと、逆にどんどん変えていきたいことなどなどを明確に宣言する。

この辺りは、具体的な施策というよりはもう少し抽象的な言葉になるはずです。

大事なことは、経済(=お金)はそのうちの一部であって、決して全てではないということ。

何よりも上位にある目的は「町の住民がより幸せになること」であって、経済はそのための手段であるということ。

人が生きていく上でお金が大事なのは当たり前ですが、大きな経済のために不幸を生み出すようなことはあってはならないということ。

 

 

 土佐町の向かうべき方向を明確にする

土佐町の人々はどこからどのような道を歩んできてこの現在にいるのか? それを踏まえ、共有したうえで、これから行く方向を考える。

いくら良いエンジンを積んだ車に乗っていたとしても、進む方向が定まっていないとどこにも到着しないですよね。

「土佐町は今後こういう方向に進みたいんだ」という理解を共有してはじめて「そのためには現実的にこういうことをするんだ」という具体的な議論ができるんじゃないかと思います。

 

 現実的な施策や行動に反映する

ここまで辿り着くまでにけっこう長くなってしまいました。書けば書くほどどんどん理屈っぽくなって頭でっかちになっていくようでイヤですよね。ぼくも頭でっかち星人になるのはイヤなんです。

何度も書きますが、幸福度やGNHは言葉で言うことはカンタンなんです。

ただ、言っているだけでは本当に意味がない。言っているだけなら、最初から言わない方がいいんでないの?って思うくらいです。

というわけで、この「現実的な施策や行動に反映する」という段階がもっともキモの部分。個人的にはそう思っています。

「反映する」というよりかは、本当は発想の大元や評価基準を幸福度にシフトしていく、という方が合っているかもしれません。

果たしてこの仕事が土佐町の住人の幸せに繋がっているのか?そういう視点で役場の様々な事業を一度見つめ直してみる。

何かが原因でうまく繋がっていないなら、現実的なやり方を変えて繋げなおすということが必要なんじゃないかなと思います。

「←いまココ!」の土佐町では、住民幸福度調査アンケートが完成間近です!

 

 

 

ところでワタクシ、現在ブータンのパロという町にいてこの原稿を書いています。

国民総幸福度(GNH)の産みの親であるブータンの、現実的な国民総幸福度への取り組みを学びに、京都大学の研究チームに混ぜてもらっています。

次回からのこの連載(ネット回線の都合上、帰国後になる可能性が大きいですが‥)はブータンからのレポートをお送りします!

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私の一冊

石川拓也

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「スモール イズ ビューティフル」 E・F・シューマッハー 講談社

この本が刊行されたのは1973年。

巨大化しつつある世界経済に危機感を持っていた(早い!)シューマッハーは「大きくなることを目指すのではなく、人間という存在の身の丈に合った経済活動を目指すべき」と警鐘を鳴らします。

それがこの本。「スモール イズ ビューティフル」というのはそういう意味で使われています。

副題は「人間中心の経済学」とありますが、逆読みすると現実が「人間が中心にいない経済」の中に私たちは生きているという風に読めます。

いつの間にか「経済のための人間」になってしまっていないですか?

「小さな経済を生きる」「足るを知る」こういったキーワードの先に著者が名付けたのは「仏教経済学」。

現実に世界がそういった方向を求めてきているのを肌で感じます。

 

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4001プロジェクト

式地涼

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土佐町役場・産業振興課の一番の若手、式地涼くん。もうすぐ20歳。

土佐町生まれ土佐町育ち、土佐町にいて町のために働きながら、休暇にはアメリカに行ったり外にもアンテナを立てようとしているところが頼もしくもあります。

あと10年、20年もするとこの世代が引っ張る時代になるのでしょう。

 

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土佐町ポストカードプロジェクト

2019 Jan.

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栗木 権現の滝 | 上土井亘

 

土佐町の滝といえば「アメガエリの滝」が有名ですが、個人的には栗木の「権現の滝」も名滝だと思います。サイズ感とプロポーションがとても良い。上から見ると滝壺が星型に見えるそうです。滝壺の水も季節を問わず澄み切っています。

「権現の滝」の名前の通り、昔からここは権現さまの住む場所で、正式名称は「三樽権現の滝」といいます。

寒い冬の最中に、上土井亘くんと一緒にお参りしてきました。

 

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私の一冊

石川拓也

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「WOMEN 」 Saul Leiter スペースシャワーネットワーク

ソール・ライター(1923-2013)はアメリカ・ニューヨークの写真家です。2006年シュタイデル社から出版した写真集「Early Color」によって、83歳にして「衝撃の世界デビュー」を飾ったと言われています。

ちょっと本から話が逸れますが、ドキュメンタリー映画「写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと」も日本で公開された際に大きな話題になりました。この映画は、個人的に懇意にしていただいている翻訳家・柴田元幸さんが字幕を担当されていて、何年か前に東京の六郷でコーヒーをご一緒した時に、柴田さんが「今こんな仕事をしているんだ」と教えてくれた思い出があります。

この本はそのソール・ライターが親しかった女性たちをモノクロで撮影したもの。決定的瞬間でもなく派手な演出もない写真ですが、日常の愛おしさが溢れている写真集です。

写真は、しばしば重要な出来事を取り上げるものだと思われているが、実際には、終わることのない世界の中にある小さな断片と思い出を創り出すものだ ーソール・ライター

 

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私の一冊

石川拓也

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「稼ぐまちが地方を変える」 木下斉 NHK出版新書

机上論ではなく経験者の行動の下に書かれた、とても説得力のある良書です。

「地域おこし」「地方創生」「地域再生」などなどのワードで昨今語られることの多い地方振興系の活動。あんまりこういったワードで括るのは好きではないんですが、日本全国で頑張っている人たちは多くいますよね。

書かれていることの多くが、目からウロコが落ちたり、自分の考え方と一緒だったり。箇条書きで少し紹介してみます。

   不動産オーナーたちが連携を組んで地域を良くする

地域再生や振興は、日本ではなぜか地域の役場や役所が担うべきものと認識されていますが、欧米では不動産オーナーがチームになって取り組むこととされています。地域全体が良くなっていくことで、オーナーたちが所有する物件の価値が上がる訳で、とても合理的な形だと思いました。

   本気の人間が2、3人集まれば物事は変わっていく

逆を言えば、口だけ調子の良いことを言う人間が100人集まっても、会議や宴会の繰り返しで終わってしまうということ。リスクを取り汗をかく人間が、3人でもいればそれでスタートはできる。

   小さく始めて大きく育てる

机上で壮大な事業を考えていても現実は何も進まないので、まず自分が(もしくは少人数の仲間が)できることを一歩ずつやっていく。小さくて正解、という考え方。

        評論家になってはいけない

著者は職業柄いろんな地方で講演を依頼されることも多いそうですが、いわゆる「良い話を聞きたい」という依頼は断っているそうです。地方の方々が本気で動こうとしているときに、一緒に汗をかいてやっていきましょうと手を取り合うための講演だけを受けているそうです。共感。

以上、これ以上ないくらい粗い抜粋、そして記憶力の低下から言葉遣いは正確でないかもしれませんが、「地域おこし」という場の、ある意味最前線にいる身としては、多くを気付かされると同時に勇気ももらえるような一冊でした。

 

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