私の一冊

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

山門由佳

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『「閑」のある生き方 』 中野孝次 新潮社

夫が40歳の誕生日を迎え、同学年である私も今年度40歳になります。

よんじゅっさい。それは子供のころから考えるとえらいおばさん年齢のように思えていたけれど、いざその年を迎えようとする己の心持ちはいたってまだ20代、いやいや下手すれば学生時代のまま時が止まってる部分もあったりします。汗。

きっと、私よりもはるかに先輩の方々であっても実年齢よりも大幅にマイナス年齢の心持ちであろうと推測しております。しかしながら目の前にぶら下がった数字は介護保険料の支払いがはじまり、否が応でも[介護]や[老後]という文字に現実を突きつけられる機会であり…。汗、汗。

人生100年時代と叫ばれてはいますが、元気に自立して過ごせるのはもっと短いかもしれず、40歳はまちがいなく折り返し地点であり、時刻でいえば正午。午後へと向かう切り替え時期なのでしょう。

午前中のすっきりした頭と体でこなすいくつもの家事や仕事でめまぐるしく忙しいのが40歳までの自分の人生の時間としたら、午後の時間って案外いいかもしれません。

大好きな15時のお茶の時間があって、黄昏時のマジックアワーの美しさ、寛ぎのディナー&バスタイム。午後の時間にはたっぷりご褒美が用意されているように思います。

「閑」のある生き方… −40代から老年の準備をせよ、 あらゆる物を減らし生活を単純化すること、自然の声に耳を澄まし、 自分の心と向き合う時間、 心身永閑の生き方。老年は社会での勤め、もろもろの俗縁のつながり、社会人としての拘束、時間の束縛から解放されて子どものように自由なる一個人に帰る時。 一日一日、生きている今をよろこび、楽しむ。

それを実践するにあたっての具体的なすすめを、まさに40代からの私達に指南してくれております。

 

 

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私の一冊

古川佳代子

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「ライラックどおりのおひるごはん~みんなでたべたい せかいのレシピ~」 フェリシタ・サラ作, 石津ちひろ訳 BL出版

食べることは好きですか?くいしんぼの私は、もちろんイエス!寒い朝でもチョコレートケーキがあると思えば機嫌よく起きられるし、猛暑のなかの買い物も、帰りにかき氷を食べよう、と思えば元気に出かけられます。

ライラックどおり10番地のアパートに住む人たちも、みんな食べることが大好き。近くまで行くと、とてもいいにおいが漂ってきます。いったい何をつくっているのか、ちょっと覗いてみましょう。

スペインからきたピラールは、トマトの冷静スープ“サルモレホ”を作っています。おむかいのマリアは、アボカドをつぶして “ワカモレ”をつくっています。ムッシュー・シンは “ココナッツ・ダール”を、マチルダは “ストロベリー・クランブル”を、日本からやってきたイシダさんは、とりモモ肉にみりん、しょうゆ、卵、だし、ご飯を用意して…。アパートのみんなのお得意料理ができあがったら、庭に持ち寄って楽しいランチタイムのはじまりです!

手作りのおいしい料理を一緒に食べれば、仲良くなれること間違いなし!心もお腹も(?)満たされる「おいしい絵本」をお楽しみください。

 

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私の一冊

山門由佳

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「とさちょうものがたり」 とさちょうものがたり編集部  土佐町役場発行

 土佐町に引っ越して3年が経ちました。私達家族はちょうどコロナが始まったころに引っ越し、最初からまわりの皆様はマスク姿でした。なかなか素顔を知る機会もないまま、マスクありきの顔認識をしてしまっているがゆえに、マスクなしでは誰かわからない、3年経ってまたはじめましてという人生史上初の状況に陥っております。

でも、やはり素顔はいいですね。 リアル感があります。 ほんとうの意味で知り合っている感じがします。

土佐町へ引っ越す大きなきっかけは、こちらの「とさちょうものがたり」でした。移住するにあたって取り寄せた高知県のあらゆる市町村のパンフレットの中でも群を抜いて、ときめきました。

紙の質感から冊子のサイズの大きさはじめ、綴られている言葉と写真の美しさ、土佐町に暮らす人々がとても素敵に映りました。

4月の終わりに引っ越して初めて田んぼをみたとき、植えられたばかりの苗はひよっこの赤ちゃんでした。整列する姿は可愛らしく、まだ幼いわが子と重ねていた自分を今でも思い出します。

今年、田植えからひと月後位の苗の姿とわが子が重なりました。まだまだ小さいけれど、根を張って一生懸命生きているそんな感じです。これから何年もかけてたわわに実る立派な稲穂を目指して、今日も土佐町の皆様に見守られ助けられて大きくなっています。

◎ありがとうございます◎

 

 

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私の一冊

西野内小代

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「徳川家康 弱者の戦略」 磯田道史 文藝春秋

日本の歴史を知りたくて、日本史関係の本を読んではみるが、なかなか全体像がつかめない。この本は「生きるみんなのための歴史」であることを意図して書かれた歴史書です。かみ砕き、専門家が切り捨てがちな二次的な記録も紹介し、人生の参考書として「徳川家康」を扱っている。

高い権威と文化力はあるが、武威を示さなかった「今川氏真」、天才的な指導者「織田信長、豊臣秀吉」、どのタイプも日本を治める事はできなかった。
弱者であった「徳川家康」だからこそ、見極め、寛容、といった特質を活かし、領主の責任を重要視し、世の中を統治することが可能であった。
驚異的な指導力をもつ織田信長・豊臣秀吉に関しては、天才の采配に振り回される周囲の武将達の「織田疲れ」「秀吉疲れ」が、信長や秀吉に対しての反感の一因となったのではないだろうかと記述されている。

現代の政界や民間レベルでも同様の事が言えるのではないかと解釈した。

 

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私の一冊

西野内小代

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「70歳からが本物の成長期」 和田秀樹, 花田紀凱  サンマーク出版

「幸せ」について述べられた対談形式の本です。
伝説的な雑誌編集者で、80歳を過ぎた現在も現役の花田紀凱さんと、「高齢医療」の専門医師として、日本一人気の和田秀樹さんとの対談をまとめたもの。

・「脳の若さ」と「身体の若さ」は完全にシンクロしている
・「意欲」の有り無しが老後のすべてを決める
・ ルーティーンではない新しいことをやる
・ 終活にこだわらず生きている間のことを考える  等々

脳を老いさせないコツ、今を生き生きと生きるコツが盛りだくさんです。「日本人の幸福度のピークは82歳以上」という調査結果もあるそうです。年齢を重ねるのも悪くないと勇気をもらえる内容でした。

 

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私の一冊

古川佳代子

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「地震・台風時に動けるガイド~大事な人を護る災害対策〜」 辻直美監修 Gakken

今年も台風シーズンが近づいてきました。地震も各地で頻発しています。防災対策はできていますか?わたしはといえば、いやはや情けない…。

防災グッズをそろえている方たちは、それを使いこなせるテクニックをお持ちですか?

この本の監修者である辻直美さんは、防災現場で命を助ける看護師さん=レスキューナース。現場に出動するだけでなく、減災の一環で、防災啓もう活動も各地で行っています。その経験から、人にやさしい防災の考え方、方法を伝えることが、自分にとっても他者に対してもいちばん優しいものになるだろうと考え、この本が生まれました。

防災の取り組みは「まじめに、ちゃんとやらないといけない」わけではありません。「100円ショップのすべり止めシートを適当に切って、その辺の棚に置く」だけでも昨日より防災力が1段階上がりますよ、ととてもハードルの低い、私でもすぐに取り掛かれる提案がたくさんあります。

これから防災準備を始める人、もうすでに防災に取り組んでいる人、どちらにもおすすめの知恵が詰まっています。

 

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私の一冊

西野内小代

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「お探し物は図書室まで」 青木美智子 ポプラ社

地域のコミュニティーハウスにある図書館の司書さんの影響力、察知能力をメルヘンタッチで描いている。5章からなる短編集のような構成。

婦人服販売員、夢を実現したいサラリーマン、出産後のキャリアウーマン、ニート、そして定年退職後の自分の居場所を求めるおじさん等が、鬱屈した想いを抱え、取り巻く環境に不満を抱き、この図書館に引き寄せられるがごとくやって来る。

そして不思議な司書さんに出会い、一見尋ねた本とは関連のないと思われるタイトルの本を薦められ、付録と称するぬいぐるみのような手芸品を手渡される。

本を探しに来てはいるが、実際は自分探しの来館者が、司書さんの助言により前向きな人生へと漕ぎ出す展開。ファンタジックな司書さんの数少ない助言により自らが思いを定めるようになる過程がキーポイント。

 

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私の一冊

古川佳代子

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「香川にモスクができるまで~在日ムスリム奮闘記~」 岡内大三 晶文社

お隣の香川県にある素敵な本屋「ルヌガンガ」さんは、SNSで幅広いジャンルの本の紹介をされています。この本もルヌガンガさんに教えてもらった一冊です。

タイトルを見たときにまず思ったのが「香川にモスク?なぜ?」でした。両親ともに香川県出身で子どものころから親しんでいる土地なのですが、香川とモスクが結びつきませんでした。けれどもこの本によると、2019年時点で約800人からなるインドネシア系ムスリムのコミュニティーが存在しているのだそうです。

ムスリムのごく一部の人間による蛮行から、ムスリムと聞けば「非文明的、女性蔑視、怖い人たち」といったイメージを持ちがちです。でも本当にムスリムの人たちがそうであれば、香川にモスクが建つだろうか?それとも力ずくでモスクを建てたのか?

その顛末は本に譲るとして、本書に登場するたくさんの「ふわふわと柔らかいコミュニティー形成にたけた隣人」たちのことを、知ってもらえればと思います。

 

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私の一冊

山門由佳

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「鳥取が好きだ。水丸の鳥取民芸案内」 安西水丸 河出書房新社

鳥取に行きました。

娘と同じ名前の宿があると知り、そこに泊まるために鳥取に行きましたら、なんと息子と同じ名前の地域にその宿がありました。これには驚きました。いくらなんでも縁を感じずにはおられません。

鳥取には有名な砂漠があって、野生児並みのエネルギィをもつ息子と娘をその砂漠は屁でもないといった感じで、どっしりと存在しておりました。

そして合間、合間に鳥取の民藝に触れ、路地裏のディープな温泉に浸かり、鳥取県民のソウルフード?なカレーに、感動的に新鮮な日本海の魚を頬張って、なんと魅力的な県だろうかと帰ってきました。

「うん、鳥取が好きだ。」

著者の安西水丸さんもそうおっしゃってます。

 

 

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私の一冊

西村まゆみ

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『がんになった緩和ケア医が語る「残り2年」の生き方、考え方』 関本剛  宝島社 

この本は、 43才の緩和ケア医師、 関本剛先生が語る残り2年の人生の過ごし方を綴った本です。

がん患者を看取るはずの医師が ステージ4のがんを宣告され 、看取られる側に足を踏み入れた時、「人間としてあるべき姿」について、自分自身に言い聞かせ、それを実行する。
人間が誰しも持っている「最後はこうありたい」という理想を価値あるものだと考えているし、「先生、私は美しく死にたい」そう答える老婦人は、「こうありたい」という願いよりも「こうはなりたくない」という意識が人間の行動を規定するのではないか。

ドイツの神学者、マルティン・ルターの有名な言葉がある。「たとえ世界の終末が明日であっても、 私は林檎の樹を植える」。

よく死ぬためには、よく生きなければならない。今は健康でも2人に1人ががんになるという現代の日本で、がんになるという未来を予測し、覚悟して生きている人は、どれ程いるだろう。

がん患者の側に立ち続けた関本先生は、抗がん剤治療を受けながら、今後、新たな薬や治療法が出現し、うまく奏功すれば…とい う期待を持ちつつ、 時々最悪に備えつつ、普段は最善に期待する」 という姿勢を貫いていらっしゃった。

けれども、関本剛先生は、2022年4月19日に自宅にてお子さんの声に笑顔を見せ、ご家族に見守られながら、穏やかに旅立ったそうです。先生はもういませんが、その想いは、皆の心に今も生き続いていくでしょう。

 

 

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