石川拓也

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

石川拓也

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「チェーザレ 破壊の創造者」 惣領冬実 講談社

このコロナ禍で遠出がままならなかった時期に、以前から気になっていたマンガを大人買いして一気読みという休日を過ごしていました。

「チェーザレ」は1500年代に活躍した政治家チェーザレ・ボルジアの伝記マンガ。

小耳に挟んだところによると、西欧史の中でチェーザレ・ボルジアはどちらかというと悪役イメージを担わされていることが多いのだそうですが、この作品はそのチェーザレ像に新たな光を当て、とても奥深く魅力的な主人公として命を吹き込んでいます。

同時にルネッサンス期のイタリアを中心としたヨーロッパの政治宗教的な状況や、学生や庶民の文化習俗にいたるまで、説明過多にならず、且つその息遣いも聞こえてくるような距離感で展開されます。

紙面での建築物の再現も息を呑むほどの精密さで、システィーナ礼拝堂の内観などもストーリー上登場しますが、ミケランジェロが天井画を描く前の時期の礼拝堂を、想像力も交えながら精密に再現しています。ちなみに2枚目の写真はピサに実在したボルジア邸の内観。見事です。

歴史マンガの非常に面白いところは、教科書で「習う」「覚える」ものであった歴史の一要素を、登場人物の様々な感情に共感しながらその出来事や事件を「体験」できるものとして現前してくれること。

例えば「カノッサの屈辱」というキリスト教史の大事件が、この漫画に出てきます。ローマ皇帝ハインリヒ4世がローマ教皇グレゴリウス7世から信徒としての破門を言い渡される大事件です。

教科書で読むとそういう説明になってしまうのですが、マンガの中ではそれが皇帝も教皇も1人の感情豊かな人間として、怒り、悔しさ、怖れなどを抱えながら先の見えない未来を掴もうともがく様が伝わってきます。

そうすると「カノッサの屈辱」は、生々しい体験として読者の心に刻まれる。そこがマンガの強さでもあると思います。

 

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4001プロジェクト

明坂袈裟子・野村昌子・永野時子・中岡孝衛(地蔵寺)

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この写真の撮影場所は、地蔵寺の地蔵堂横。明坂袈裟子さん、野村昌子さん、永野時子さん、中岡孝衛さん。

4名のみなさんは地蔵寺の地元の方々。

野村昌子さんと中岡孝衛さんには「土佐町オリジナルポロシャツ」の記事でもご登場いただきました。

みなさんご近所で、みなさん仲良し。

地蔵寺という地域を体現しているような方々でもあります。

 

 

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4001プロジェクト

岡林敏照・美智子(黒丸)

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岡林敏照さんと美智子さんのご夫婦。

現在では田井にお住いですが、長年山深い黒丸に住まわれていたお二人です。

お二人の「庭」とも言える黒丸のアメガエリの滝遊歩道にて撮影させていただきました。

現在でも度々黒丸を訪れ、話すお言葉の端々にはご自身の故郷を大切に思う気持ちが現れます。

新緑のアメガエリの滝、お二人にとって一番の背景で撮影できたように思います。

 

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4001プロジェクト

小林聖花・川村豊子・水野和佐美・山中順子(南川)

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土佐町の中でも山深い南川地区の女性陣を撮影させてもらいました。小林聖花さん、川村豊子さん、水野和佐美さん、山中順子さん、みんな南川で暮らしている方々です。

撮影したのは南川の河内神社。ここには夫婦杉と呼ばれる2本の巨大な御神木が、ここを尋ねる人を迎えてくれます。

夏を前にして濃くなってきた緑色の中での撮影でした。「空気を吸いに来るだけでも価値のある場所」と個人的には思っています。

 

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4001プロジェクト

和田純一(大谷)

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役場にほど近い大谷地区にお住いの和田純一さん。

元郵便局だった建物にお住いです。

編集部が「土佐町ベンチプロジェクト」のベンチを設置していた時期にご連絡をいただき、純一さんのお家の前にもひとつ設置することになりました。

しばらくして前を通りかかると、ベンチの後ろの壁がカラフルなハートマークに塗られていました。

「みんながここで座れるように」とベンチの設置を打診してくださったり、「みんなが楽しめるように」と後ろの壁を塗っていたり。

それが純一さんという人なのでしょう。

 

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土佐町ポストカードプロジェクト

2020 June

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これは6月4日の夜のこと。

三島と東境のちょうど境目となるところに水路がありまして、そこは土佐町でも有数のホタル生息地として人々の集まる場所となっております。

水路近くまで降りてレンズを向けると、鼓動するように明滅する無数のホタルと、空の向こうには雲がかかった丸いお月さま。

聞けばこの場所は水路の作り方も工夫したり、草刈りもホタルのために敢えてしなかったり。地域の方々の、ホタルを大切にする気持ちが蛍光色の光となって、じんわり暖かく伝わってくるような夜でした。

 

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4001プロジェクト

近藤雅伸 (栗木)

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栗木地区の近藤雅伸さん。

とさちょうものがたりがとてもお世話になっている、「山の先生」と呼ぶ方です。

過去、「シシ肉をいただく」という記事では近藤さんの山の世界をおすそ分けしていただきました。

昨日公開したエッセイ「竹馬・缶馬・孟宗竹馬(窪内隆起)」に、孟宗竹で作った缶馬の話が出てくるのですが、その撮影用に編集部は実物を探していました。

するとある朝「作ったから持っていきや」と声をかけてくれたのが近藤さん。ちゃちゃっと作って持たせてくれて、私たちがみつば保育園に持って行って撮影することを知るとさらに追加で作って翌日届けてくれました。

地域の方々のこういう気持ち、こういう行動がこれまでの土佐町という場所を作ってきたのだなと実感した経験でありました。山の先生です。

 

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私の一冊

石川拓也

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「ボッティチェリ 疫病の時代の寓話」 著:バリー・ユアグロー 訳:柴田元幸  ignition gallery

 

衝撃。この文章を書いているのは2020年6月4日の午後です。

今日、私に宛てて届いた封筒の中から、この小さな本が出てきました。

差出人は愛知のignition gallery。中から出てきた本の表紙には私が親交もあり尊敬してやまない英米文学翻訳者の柴田元幸先生のお名前がありました。

著者はアメリカ・ニューヨーク在住の作家、バリー・ユアグロー。翻訳はもちろん柴田元幸。「★この本について」と題された柴田先生のあとがきによると、この物語は現在の都市封鎖状態の続くニューヨークにいるユアグローから柴田先生のもとにメールで届いたとのこと。

届いたのは2020年4月5日から5月11日にかけてのことだそうです。

一本目の「ボッティチェリ」が添付されていたメールには、「正気を保つため」に書いた、とあった。少しあいだが空いてから、二本目以降の作品が続々送られてくるなかで、どうやらこの非常事態が契機となって、作者が自分の中の深い部分に降り立っていることが伝わってきた。もちろん日本で翻訳が出れば喜んでくれただろうが、出版したいからというより、ただただ書かずにいられないから書いていることがよくわかった。

「★この本について」 柴田元幸 より引用

「正気を保つため」。物を作る理由や動機として、これほど切実なものが他にあるでしょうか。そして「自分の中の深い部分に降り立って」、そこから拾い上げたものを12の寓話に変換し、この時代のこの空気を封じ込めるという作業をこのスピードでやる(もしくはやらざるをえなかった)という作者ユアグローの力業。

それを受け取った柴田先生の翻訳、ignition galleryのデザイン・装丁・製本のこのスピード感。

この一冊はもう完全に(良い意味で)野蛮人どものしわざだなと、封筒から取り出した瞬間に大きな衝撃を受けるのと同時に、「自分の『作る』という行為は、そこまで切実な理由を持ってやれているだろうか」という少し焦りにも似た、小さな棘のような感情を持ってしまったのも、実は正直なところです。

 

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土佐町のものさし

天空の小学校

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※この記事は2019年12月に発行した雑誌「とさちょうものがたり zine 05」にて掲載したものをウェブ上にて再掲載したものです。「幸福度」による国作りを行う先輩としてのブータンの、価値観や文化を少しでも伝えるために執筆したものを、ウェブサイト上で公開します。

 

シュラブッチェ大学からほど近い場所にあるカンルン小学校。

機会があり子供たちの学びの場を見学させていただきました。

まず朝の登校時。朝礼前に校庭でサッカーや鬼ごっこに興じる子供たち。カンルン小学校は別名「天空の小学校」と呼ばれているそうですが、それは校庭からのこの眺望が理由です。

ブータンの小学生は基本的にゴ(男性用)・キラ(女性用)という名の民族衣装が制服です。

見学した朝イチの授業は英語でした。ブータンは徹底した実践的な英語教育を行なっている国で、小学生からとてもキレイなクセのない英語を話します。

 

 

GNHもこの年代の教育に必須となっており、外壁に大きくGNHの指標(国としての指標とは少々異なりますが)が貼られているのが印象的でした。

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4001プロジェクト

保口愛・大尾剛・西山博子 (ファースト)

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先日、どんぐりのシルクスクリーン・チームをご紹介しました。

今日は大豊町から来てくれている。大豊町の障がい者支援施設「ファースト」のチームです。(正式名称は「就労継続支援B型ワークセンター ファースト

左から、保口愛さん・大尾剛くん・西山博子さん。保口さんが職員の方で、大尾くん西山さんがメンバーさんです。

毎週2、3回、午前中の数時間をとさちょうものがたりの作業場にて一生懸命ものづくりに取り組んでいただいている「チーム・ファースト」なのです。

 

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